|
日本の家庭で毎日誰かがご飯を炊くように、ギリシャでも毎日家庭の誰かがすることがあります。それは、パンを買いにいくことです。ギリシャ人は食事のときに必ずパンを必要とします。そしてその量が、たぶんほかのパンを主食とする国よりもはるかに多いと思われます。今回はギリシャ人にとって、なくてはならない存在のパン屋さんについて書こうと思います。
私はアテネの一般的な住宅地に住んでいます。徒歩5分以内にあるパン屋の数は知っているだけで4軒になり、もう少し足を伸ばせばその数は倍になります。引っ越してきた当初は、まずどこにパン屋があるのかなあと近所を見渡しました。パンを抱えた人にすれ違い、その方向に進んでいくと大概見つかります。そうして見つけたパン屋が4軒です。日本のパン屋との違いは、大概売っているパンの種類に大差がないこと。店に入るとレジカウンターの向こう側にある棚にパンがごろごろと並んでいて、店員にどのパンがほしいかを告げて購入する仕組みです。
一般的なのが、皮が硬く中身に重量感のあるホリアティコプソミ(田舎風)、花の形をしていて少しやわらかく甘みのあるのがマルガリータ、ファルマは型に入れて焼いた筒状のパンで、まわりは型につけたバターの香りがします。こうした名前は店によって変わることがありますが、種類が少ないので困ることはありません。気になる味のほうはやはりパン屋によって微妙に違います。同じホリアティコプソミでも中身がすかすかですぐに硬くなってしまうものと、翌日になってもしっかり味が残りおいしいものからいろいろです。私の場合は家から一番近いパン屋さんが、一番おいしいパンを焼いていると思うのでとてもラッキーです。評判はよいらしく、いつ行っても必ず数人がパンを買い求めに来ています。
ギリシャ人は午後2時ころにメインの食事を取るため(といっても働いている人はそうはいきませんが)、夕方パンを買おうと思っても、小さなパン屋さんは閉まっていることがほとんどです。スーパーでも焼きたてのパンは買えますが、翌日にはカチカチになってしまうし、味も劣ります。日本ではパンを買うときちんと小分けして袋に入れ、さらにビニールの手提げに入れてくれますが、こちらでは薄い紙でパンをくるくると包み、終了です。家に帰るまでの数分、香ばしい香りに耐え切れず、パンの端っこをちぎって食べてしまうことも多々あり。これは私だけではないようで、こぎれいに身を整えた高齢の男性がパンをちぎって食べながら歩いている姿も珍しくありません。
パン屋さんにはケーキやクッキーを売っているところもあります。クッキーは1キロ単位の値段がついていて、小さな紙袋に好きなものを自分で入れて、計量してもらい清算します。クッキーが山積みにされている眺めは甘い物好きにはたまりません。日本のように試食があるわけではないので、みんなつまみ食いしながら選んでいます。たまに買うわけでもないのに、パンを買った帰り際にクッキーをつまんで帰る人もいます。値段にすればたいした額でもないので、そんな小さなことはいちいち気にしないギリシャ人気質を見た気がしました。小さいクッキーやお菓子など、計量しても数セントにしかならないものは、ただでくれることはよくあります。あまりにも頻繁だと申し訳ないので、最近は多めに買うようにしています。
面白いことにそのクッキー、どの店に行っても形やチョコレートのコーティングの仕方が同じなのです。スーパーマーケットでもクッキーは売っていますが、パン屋のクッキーのおいしさには敵いません。自分で選んで袋に入れるという行為が、おいしさを増しているような気もします。焼きたての新鮮なパンと、フェタチーズとオリーブオイルをたっぷりかけたサラダの組み合わせは最高です。日本の白米と納豆でご飯が進むという事実と同じだと思います。
画像上:パン棚に焼きたてのパンが並んでいる。
画像中:長さは30cmくらい。重量は300グラムから350グラム。ゴマつきのがホリアティコ、もうひとつは、名前は不明だがとてもおいしい。
画像下:クッキー。かごにたくさん積まれている。
【短信】やっとアテネでもオリンピックを迎える雰囲気が漂ってきました。(6/5)
|