■ギリシアの社会問題 2003.10.13 update

現在、ギリシアが荒れている。来年のオリンピックに向かって急ピッチで進んでいるはずの工事も重大な問題の一つだが、それ以上にだんだん熱が入ってきたのは、オリンピック以前に行われる総選挙の活動である。現在ギリシアは社会党が政権を握っているが、新聞やテレビなどが行う国勢調査では、反対勢力の民主党が政権を握るのではないかという結果が出ている。一つこの状況を変える要因となりそうなのが、国の首相に向いているのは誰かという調査に対しては、現在の首相の方が民主党の党首よりも上を行っているということである。

日本において選挙というのはそんなに国民の注意を引くような物ではなくなってしまったが、ギリシア人にとっては、どの党を応援して、どの党が政権を握るかというのは、未だに生活に大きな影響を与える要因である。というのも、ギリシアは非常に公務員が多く、その人事は、その人の能力よりも、どの人と知り合いであるか、どの党を応援しているかが重要なポイントとなる。つまりギリシアは『コネクション社会』であるとよく言われる。なので、選挙というのは一般市民にとっても大きな関心ごとである。

民主党は、来年の1月から公務員の給料を上げるという政策を打ち出した。それに他の政党は『詭弁だ』とか『選挙のための政策だ』など反撃が非常に強かったが、それ以上にリアクションが大きかったのは、その給料が上がる公務員である。その内容というのは、『給料増加率が少ない』ということである。例えば、学校の先生の給料増加率は約7パーセント。しかし彼ら自身が望んでいた増加率は20パーセントというのだから、衝突が起きるのもしょうがない。そして結局現在大学はストライキに入り、活動が停止している。大学は普通9月に期末試験の再試験が行われ、これにより卒業を迎えるという学生もいる。少なからず私自身もそうなのだが、このストライキが理由で、卒業がかかった再試験が未だにいつになるか発表されていないという状況である。他にも医者がストライキをして病院がしまってしまうし、農業省の人がストライキをするということも起こっている。

また給料増加の話とは別にタクシードライバーのストライキも起こった。内容は、今年中に全てのタクシーに領収書を発行できる機械を装備させるということに対して、そんなことはできないと反対したからである。何故こんなに強く反対しているのかというと、表面的には『機械の値段が高い』とか『準備ができていない』などといっているが、それ以上に重要なのが、『脱税ができない』ということである。ギリシアのタクシーの質の悪さは良く聞く。それは観光客に対してだけではなく、ギリシア人自身に対しても料金をぼったくりするというぐらいである。なので、その悪質なことを防ぐために領収書発行の機械を装備させるという政府と、悪質なことができなくなるタクシードライバーの間に衝突が起こるのは当然だった。

また、タクシーだけでなくガソリンスタンドでも同じ機械をつけるという話で問題になり、二日間ガソリンスタンドが完全にしまってしまった事もあった。そのガソリンスタンドが閉まる前の日は、どこのガソリンスタンドでも長蛇の列となり、いらいらした人たちの間で殴り合いの喧嘩が起こった所もあった。ガソリンスタンドに対してはすぐに政府の対処がありストライキは長く続かなかったけれども、もし政府の対応が遅れたら、どうなっていたのだろうか。

もう一つ重要な問題。それはインフレである。インフレは通貨がユーロに替わって以来ずっと続いていたが、8月の終わりに大きなスーパーマーケットが来年まで値段を上げないと宣言した。しかし、9月に入り例年のように値上げをしたスーパーが多数あり、値段の表示と実際に払う値段との間に違いが生じた。また、値段が上がった状態で『値段を変えない』という政策が適応されてしまったのだから、国民は批難をはじめた。現在内務省が値段を調査しているところである。

問題はこれだけではないが、非常に社会は混乱している状況である。もちろんこれらの問題は急に出てきたものではなく、ずっと似たようなことは起こっていた。それが今また熱を帯びてくるのは、『ストライキをして、休みを取りたいだけ』と考える人もいるかもしれないけれども、ギリシア人にとって生活に必要な出費が異常に上がってしまった今の社会だとかなり重要な問題であると思う。この問題に対して政府に抗議ができるというギリシア人の行動力は、ギリシアという国が今後もまだまだ発展する可能性を持っているという証拠だと思う。これらが全て証明されるのは何年先になるかわからないが、いつか『EUのお荷物』と呼ばれている国が、その力を十分に発揮させる時期が来るだろう。

画像上:国会議事堂
画像下:スーパーマーケット


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