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鳥インフルエンザの話題を前回お届けしましたが、その際にお話した「鳥インフルエンザに関する正しい知識を広めよう」TVキャンペーンが始まりました。日中を通して頻繁に放送される、字幕とともにそれを読み上げる音声がついたシンプルなスポットと、特に視聴率の高いドラマやバラエティの放映の合間に流れる、有名司会者ウール・デュンダル氏が出演するショートフィルムの二本立てです。
デュンダル氏は、隠しカメラや予告なしの撮影隊潜入を使った告発番組の制作・司会者で、特に高視聴率を記録しているのが、食品工場やレストランなどの劣悪な衛生条件をくまなくさらした映像を、圧迫感のあるBGMとナレーションを効果的に使いながら紹介するもので、このシリーズはいくつもの工場やレストランを閉鎖もしくは条件の改善に導きました。鳥インフルエンザに関するショートフィルムでは、彼の「正義の使者」的イメージが最大限に利用されています。
食用鶏肉、鶏卵の工場を、彼の番組さながら視察するデュンダル氏が、その清潔さ、安全さをアピールする内容になっています。これが特定企業の広告ではなく、デュンダル氏がこのフィルムの出演料を取らなかったということも、番組の最初に大書きで記され、視聴者の疑念を消すようにあらゆる努力がなされています。さらに業界は、マーケットなどの鶏肉・鶏卵売り場の横に張るべく、デュンダル氏のポスターを製作したそうです。FAK鶏肉社の社長、オズデミル氏の談話によれば、国民の信頼感の高いデュンダル氏の採用は高い効果をあげています。
鳥インフルエンザの国内での発生から、ほぼ0%まで落ち込んだ鶏肉消費量は、キャンペーンが始まってから1週間後には28%まで持ち直したそうです。輸出が制限されているために、現在生産率は通常の50%に落ちているそうですが、輸出制限が解禁されれば、さらに業界は持ち直すだろうと期待がかかります。
同時に首相のエルドアン氏が国会で、議員とともにチキンを食す姿や、広場で鶏肉ドネル(肉を大きな串に積み上げるように刺し、回しながら表面をあぶり、焼けた部分を削いで食べるトルコ料理)をただで配っているのに殺到する市民の姿を放送することによって、人々の恐怖感は少しずつ減ってきているようです。
実際にここで生活している人間の実感としては、恐怖心の薄れというよりも、鶏肉以外のものの値段の高騰によって、仕方なく鶏肉や卵を食べ始め、一度食べるともうすべて同じ、という感じで鶏肉を再び食べるようになった人たちも多くいるのではと思います。鳥インフルエンザ事件の後、まず魚の値段が異常に上がり、鳥の代わりに魚を買う経済力のない人たちは、途方にくれてしまいました。牛肉はもともと高く、さらにここ最近の健康ブームで赤身の肉を避けている人たちは、主に鶏肉もしくは魚を消費していたのです。
実際、鳥インフルエンザで死亡した人たちは、自宅などで飼っていた鶏が自然死したものを食べるなど、食用に生産された鶏肉や人間から感染したものではないことが報告されています。そしてこのことは、スポット広告でくり返し流されています。このテレビによる正しい知識と、鶏肉以外の値段の高騰が、消費者の恐怖心を押さえつける役目を果たしているようです。皮肉なことに、目から血を流す鶏や病院を走る移動ベッドなどの、過剰な映像効果やBGMによって煽られた恐怖心は、またもや過剰な演出で知られるデュンダル氏の番組によって収束を迎えつつあるように見えます。
このまま新たな鳥インフルエンザの症例が出ない限り、緩やかにトルコ国内の鶏肉の消費量は上がっていくと思われます。しかし何よりも大切なのは、一刻も早いこの病気の感染経路の解明と治療法の確立であるのは間違いありません。キャンペーンの効果によって消費量が上がり業界が危機を脱出することがすべての終わりではありません。トルコでのすべての事件でよく見られるような、「喉もと過ぎれば暑さ忘れる」というような対応ではなく、最後まで、メディアと精肉業界・医療界が協力して、よい続報が届けられることを願っています。
画像上:餌をついばむ家禽
画像中:ドネル・ケバブ。肉の塊を機械で回転させながら焼き、それを長いナイフで豪快に削ぎ落とす。
画像下:市場の魚屋さん
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