■ギリシャの育児事情 2007.12.18 update

異国での出産を終えほっとする間もなく、次から次へとギリシャでの驚きの育児事情を知ることになった。国が異なれば育児も異なると頭ではわかっているつもりだったが、日本で生まれ育った私にとってギリシャ流に子育てするのは予想外に困難だということがわかった。日本流を押し通したいという気持ちもあるが、それには周りに説明して納得してもらうことが必要だし、ギリシャで育つ子供にとってはギリシャ流にしたほうがいいかもしれないということもある。日本で子育てすれば悩む必要のないことで悩んだり、いろいろと大変。今回は今までに驚いたことをいくつか紹介します。

□健診と予防接種
まず出産後に小児科医を家に呼んで赤ちゃんの健診をしてもらいます。予防接種は2ヶ月目から始めるのですが、大体何かしらの注射が月に一度あるので、そのたびに医師を家に呼んだり診療所に行ったりします。予防接種の薬(薬品と注射器など)は薬局で自分で購入し、医師には別に診察料も支払います。入っている保険によりどのくらいの割合でカバーされるかが異なるので一概には言えませんが、我が家の場合は全て自費で行っているのでものすごい出費です(公立の機関を利用すれば無料なのですが、あまり評判がよくないので、多くのギリシャ人は自費で乗り切っています)。

□離乳食
離乳食の進め方などはかかりつけの小児科医から指導されます。大体5ヶ月ごろから初めて7ヶ月には1日三食を離乳食でとるのが理想のようです。日本式のやり方と異なる点がたくさんあります。まず、食事を与える時間。日本では、お母さんの都合のいい時間と指示されるようですが、ここでは、10時、14時、20時と決まっています。医師により異なるのかもしれませんが、離乳食のパッケージにもこのような記載があります。昼食と夕食の時間がギリシャではゆっくりめなのでこのようになるのです。食事の内容は、果物のすりおろしたものや、各種栄養素が入っている粉末にお湯を混ぜて作るクリーム状のもの(味見しましたが、かなり甘い上においしくない)からはじめます。その次に、ニンジン、ジャガイモ、ズッキーニ、肉を煮込んだスープと進みます。日本の離乳食の本に載っているような色とりどりの手の込んだものではなく、この三食をひたすら毎日続けるようです。

□母乳よりミルク
母乳を推奨しているようではありますが、産後何日か試して出が悪かったり、タバコを吸いたいからという理由で止めたりする人が多いようです。母乳が見直されている流れにはまだ追いついてないのかなと思いました。母乳が出ていてもすぐにミルクに切り替える人もかなり多いようです。何か母乳にトラブルがあっても、日本のように助産師さんに相談して治してもらうというよりは、トラブルがあった時点でやめるように言われることが多いようです。実際、私も乳腺炎になったときには、何人もの医師や助産婦にもうやめなさいといわれました。そのあと自己流の方法で完治したのですが。

□添い寝より個室で
欧米でも幼いころの母親とのスキンシップが見直されて添い寝が広まりつつあるそうですが、実際に添い寝をしているという人に出会ったことはありません。それどころか、添い寝をしていることをギリシャ人に話すと「今すぐにやめなさい」、「子供がいつまでたっても一人で眠れなくなるから大変」などといわれてしまいます。ベビー用品を扱う店には、添い寝用に大人のベッドをくっつけられるベビーベッドなども売られているのですが、まだ受け入れられてはいないようです。ギリシャ人はたとえ子供が出来ても、夫婦の関係を大事にしたいと思う人が多いようです。

□抱っこやおんぶよりもベビーカー
スリング(ベビー用抱っこ紐)でアテネの町を歩くとかなり目を引きます。今のところ私ままだ一度も赤ちゃんをスリングで抱っこしている母親を見たことがありません。どんなに歩くのが困難なガタガタ道でも、狭いスーパーの中でも大型ベビーカーを押して歩いている人ばかりを見ます。ひいては、家の中でも赤ちゃんを寝かせつけるのに、抱っこではなく、ベビーカーや車用のチャイルドシートにのせて寝かしつけるそうです。

□仕事復帰が当たり前
夫婦共働きしてやっと生活が成り立つような物価高のギリシャ。出産後も数ヶ月育児をして3、4ヶ月で職場に戻る人が多いです。家族間で助け合うギリシャ人。おじいさんやおばあさんが喜んで孫たちの面倒を見ているようです。それを証明するかのように、昼間、散歩に行くとベビーカーを押したおじいさん、おばあさんたちの多いこと多いこと。中には自分の親に頼ることの出来ない母親もいます。そういう人の場合はベビーシッターを頼んだり、託児所に預けたりしています。それでは働いた分のお給料がそっくりそのまま消えてしまうからもったいないと思いますが、一度辞めてから職場復帰をすることの困難さに比べたら一時的な支出は仕方ないと考えているようです。

以上、挙げていったらきりがありません。育児の経験がない方にはまったくわからない話題かもしれなく申し訳ないのですが、本当に国によりさまざまな違いがあるものです。それを面白いと捉えるのか大変だと捉えるのかで今後の育児に対する意欲が変ってきます。あまり気張らずに二つの国のいいところを取って子育てすることが出来たら、幸せだと思うこのごろです。

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各種離乳食。スーパーや薬局などで各種メーカーのものが買えるが、日本のものと比べると極端に種類が少ない。メーカーが異なっても種類はほとんど同じ。缶に入っているのは粉末をお湯でクリーム状にするもの。バニラ味、ビスケット味、フルーツ味が定番。そのどれもがお菓子のように甘い。だからギリシャ人は甘党なのか!? 袋状のものは、メーカー各社から送られてくるサンプル。粉末のもの以外には、野菜や果物をペースト状にした瓶詰めなどがあるが、これも種類は少ない。


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