■ギリシャ正教の洗礼式 2008.4.22 update

人口の90%以上がギリシャ正教徒であるギリシャでは、子供が生まれたら洗礼をしてもらうのがしきたり。裸になって赤ちゃんを水の中に入れ油でべとべとにするのだから、赤ちゃんは泣いてしまうのがよくあるパターンゆえ、洗礼式を行うのは早ければ早いほどよいと言う人が多い。

去年誕生した我が子も、そろそろ洗礼をしなくてはいけないなあと思いながら、気がついたら時がすぎていた。ギリシャではギリシャ正教会で洗礼を受けるまでは、パスポートや公的な書類等に一切子供の名前が記載されないで、苗字と性別のみが記される。

しきたりで、父方の祖父母の名前を受け継ぐので、おのずと名前は決まっているが、洗礼前の赤ちゃんは「ベビス」(男の子) 、「ベバ」(女の子) と呼ばれたり、単に「モラキ」(赤ちゃん)と呼ばれたりする。

これが全てではなく、もちろん名前で呼んでいる人たちもいる。さらに、祖父母の名前をつけないと言う人たちも中にはいる。ただし、このような場合(私の場合なのですが)、祖父母(赤ちゃんに対しての) から猛烈な批判を受けるのを覚悟しておく必要がある。私たちの場合は、1年たっても理解が得られず、名前さえも呼んでもらえていない。

こういうことについて「当たり前だ。親の名前をつけないあなたたちが悪い!」と言う人もいれば、「今の世の中、そんな心の狭いことでどうする。好きなようにするべきだ!」と言ってくれる人もいる。そんなこんなで、名前を自由に選ぶのが当たり前の日本の感覚からすれば、名前に子供の将来の夢や希望を託すなどと言うことはギリシャ人の感覚には存在しないのであろうか。

教会では、いくら身内の間でもめていたとしても、ギリシャ正教の名前であれば洗礼をしてくれる。私自身は洗礼を受けていない。教会によっては両親共にギリシャ正教徒でない場合は、子供の洗礼をしてくれないところもある。幸い私の家の近所の教会に問い合わせたら、私が洗礼を受けていなくとも大丈夫と言うことだったのでそこで行うことにした。

教会は決まった。私にとって初めての子供だし、ギリシャで子持ちの親せきや友人が数多く居るわけではないので、ギリシャの普通と言うのはわからないのだが、普通、「名付け親」(ギリシャ語でノノス、ノナ)と言うのはどうやって見つけるのか。名付け親は、私たち親が信頼の置ける友人や親せきに頼むのか、それとも彼らから立候補してくれるのか。私たちの場合は、何人か名付け親にふさわしい人を夫の友人から選んでいた。しかし、実際、見つけるまで相当なストレスであった。これは私が外国人であり、人脈が少ないことや夫の友人関係にも原因(多くが未婚でまだ遊びたい盛りだったり、すでに何人も洗礼していたり ) があるような気がした。

名付け親は洗礼式のために必要な赤ちゃんの十字架や晴れ着、ろうそくの準備、教会へのお礼などを支払ったり、今後ネームデイやクリスマスにプレゼントを送ったり、毎年パスハ(イースター)には新しい靴を送る。と言うよりは、この赤ちゃんの精神的な支えとなる親代わりなので、ふさわしい人物を選ぶ必要がある。

夫の友人の多くはすでにもう何人もの赤ちゃんを洗礼していたので、彼らへは頼みにくくそうしたことでどんどん選択肢が狭まっていきました。わたし個人の思いとしては、経済状況の悪いギリシャで金銭的に余裕のない人へ頼むのはなんだか気が引けるので、そういうことも考慮に入れていたら本当にいつになったら名付け親が決まるのかなと思っていたのです。結局は、本当にふさわしい良い方に頼んだところ喜んで引き受けてくれました。

余談ですが、コネがものを言うギリシャの社会。大会社の重役や政界の大物などを名付け親に出来たら、きっとその子の将来はほぼ安泰になるのです。一般庶民の私たちには、縁のない話ですが、子を持つものとしては本当にふさわしい人に引き受けてもらいたいと強く思いました。精神的な支えになってくれるだけで十分ではないかと思う反面、今までギリシャで生活して本当にコネが大切なんだとわかった分、「地位がないよりはある人を」と思っていた自分に驚きました。なんだかしらけてしまいました。

教会、名付け親が決まればあとはもうなんと言うことはないであろうと思います。式の後に配るボンボニエーラ(アーモンドを白砂糖でコーティングしてラッピングしたもの) と招待状の準備。カメラマン、教会に飾るお花の手配。ケータリングと、式の後の食事会の準備。大体結婚式と同じです。どのくらいの出費になるのかわからないとことが怖いのですが。広い会場で、豪勢な食事でもてなしたりする人もいれば、身内だけで済ませる人もいます。ちょうど日本の七五三のような感じなのでしょう。上を見たらきりがないので、お財布と相談しつつ出来る限りのことはしたいと言うところです。

洗礼終了後にまたご報告したいと思います。

画像上右:パスポート。名前(Name)の欄(赤で囲ったところ)には、洗礼されていない(AVAPTISTO)ということ、つまり名無しと書かれている。
画像上左、中:イースターにはランバダといわれるデコレーションされたろうそくを名付け親は買って贈らなければいけない。飾りによってさまざまだけど、庶民的なおもちゃ屋さんに売られていたシンプルなもので15ユーロ前後だった。
画像下左:おもちゃ屋さん。名付け親はイースターや名前の日、誕生日、クリスマスに、プレゼントを贈る。ギリシャには、国産のおもちゃがあまりなく、おもちゃ屋さんにあるものの99%は輸入品のような感じ。しかも、説明書にはギリシャ語がない場合も多い。
画像下右:洗礼式の後に着る初めての正装は、ウェディングドレスなどのブティックに一緒に売られていることが多い。男の子はスーツ、女の子はドレス。


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