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トルコに旅行に訪れた人がまず頭を悩ませるのが、トルコの通貨、トルコリラの桁の大きさです。現在、2004年10月12日のレートでは、一万円を両替すると136,056,288トルコリラになります。500ミリリットルの水を買うと250,000リラ、新聞は350,000リラ、ちょっと豪華なレストランでお食事をすると、50,000,000リラのお会計がやってきます。このゼロの多さにほとんどの旅行者の方が悩まされています。
しかし、インフレ経済に悩むトルコの通貨が、とどまるところなく桁数を増やしていたのは過去の話となりそうです。EU加盟を目指す現トルコ政府は、インフレストップ政策を打ち出し、さらに2005年1月1日をもって、現在のトルコリラから0を6つ取り去ることを決定しました。つまり、デノミを実施することになったのです。
ほんのちょっとしたものが十万単位の価格になったときから、市場などではBIN(トルコ語で1,000の意味)を使い、100,000トルコリラは100Binトルコリラ、1,000,000トルコリラは1,000Binトルコリラと表示していたので、国民に混乱は起こらないであろうというのですが、見たところ、かなりの人が慣れるのに時間を要しそうです。なんといっても、これまで1,000,000リラだったものが、ある日突然、1リラになってしまうのです。さらに、デノミ断行とともに、過去の通貨単位であるクルシュ(1リラ=100クルシュ)も復活することになりました。
長年のインフレに悩まされるトルコの人々は、刻々と変わる貨幣価値に対して、日本人に比べて必然的に敏感です。何年か前に、ある朝起きたらトルコリラの対外貨の価値が半額になっていた、つまり貨幣価値が一晩で半分に下がってしまったという事件を体験しました。当時トルコリラでお給料をもらっているにもかかわらず、ドルでお家賃を払っていた私には悪夢のような日々でした。結局私は住み慣れた家を引っ越すことで、何とか打撃を最小限に食い止めることが出来ました。そのときも、トルコの人たちは、一夜にして借金額が倍になったり、また得をしたりとさまざまな波紋を受けながら、なんとか立て直しを図って、最近ではようやくあの混乱から脱して落ち着いてきたところなのだと思うのです。少なくても、私はそうです。
今回は貨幣価値ではなく貨幣単位が変わるのだから話が違うとはいえ、収拾がつくまでには一定の時間がかかりそうです。もちろんその混乱の中でトルコの経済がいいほうに向かうのか悪いほうに向かうのか、経済にまったく疎い私は分かりません。
政府は、この移行での混乱を最小限に防ぐためのさまざまな善後策を打ち出しました。まずは、最初の一年は移行期間として、旧通貨での価格と新通貨での価格を同時に表示されることが販売業者に義務付けられました。勇み足のいくつかの大手商店などには、まだ通貨が流通してもいないのに、すでに新通貨での価格表示もしている広告を打ち出しているところも出てきました。
さらに新硬貨の仕様が、ユーロ通貨に酷似しているためにヨーロッパ諸国のいくつかの自動販売機などで問題が起きるのでは、という意見が出てきました。一度鋳造を始めてしまった硬貨をさらに作り直すということは、いうまでもなく政府にとってとても痛い出費です。そのため、現在この問題をどうやってクリアするかが話し合われているようです。
トルコの通貨にはすべて、建国の父であるケマル・アタテュルクの同じ肖像が描かれているのも、日本人旅行者の頭を混乱させるひとつの原因ですが、今回の新通貨にももちろんアタテュルク像が印刷されています。
このデノミ政策が、いつか悲願のEU加盟を果たしたときに、通貨をユーロに移行させる下準備であるのは間違いないようですが、加盟への長い道のりの間に、トルコリラの桁数が現在のものに戻ってしまうことのないように、トルコリラを稼いでトルコリラを消費しているものとして、心から願っています。
新通貨!、トルコの新しい夜明け!とマスコミも後押し記事などをたくさん出していますが、お金の桁数にも激しく動く貨幣価値にもいまだに慣れることの出来ない私は、新しいものへのわくわくよりも、どちらかといえば不安が先立ってしまうのです。
画像上:現行のトルコリラ、ゼロが7つ並びます。
画像下:新しい価格(上段)と現行の価格(下段)が同時表示されている折り込み広告
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