■毎日毎日料理を作るのは 2005.6.20 update

毎日毎日料理を作るのは、とても大変なことだと最近気が付いた。ギリシャに来てから初めの頃は、ギリシャ料理の本を参考に代表的なギリシャ料理を作っていたが、とにかく時間がかかるので、最近は簡単な日本食や中華が多くなっている我が家の食卓である。

ギリシャ料理はとにかく時間がかかる、と私は思う。理由としていくつか考えられるのは、まず一般家庭にはガスが普及していないので、お湯を沸かして野菜を茹でたりするだけで日本での3倍の時間がかかってしまう。ガスであれば、炒め物も短時間で簡単に作ることができるが、電熱線のコンロではいつまでたっても出来上がらない。

そのほかの理由としては、でき合いの食品や、料理に一振りするだけで中華味になったり、韓国風になったりするような調味料がない。スーパーに行っても、トマトの水煮の缶詰は何種類もあるのに、そのすべてがただのトマト。日本だったらひき肉やアサリが入っていて、スパゲッティーにかければ出来上がり、となるような缶詰がたくさんあるが。

スーパーや街の市場で野菜を買う。この野菜たちはとても新鮮でおいしいのだが、畑から直行で来るのか泥だらけだったり、虫が混ざっていたりする。トマトやキュウリ、ピーマンといった野菜は日本で売られているのと同じようにきれいだが、ほうれん草などの葉っぱ類は、洗うのに本当に手間がかかる。

ギリシャに住んでいるからには、この状況の中で料理していくほかはない。味付けに使っているのは、塩、コショウ、レモン、ハーブくらいだ。健康的な食事だなあといつも思っている。日本でもおなじみのロールキャベツ。日本では、コンソメスープやトマトスープで煮込んで、食べるときにケチャップをつけているが、ギリシャのロールキャベツは違う。中身の味付けは塩、コショウ、ハーブ類のみ。キャベツの葉1枚で包んでいくので、一つ一つが小さい。鍋に並べて煮込んでいくが、そのとき入れるものは塩、コショウとオリーブオイル。

ここからが、日本版と違うところ。卵数個を黄身と白身に分け、白身を泡立てレモン汁を加える(こってりが好みなら黄身を少し加えても良い)。ロールキャベツが入っている鍋から少量のスープを白身とレモン汁を混ぜたものに加えかき混ぜる。あまりたくさん熱いスープを加えると、白身が固まってしまうので注意。鍋の中身が少しさめた頃に、白身のスープを鍋に加え、鍋を揺らして固まるのを防ぐ。この味付けは「アブゴレモノ」、つまり卵レモン味と言う。ロールキャベツのみならずいろいろな料理に良く合う。これはただの一例に過ぎないが、このようにギリシャの家庭の主婦は、原料が何かわかるものだけを使って料理している、というかそれしか方法がない。確かに時間はかかるが、体のことを考えるとギリシャの食生活は豊かだ。

ギリシャ料理は野菜の下準備や、肉の下処理(鶏肉などは1羽丸ごと買ってきて家でさばく人も多い)などに時間がかかる。日本では1日2回または3回は主婦が台所に立ち食事の用意をするが、こちらでは1回が平均だ。また、一度に作る食事の量が多いので、翌日も同じものを食べることも普通だ。朝はコーヒーくらいなので、朝から料理する人はいない。週末などは、午後にたくさんの食事を取るので、夕食は必要なく、簡単にヨーグルトやサンドイッチ等で済ましてしまう。平日は、お昼を軽く仕事のあとに正式な食事となる。日本では、朝ごはんを食べることはとても大切だと教えられてきたので、この国の朝食の取り方を見ていると驚いてしまう。

料理に時間がかかっても、できるだけ自然に近い食事を楽しむことのできるのは良いことだ。これからも、スーパーにでき合いの食品やレトルト食品が大量に出回ることはないだろう(現在、レトルト食品等も売られてはいるが、あまり買っている人を見ないし、種類、個数もわずかである)。

画像上:ギリシャ家庭料理のイエミスタ。トマトのほか、ピーマンに詰めても良い。日本人の口に合う。
画像中:サクランボは今シーズン。1キロ400円ちょっと。アメリカンチェリーが主だが、たまに画像のような色の日本でのサクランボに近いものもある。しかし少し高い。
画像下:ある日曜日のお昼ご飯。左奥の四角いものがムサカ。小さく細長い緑色のものは、ひき肉とお米を包んだドルマデシュ、ほかにズッキーニを茹でたもの。白いソースは、卵とレモンのソース。


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