■嫉妬の視線からあなたを守る、トルコのお守り 2004.6.14 update

トルコに住む人の90%以上がイスラームを信仰しているといわれています。トルコの人々の暮らしの中に、宗教はごく自然に息づいていて、それは生活習慣のようなものとなっています。けれども同時に、前回書いたように、宗教上よくないとされている占いにもこちらの人たちは大変熱心です。このような占いや宗教に根ざした生活習慣は、人々の間を豊かにする潤滑油のような役目も果たしています。

そういった宗教のほかに、トルコでは人々が日々の暮らしの中で大切にしているジンクスのようなものがたくさんあります。中でもトルコを訪れた人の目に必ず触れる、目玉をかたどった青いガラス玉はトルコ全土でその効用が信じられています。

これは「ナザール・ボンジュゥ」といって、トルコに生まれた人なら必ず一度は身につけたことがあるだろうお守りです。「ナザール」はアラビア語の「ナザール」で、「視線」の意味があります。トルコの人々の間でよく使われる「ナザールがあたった」という言い回しは、すべての人間が持つ「負の視線のエネルギー」にさらされたという意味です。この負のエネルギーはすべての人が持っていますが、特に青い色の瞳から発されるものが強力だと信じられています。この負のエネルギーの視線は、あたった人に害をもたらし、また場合によっては相手を死に至らしめることすらあるといわれているのです。

この負のエネルギーから自分や自分の大切な人、物を守るために、人々はたくさんの防衛策を講じました。この「ナザールが災いをもたらす」という考えの発祥の地とされるアラビア諸国では、負の視線の影響下に置かれたと思われる人には手と足を洗うことが勧められます。そして、その洗った水を、すでに負の視線の影響によって悪いことが身に降りかかってしまった人の上に振り掛けることで、来たる災いごとから身を守ることになるのだそうです。また同時にお祈りの暗誦なども行われるようです。アラビア諸国のほかにも、イタリア、バルカン半島の一部、ロシアそしてドイツの南方でも同様の「負のエネルギーの視線」を恐れるという考え方があるそうです。

そしてここトルコでは、このナザールは、特に青い色の瞳から発されるものの影響力が強力だと信じられているため、同じ青い空色のものたちにこの視線を跳ね返す力があると信じられています。ほかの国では、コーヒーの緑の実、馬の蹄鉄、銃弾、古銭などが使われますが、トルコではダントツにナザール・ボンジュウと呼ばれる「青いガラス玉でできた目玉」が使われます。「目には目を」ということなのでしょうか。

デザインとしてもかわいらしく、トルコの文化を表すこのナザール・ボンジュウは、人々の暮らしのそこここで見られます。新生児の肩に縫い付けたり、犠牲祭のささげものとして購入した牛や羊の首や額にかけたり、新築のおうちの入り口の上や、歌手の首もとにぶら下げて、という感じにです。見ていると、人がうらやむようなもの、いいものにつけることが多いようです。トルコ人の嫉妬深さはかなりのものがありますから、嫉妬の視線の負のエネルギーは強大だということをみんな知っているのでしょう。

私も人前に出るという職業柄、いろんな方にナザール・ボンジュウのプレゼントをいただくので、ちょっとしたコレクションほどになりました。ネックレス、ペンダント・ヘッド、ピアス、キーホルダー、指輪からコップや壁掛けまで、ナザールデザインのいろいろなものが生産されているのです。青く透き通ったガラスの中に白目と黒い瞳が入ったデザインは、どこかとぼけていてお守りではなく飾りとしても秀逸だと思います。

トルコに観光に来て、何かお土産を買ったときに、お店のご主人がそっと包みに小さなナザール・ボンジュウをつけてくれるかも知れません。キーホルダーの先にたくさんの目玉がジャラジャラとついたものもかわいいし、奮発して金の枠にナザール・ボンジュウが入ったアクセサリーを、グランドバザールで買うのもいいかもしれません。人の視線が本当に他人に害を及ぼすかはもちろんわかりませんが、身に着けているとちょっとほっとして、そしてとってもかわいいこのお守りは、トルコで見つけた私のお気に入りのひとつなのです。トルコにいらしたら、ぜひお気に入りの目玉を探してみてください。

画像上:ナザール・ボンジュウのブレスレット
画像下:飼い猫の首にもナザール・ボンジュウが・・・


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