■ギリシャ病院事情 2007.2.20 update

ギリシャに来て気をつけていることといえば『健康』でいること。この国の医療レベルは日本に比べたらはるかに劣り、日本人としては手先の器用な日本人医師に見てもらいたいとつくづく思う(特に、ギリシャ人の歯医者にはあまり見てもらいたくない)。ギリシャで医者にかかるというのはあまり簡単なことではないように思える。健康でいるうちはあまり意識していなかったが、実際この国の医療機関はどうしようもないくらい腐敗しているように感じる。

ギリシャにも一応公的医療保険があるのだが、対象となる病院は職種によって限られている。公務員の場合は、多数の街医者が対象であるのだが、大多数の公務員以外の労働者は限られた医者に見てもらうしかない(保険が利く医者という意味) 。そのため、風邪を引いたからちょっと見てもらいにという理由で医者に行く人はあまりいない。薬局で抗生物質まで簡単に買うことが出来るので、かなりの人が自己判断で何年も前に出された薬と同じものを飲んでいたりする。

もしくは、保険範囲内で見てもらいたいときはまず地域の医療保険事務所のようなところへ行って自分の担当医の予約を取らなければいけない。この予約が曲者で1ヶ月先といわれることばかりだ。なので、この保険が利くシステムは言葉ばかりで実際には機能していないという感じがする。けれど、年金生活者やそれが当たり前だと思っているギリシャ人はこの変なシステムに従っている。

他に早く医者に見てもらう方法は、自費での診断を受けるということ。これもかなり怪しい。自費で支払うというなら、そこらじゅうに医者はいる。そしてそれらの病院や診療所の中はとてもきれいで清潔、医者も好き勝手な料金を請求できるみたいで大変親切だ。日本だったら自己負担支払いといっても医者が勝手に決めるわけではないが、こちらでは医者が決めていて医師により請求額が異なる。それに、領収書を発行する義務のはずが発行しない医者が多いし、発行したとしても実際とは異なる低い金額を記入し、脱税を図っている。ちなみに大体の平均額は一度見てもらうのに70ユーロほどかかる。

診療所以外の公立の病院はどうかというと、これもかなりひどい。まずベッドが足りないという問題。完全看護ではないので、入院患者は自分で付添婦を雇ったりしているらしい。たいていその仕事は出稼ぎ労働者のものとなっているらしい。かなり状態の悪い患者である場合、必ず付添婦は必要なようだ。付添婦が看護婦や医師を呼びに行かないといけない。

つい最近、知り合いが公立病院で日帰りの手術を受けた。終了後はすぐに手術室から出されて帰宅する予定だったのだが、気分が悪く顔色もさえない。その場で倒れた。看護婦の姿は見えるが、彼女たちが来る様子はないし、他の医師も来ない。血圧を測るなりベッドに寝かせるなりすればいいものを完全無視。周りを見てもそういう人は多かった。

この国の看護婦の仕事というのは、まだレベルが低く、医者の事務的な手伝いをしている感じであった。こういう手術の支払いは建前では無料、もしくは精算窓口で行われる。しかし、ほとんどの医者と患者は暗黙の了解で『お礼』というものを渡している。その金額は日本で言う感謝の気持ちの菓子折りひとつの金額とは程遠いものだ。簡単な盲腸の手術ですら1,500ユーロくらいが患者の手から直接医者のポケットへ入る。もちろん経営が圧迫されている病院へはまったく入らないお金だ。

以上は、ギリシャ人の庶民がかかわっている医療事情。お金のある人たちは、公的保険や公立病院が汚くサービスも悪いということを知っているので、そのようなところへは行かない。この国で生きるには、健康であることが本当に大事である。

画像上:薬局。アパートの一階の店舗部分が良く使われている。緑の十字マークが目印で、たくさん点在している。
画像中下:医院。アパートの一室が使われていることがほとんど。赤十字マークが目で、看板には、医師の名前、専門科、どんな検査が出来るかなどが書かれている。


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