■観光業とテロリズム 2005.5.16 update

いきなり暗い話題になってしまいますが・・・できるだけ多くの方に、本来のエジプトの姿を知ってもらいたいと思い、この話題にふれることにしました。

先日、カイロ市内で、残念なことに二度に渡る自爆テロ事件というのが起こってしまいました。一度目はハンハリーリ市場内、二度目は、ムハンマドアリ・モスク近くと考古学博物館近く。特に二度目は、私自身2箇所とも近くを通っていました。幸い事件の直前と直後だったのでよかったですが。最初はただの事故かと思いましたが、何台もの救急車や消防車を見て尋常ならぬ事態ということに気づきました。現場の近くにいたということは、結構ショッキングなことでした。

今回の事件は、大きな組織による犯行ではなく、ムバラク政権に反対する小グループの犯行だとされ、その関係者は死亡したか逮捕されたので、これで解決したとは言われています。

エジプトでは、観光業は外貨収入のための重要な産業です。その観光業が落ち込めば、政府が困るということで、過去にも何回かテロが起こっていました。一番記憶に残るものとしては、ルクソールでの日本人が被害にあった事件です。それ以降、警備が強化され観光客が被害にあう事件は起こっていなかったのです。

今回の事件以降、また警備が強化されています。一見して、遺跡や博物館での警備員の数が増えています。ホテルへの車両のチェック(火薬探知機や犬を使っています)、遺跡などの観光地の入り口での入念な荷物検査、多人数のグループに対する警察官の同行などです。また、空港も到着ロビーに迎えの人が入れないようになっています。こういった光景は他国では、なかなか見ることができないのではないでしょうか?

この事件の直後、市内のホテルで日本のジャーナリストの方とお話する機会があったのですが、同感できる意見をおっしゃってました。「イスラム圏の国で、何か事件があると、すぐに観光客が来なくなる。アメリカのテロの時には、あんなに危険度が高かったのに、観光客が来なくなることはなかった。またヨーロッパなどでテロは起こっても、日本人観光客はそんなに減ることはない。イスラムに関する不理解からだろうか?」と。実際、銃で狙われたり、首締め強盗や刃物で切りつけられたりと、身に起こる危険の確率の多いところへも、日本人観光客は平気で行ってるわけです。なのに、イスラム圏で事件がちょっと起こると大きくとりあげられてしまうのです。

欧米人はというと、それほど影響をうけません。シナイ半島でのイスラエル人を狙ったテロの時も、観光客が減るどころか、今のエジプトブームに乗って、増えていました。状況をしっかり把握していたからでしょう。またエジプトのニュースでは、毎日回りの国での戦争、テロ事件、こういったものばかりです。日本のように、ほのぼのとしたニュースというのは見ることはほとんどないのです。もっと残虐なテロ事件のニュースをいつも見てるわけです。ですからエジプト人たちは、事件の翌日ぐらいまでは、騒いでいましたが今は落ち着いています。

エジプトに来られる日本人観光客からは、エジプトは怖いというイメージがあったとよく言われます。イラク戦争の時には、知り合いから流れ弾に当たらないよう気をつけてとまでいわれました(エジプトとイラク、かなりの距離があります)。どうも、エジプトに関する、またイスラム教国に関して誤解されてるようで残念です。

本来、イスラム教は他の宗教と同じく平和な宗教なのです。イスラム教徒は、平和を好みます。こちらで、平和のことを「サラーム」といいますが、彼らの口からよくこの言葉が出てきます。ちなみに、「こんにちは」という挨拶は「アッサラーム・アレイコム(あなたの上に平和がありますように)」といいます。起こってる一連のテロ事件は、本来のイスラムの姿ではないのです。

ですから、実際エジプトに来られた方には、比較的安全で平和な国だということがわかったと口をそろえておっしゃいます。実際、現在の日本に比べても、安全ではないかと思います。子供の誘拐・殺人や、無差別殺人、強盗などの数をとっても日本よりはるかに少ないのです。なのに、極稀に起こるテロ事件によって、不安定となる観光業。特に日本人部門。日本の観光業にかかわっているエジプト人達にとって、仕事が極端に減ってしまうのですから、深刻な問題です。

今回も、みんな不安を口にしています。日本だったら、むずかしくなってきたとはいえ、選ばなければなんらかの職業につくこともできます。でも失業率の高いこの国では、他の職業につくことは難しいことなのです。それでも、真剣に副業やその他の対策を練っている彼らの姿がそこにあるのです。

戦争やテロがこの世から消え去り、早く、世界中をみんなが安全に楽しく旅ができる世の中になることを祈って・・・

画像上:カフラー王のピラミッドと、スフィンクス
画像中:ホテルの周りの警察官達
画像下:毎日多くの観光客が訪れる考古学博物館


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