■アテネ市民の足 2005.9.19 update

アテネの公共交通機関は、アテネを網の目のように走るバスが3路線、現在も建設予定路線のある地下鉄、アテネ市内を走るトロリーバス、オリンピックに間に合わせて作ったが余り利用客の少ないトラムの4つがある。

アテネ市中心部の交通渋滞はとてもひどく、さらに騒音や環境汚染の問題もあり、自家用車の乗り入れは厳しく規制されている。ナンバープレートの下一桁が偶数か奇数によって、アテネ中心部を入ることができるかが分かれる。これは違反すると罰金を取られるので、皆しっかりと守っている。いつも車で移動できれば、アテネはそれほど広い都市ではないので移動は簡単だ。

私は車を持っていないので、アテネでの移動は公共交通機関に頼ることになる。地下鉄、バス、トロリー、トラムと4つも手段があるのだからそんなに大変なことはないというのは間違い。アテネは中心部から離れるにつれて、住宅街となる。地下鉄の駅が家の近くにあれば、とっても便利なのだが、アテネの広さに対しこの地下鉄は十分な長さを持っていないし、まだまだアテネをカバーしているとはいえない。新しくできたトラムもオリンピックのために競技会場までの足として建設されただけあって、日常の移動に便利なわけではない。トラムの路線はバスも似たような道を走るので、渋滞がなければバスのほうが断然早い。

というわけで、今回は私の足となり活躍するバスについてのお話。この路線バスはいつも使っているもの以外はとっても複雑だ。まず日本と異なるのは、バスの中で停車駅のアナウンスなるものは存在しない。それにもっと困るのは、降りる人、乗る人がいなければバスは駅を通り越していってしまう。だからバスを乗りこなすには、自分がどこで降りるのかどのバスに乗るのかということを知っていないといけない。

バスの路線図なるものも存在するのだが、網の目のように走っているので、それぞれの停車駅なんかは記載されていない。バス停には、バスの走る通りの名前が記載してあるだけ。路線図もあるにはあるのだが、駅の名前がこれまた面白く頼りにならない。たとえば、ペフコ(松の木)、カフェニオン(喫茶店)などなど。松の木だって喫茶店だってそこらじゅうにたくさんある。あまりよい目印とはいえないけども、考えてみればほかにこれといった目印がないからかとも思う。

中心部のバス停にはいつも人の固まりができていて、なかなか来ないバスをまだかまだかと待っている。面白いことにアテネのバスは、バスが来る時間が集中している感じがある。来ないときは待っても待っても来ないのだ。そして来るときは、同じ番号(同じ路線、同じ行き先)のバスや、同方向のバスが立て続けに来る。バスを待っている間、その土地でない人は自分の乗るべきバスが何番なのかを聞いて回る。ギリシャ人は困っている人にとても親切なので、自分があまりわからなくても一生懸命答えようとする。それでもわからないとまた周りの人に助けを求め、なんだか知らない間に大論争が始まったりする。

さていよいよ乗るべきバスがやってきたら、まず手を肩の高さにあげてバスに合図を送りバスを停める。周りにたくさん人がいるから誰かが止めてくれるだろうと油断をしていると、そういうときに限ってバスは止まらずに行ってしまう。そして、バスに乗り込んだら先ずどこかにすばやく掴まる。そうしないと、バスはいつでも急発進なので倒れてしまう。高齢者が乗り込んで倒れそうになる前に(倒れそうになってからではない)、周りにいる人たちがすばやく手を差し出し支えたり、座っている誰かが席を譲る。とっても当たり前の光景で、見ているとほのぼのする。

先日、バスに乗ったときの会話がおかしかった。高齢の女性が乗ってきたとき、座っていた高齢の女性が「もう私はすぐ降りるからどうぞ」といって席を譲ろうとした。「私は後2つ先で降りるからこのまま立っているよ」とやわらかく断った。普通ならここで話は終わるのだろうが、席を譲った女性が「私は3つくらいの駅じゃあ歩いちゃうけどね」と。別の人も会話に割り込み「バスを待ってるくらいだったら歩いたほうが早いかもしれないけど、年を取ってくると疲れるからねえ」、「でも歩くのは健康にいいんだよ」…この先延々と会話は続いた。バスの中に乗っている人同士いつも会話をしている。

そんな乗客を乗せて進むバスの主は、運転手だ。バスの中では彼らの指示に従わなくてはならない。バスの社内は禁煙なのだが、たまにタバコのにおいが。誰かと思うと運転手さんだった。彼らは運転中も携帯電話片手におしゃべりしたり、タバコをすったり、コーヒーを飲んだりしている。日本ではありえない。運転もとても慎重な人がいたかと思えば、猛スピードで飛ばす運転手もいる。また、ラジオをかなりの音量でかけたり、お気に入りの音楽を聴きながら運転する人もいるのだ。このことについて文句を言う人はいない。仕事さえ(バスを走らせること)きちんとやっていれば良いというのだろう。

バスについてはいろいろ書くことがあるので、また近いうちに第2弾をお知らせします。

画像上:アテネにはいくつもの丘があります。このリカビトスノオカは、パルテノン神殿のあるアクロポリスにならび有名。丘の麓にもたくさんのアパートが立ち並び、細い路地にもバスは入り込んでいきます。
画像中:バスの中で写真を撮りたかったのですが、たくさんいる乗客の目を気にして断念。これは出発前の空いているところ。
画像下:ギリシャ人は時間の許す限り戸外で過ごす。家の前に椅子を持ち出して、朝食を食べたり。この画像はゲームに興じる人たち。


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