■タレント候補作戦はトルコでも成功するか? 2007.7.3 update

7月22日の総選挙に向けて、トルコでは選挙キャンペーンが盛んに行われています。トルコの選挙キャンペーンは、近年特に派手になってきました。広告会社や、やり手のプロデューサーにキャンペーンを依頼するのはもちろんのこと、集会用のテーマソングの作曲を国民に人気のある歌手に依頼したり、既存のヒット曲の歌詞を変えて選挙用のものにして、キャンペーン中一貫して使うのとともに、その歌手のコンサートに市民を無料で招待するなどの手法がよくとられています。これを狙って、選挙近くにいかにも力強そうな、覚えやすい曲を発表する歌手もあるほどです。

テレビや映画で人気のある芸能人をキャンペーンに借り出すのは、どこの国でもありますが、今回の選挙は、日本も顔負けの「タレント候補乱立選挙戦」となりました。元歌手で、現在はテレビドラマの有名プロデューサーであるヤームルデレリ氏は、現在第一党であるAK党(公正発展党)からの候補で、当選が有力視されています。殺害された新聞記者ムムジュ氏の未亡人も立候補を表明しましたし、トルコの演歌歌手の第一人者、イブラヒム・タトゥルセス氏も出馬しました。ほかにも、無所属候補の、歌手のナームク・ウールル氏、詩人のシュクル・エルバシュ氏、テレビ司会者のジェビズオウル氏などがタレント候補の注目株です。

ここで、歌手のタトゥルセス氏については、立候補を表明した時点からさまざまな憶測が流れました。もともとマフィアとのつながりがしばしば指摘されてきたタトゥルセス氏ですが、立候補の理由は、議員当選後の特権を手にしたいからだという説がまことしやかにささやかれているのです。これまでに、氏の恋人であるダンサーや、元夫人が歌手活動開始の直後に狙撃された事件は芸能マスコミにかなり騒がれました。この事件が、嫉妬に狂った氏がマフィアを雇って狙撃したのではないかと噂されたのです。実行犯も逮捕され、タトゥルセス氏本人は事件との関与を否定していますが、市民の間では氏の陰謀説が根強い都市伝説として残っています。

過去にも拳銃の無許可所持が取り沙汰されたり、覚せい剤使用を認める発言などでしばしば批判の的となったこの大物歌手が、議員に当選することによって、各種の特権、特に不可侵特権を得ることを目的としているのではないかと、対候補は問題視しています。特にこのイブラヒム氏でなくても、現首相のエルドアン氏、現外相のギュル氏をはじめとした34人の現職議員が、不可侵特権によって起訴された裁判が停止している状態です(2007年6月9日現在)。

テレビの影響力が強いトルコ、特に地方部では、メディア露出の強いタレント候補は各党の目玉です。実際に当選したあとどのような政治家になるのかは、今回ほどのあからさまなタレント候補がこれまでなかったことから予測がつきません。ただ、毎日のようにテレビに登場し、家族のように親しみを持っているタレント候補たちは、あくまでも「歌手の」、「司会者の」誰かさんでしかなく、投票する側の国民にとっては、特に政治家としての具体的な要求はないのかもしれない、というのが傍から見ている私の感想です。

それでも浮動票獲得は確実でしょうし、地元出身、有名人、に弱い人たちにとっては、初めて選挙に行くきっかけになることにもなるでしょうし、彼らタレント候補の「政治家デビュー」は夢ではないと思われるのです。

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画像:イスタンブル


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