| ギリシャやその他の南ヨーロッパの人々の正餐がお昼ごはんということは、もう沢山の人に知られている。この国の人と結婚した私も当然、このリズムに従わなくてはならない。といっても、我が家は夫との二人暮しで、その彼の勤める会社はお昼休みなどないので、日本のように帰宅後に食事ということになる。それでも週末などはやはり昼がメインになる。
昼食は大体、13時から14時くらいに食べ始めるが、15時、16時からということもあり、そんなときはかなりお腹が空いてしまう。13時から14時の間に食事を整えるというのは、ここギリシャでは自炊の場合、(私にとっては)とても大変なのだ。ギリシャ料理は作るのにとても時間がかかるので、朝食を食べ終えたらすぐに取り掛かるときもある。朝使った食器を洗い、一息ついたところで昼食の準備だ。
インスタント食品やコンソメスープの素など便利なものも出回っているが、あまり使わない(私もギリシャ化されてきた。ギリシャ人はそのようなものは使いません)。鳥をコトコト煮てダシを取ったり、泥がたっぷりついている野菜を丁寧に洗うことから始まるので、相当の労働だ。日本だったら、コンソメひとつを入れるだけだったり、買ったばかりの野菜でも泥だらけということはあまりないのでさっと洗うだけでことが足りる。しかし、こちらではほうれん草を茹でるにしても、葉っぱ一枚一枚、泥を落とし、虫がいないか確認し、やっと終わるのである。とても疲れる。朝市で初めて野菜を買ったとき、どう調理してよいかわからなくて(とにかく青菜だけでも何種類もある)、隣にいた婦人に聞いた。「まずかわいた状態で土やらゴミを落として、それから水洗い。私は10回くらい水を替えて洗うのよ」と洗い方を指導された。
義理の母の生活を見ていると、本当に呆れるくらい長い間台所にいる。彼女は72歳、特に料理上手ということでもないと思うが、退職しているので特にやることはない。一日の生活は、起床、台所で朝食を取り、台所の片付け、市場やパン屋、八百屋などへ買出し、台所で料理開始、昼食、昼寝。というようなものだ。この年代の人は、スーパーマーケットなどの大型店よりも昔ながらの小売店で買い物をするのを好む。
彼女の場合、正体のわからないものは一切食べない。トマトソースもトマトをすりつぶして、コンソメや缶詰、とにかく何か手の加えられているものは一切口にしない。パンでさえも、パン屋さんのパンのみで、袋詰の食パンなんてもってのほか。口に入れるものは全て自分で作る。昨日は、クッキーを作るとかで本当に一日中台所にこもっていた。その量が半端ではなく、お楽しみとしてつくっているのではない。出来合いを買いたくないから、いつでも食べたい時に食べることができるように沢山作るのだ。
週に一度のライキ(住宅地の道路上で新鮮な野菜や果物が売られている)では、驚くべき量を買う。オレンジであれば、スーパーの大きなビニール袋ふたつ分、トマトも然り。とにかく最低量が1キロなので仕方がない。昔はちまちまと買っていたが、威勢の良い店員に何か言われるのが恐く、ついつい沢山買ってしまうようになった。ライキのある日は、そこらじゅうで買い物カートを引く人を目にする。手では持ちきれない。
料理をして汚れた台所は、全てその日のうちに磨き上げられる。今まで多くのギリシャ人宅に行く機会があったが、古い新しいは別に、どの家の台所も隙がなく、とにかくきれいだ。コンロはいくら古くても、シミひとつ見当たらない。たまに自宅へ人を呼ぶ時は、本当に緊張する。コンロを磨き、窓を拭いて、チリひとつないようにしている。皆を驚かせないために…
画像右上:コンロ。いつもピカピカ。これはすでに20年は使われているもの。
画像左上:カート。ライキ(青空市)に行くときはこれを引っ張っていく。
画像右下:ついつい買い過ぎても、カートがあれば大丈夫!
画像左下:冷蔵庫に入りきらないものは、こうしてベランダに置いておく
|