■占いは罪か? 2006.4.18 update

以前お話したように、世界の例に漏れずトルコでも、女性を中心に占いは大人気です。中でもトルココーヒー占いは伝統的なもので、昔は街に一人はコーヒー占いの得意なおばさんがいたものだそうです。こういったおばさんは、お茶会の席などでコーヒーを飲んだあとカップに残ったコーヒー滓を見て占いをするとともに、悩み相談係のような役割も果たしていたそうです。

しかし、一部のファナティックなイスラーム信仰の人たちにとって、“唯一神アッラー以外の何者も未来を知ることはできない”という考えから、占いは宗教上の大きな罪なのだそうです。ですから、信仰心の強い人の前で占っていたりすると、眉をひそめられることもあるようです。

それでも一般的には、会話の潤滑油、悩みを打ち明けるきっかけとしての占いはいつもトルコの人々の暮らしにありました。イスラームを信仰する人が多いにもかかわらず、新聞にも雑誌にも、占いのページは必ずあります。占星術による性格占いはかなり浸透していて、男女かかわらず「何座なの?」と聞かれることも多いです。またコーヒー、占星術のほかにタロット占いも盛んです。

占い師も評判が評判を呼ぶと、口コミで次々とお客さんがやってくるわけですが、この占い師たちのなかにはお金を受け取っている人もいました。そしてその名声が高まることで、占いの腕ひとつでかなりの財産を築いた人もいたそうです。

そこに目をつけた人たちが、トルコの都市部のカフェブームに乗って「占いカフェ」を作ることを思いつきました。若い女性の大好きな占いと、おしゃれなオープンエアカフェという組み合わせは大流行して、2005年の夏には、イスタンブルのヨーロッパ大陸側に「占いカフェロード」と人々に呼ばれるエリアまでが出現したほどです。

しかし、この占いカフェブームは思わぬ波紋を呼びました。警察が「占い詐欺」と名づけた罪状で、多くのカフェ経営者と占い師がいっせいに検挙されてしまったからです。2005年から始まったこの検挙活動は、今年に入っても続いています。カフェ側も、「占い代」としてではなく「コーヒーを注文すると占いが無料」などとして警察の目をそらそうとしたりはしましたが、それでは許してはもらえないようです。

私が疑問に思うのは、お客のほうが占いを「エンターテインメント」のひとつとして、気持ちよくお金を払っているのなら、詐欺罪に問うのは難しいのではないか、ということです。検挙された占い師が一人当たりとっていた占い料も、20〜30リラ(2〜3,000円)と、決して法外なものではありません。占いのあとで、これを買わないと不幸になると占いに出ている、などといって何か物品を販売したりしているのならば話は違ってきますが、ただ単に占いをしてもらっている分には、それを詐欺だと確定できないような気がするのです。

私も占いカフェに二度ほど行きましたが、ごく普通の可愛いおしゃれなカフェで、飲んだコーヒーの滓をカフェ常駐の占い師さんに見てもらいました。そして一緒に見てもらった友人とキャアキャア言って楽しんだ後、気持ちよく20リラを払ってカフェを後にしました。その占い師が優秀であるかどうかは、それこそアッラーのみが判定できるわけで、警察がこのようなお遊びを、「適当に占ってお金を巻き上げた」と詐欺罪で逮捕してしまうのはちょっと大げさに思えたのです。もちろん検挙されてしまったカフェ経営者などは、この点を挙げて政府を糾弾しています。イスラーム系の政党が第一党であることに絡めて批判している人もいます。見せしめにされた、と息巻いている人もいました。

未来を予見するという、アッラー以外に許されないことをした罪は、宗教上のみのものであるべきとは思うのですが、同時に悩みがある人の弱みに付け込んで、法外な金額を巻き上げる闇占いや、悩みを解決するために「ビュユ」といわれる黒魔術のようなものを勧める人たちがいるのも事実です。そのような非現実的なものを信じてはいけません、と政府がいくら声を大にしていっても、夫の浮気相手をのろったり、ライバルの成功を妬んだりして、多額の報酬と引き換えに怪しいビュユを掛けてもらいに行く人は少なくないそうです。

占いが好きな女性の一人として、占いカフェがなくなってしまうのはさびしい限りなのですが、占いやおまじないをお遊びと割り切れない人がいる限り、トルコではこの摘発騒ぎは続きそうです。

画像:トルココーヒー


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