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トルコで最近、問題になっている暴力にさらされる子供たちについて、各団体、教育省が本格的に乗り出しました。まずは実態調査ということで、イズミル、アンカラ、イスタンブルの大都市を含む12歳から18歳の児童、学生1,120人にアンケートが行われました。
全国紙ヒュリエットのアンケート結果発表によれば、全体の29%が「学校は安全でないと感じている」と答えています。さらに「誰から暴力を受けたことがあるか」の問いには、友人からが29%、教師や学校職員からが15%、両親からが16%、親戚からが5%となっています。そして全児童、学生の5%が、「刃物を携帯している」という結果も出ました。危険物携帯の理由のトップに挙げられているのは、「身の安全を守るため」です。これに、「かっこいいから」「映画やドラマの主人公を真似して」、「カリスマティックに見えるから」という理由が続きます。
残念なことに、銃の所持規制が浸透しきっていないトルコでは、校内の暴力事件に銃が絡むことも少なくありません。恋人の取り合いで友人を銃殺してしまった高校生の事件や、好成績を妬んだクラスメートに撃たれた少年のニュースなどが、新聞をにぎわせています。これほどまでに若者に暴力が浸透した理由はいったい何なのでしょう。
アンケートは、もちろん学生たち自身にもその理由を尋ねています。その結果の中での、「テレビや映画のキャラクターのように強くなりたいという願い(58.6%)」、「家族の教育の不足(54.3%)」に続く理由は、日本人の私にとってはとても不思議に思えました。それは、「冷酷な人間のほうがより尊敬されるから(51%)」というものです。これは、後に続く「学校で力のある人を例にとって(45.5%)」、「街で尊敬されている人を例にとって(43.3%)」と連動しているような気がします。
映画にもなったマフィア・ドラマの大ヒットの影響が注目されがちですが、そのほかにも、コンピューターゲームや、以前書いたこともありますが、「馬(現代では車)、女、銃」を男性の三種の神器とする文化の影響も見逃せません。「冷酷な人間のほうがより尊敬されるから」というのは、まさに銃や刃物、または大きな経済力や高い社会的地位という武器をもって対抗勢力を押さえつける大人社会を、子供たちが冷静に分析した結果といえるでしょう。そこには、努力が報われるという学校での教師の言葉が、単なる詭弁にしか聞こえないような現実があります。
コネ社会といわれるトルコでは、強い知人、親戚をもち、引き立ててもらうか、自身が暴力などの手段を問わずのし上がっていくほかに、地位とお金を手にすることが難しいと考えている人が多いのです。だからこそ、才能と努力で財産を手にした人や、世界的な研究成果を上げた科学者などのニュースは、大きく取り上げられ国民の士気の高揚に役立っているのですが、そのような例は雲の上のことで、もっと手っ取り早い方法があると考えてしまう人が多いのも事実です。頑張ればいいことがある、努力すれば報われると繰り返す大人たちに対し、子供たちは冷静でしたたかです。
銃の規制の徹底や、少年犯罪法の整備、麻薬取締りなど、大人のすることはたくさんありますが、それと同時に、もっとも必要なのが、子供たちに語る良い社会を、語るだけでなく見せることが必要なのだと思います。貧困層も多く、理想を語る、見せる余裕の無い大人も多い社会で、とても難しいのですが、若年層の多いトルコではこれからが青少年教育の正念場です。
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夕暮れのボスフォラス海峡
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