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5月1日はギリシャ正教のイースター。イースターは毎年移動するのだが、今年はずいぶんと遅いイースターだった。5月ともなれば、初夏のような日もあるギリシャ。とてもよい天気に恵まれた。
物価高に苦しむギリシャだが、この日ばかりはいくら羊が高価だといっても、買わずにはいられない。家族親戚が集まって、皆で羊を焼いて飲んで踊ってイースターの休日を楽しむのだから。ギリシャでイースターを迎えるのは今年で3回目。今年、私がどのように過ごしたかを紹介します。
29日の聖金曜日。午後から近所のライキ(朝市)に出かけ、新鮮な野菜や果物を買う。イースター当日にたくさんのご馳走を食べるのだから当然市場は大賑わいだ。皆口々に‘カロパスカ’(良い復活祭を)というような言葉を掛け合い、日本の大晦日のようだ。この日、オモニア地区にある大きな市場は、羊を飼う人で賑わっていた。私たちは4人家族なので、羊を丸々1頭食べることは無理。それでもかなりの量を買い込んだ。この市場では頭もしっかり付いた羊がたくさん並んでいて、それを買った人が担いで帰る様子が微笑ましい。
30日、聖土曜日。ギリシャの主婦たちは、この日キリストの復活を祝ったあとで食べる‘マギリッチャ’という羊の臓物スープを作る。内臓を細かく切って野菜と一緒に煮込むスープだ。深夜12時過ぎから、人によっては羊肉を焼き始め、夜通し騒ぐこともあるという。私の家は、臓物ではなく羊の肉をレタスやハーブとともにコトコト煮込み、最後にレモンと卵で味を調えたさっぱりスープだった。スープを食べたあと、真っ赤に染めたイースターエッグを割り合い、明日に備えてベットにはいった。
1日、イースター当日。アテネの街はゴーストタウンのようだった。たいていの人は、ずいぶんと前から別荘に出かけたり、海外へ旅行に出ている。すいているアテネの街を、車を飛ばしてアテネから50kmくらい離れたところにある村へと出かけた。ここは海沿いの村で、夏には海水浴客で賑わう。山々にはアネモネやマーガレットが咲き乱れ、枇杷の木にも実がなっていた。路上の枇杷の実をもぎ取って食べてみたが、さすがにおいしかった。
家についてまず始めたことは、羊の準備だ。塩コショウ、オレガノで味をつけ、オーブン皿に載せ、近所のパン屋へ。とっても簡単な味付けだけど、これがギリシャ料理の基本だ。9時を少し過ぎたところだったので、遅くはないと思ったが、パン屋の店先にはたくさんのオーブン皿が並んでいた。羊丸ごと乗っているものも多かった。店の大きなオーブンには、すでにいい色に焼けている羊たちが食欲をそそる匂いを出している。オーブン料理はパン屋の大きなオーブンで焼いてもらうのだ。車の中から羊1頭が乗った大きなオーブン皿を抱えて出てくる人の姿は、日本では見ることがない。
5月1日は春の始まりを祝う意味で、毎年みんな野花を積んで’ステファニア‘と呼ばれる花の冠のようなものを作る。そのために必要な花を摘んだり、庭にあるレモンやオリーブの木に水をあげたりしてすごした。近所の家からは羊を焼く匂いが漂っている。どの家庭も親戚一同そろって、お祭り騒ぎだ。皆外で羊を焼いているので、通りかかるだけで’こっちへ来て一緒に食べていかないか?‘と言われる。ギリシャ人の良い面ばかりが目立つ日だった。
パン屋に頼んだ料理が出来上がり、やっとテーブルを囲むことができた。屋外での食事は特別おいしく感じる。こんなときつくづくギリシャ人は、食べることをとても楽しんでいるなあと感じる。たらふく食べたあとは、軽く昼寝をして夕方起きるのだが、それでもまだ外は明るいのが嬉しい。近所の人たちがやってきておしゃべりに花が咲く。こうしてイースターの日曜日は終わった。
画像上:羊の丸焼きの様子。
画像中:ステファニア 摘んだばかりの花で作る。
画像下:ステファニアはベランダに来年まで飾っておく。
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