■アテネ交通事情 2003.1.20 update

首都アテネでは1年半後のオリンピックに向けて道路のあちこちが掘り起こされて、朝夕ラッシュ時の交通渋滞がますますひどくなりつつあります。もともとギリシャはかなり交通事情の悪い国です。自動車の数と比較して駐車場の面積が少なすぎるのが元凶で、狭い道路の両側が住民の自家用車でびっしりと埋まり、本来は両側通行だったところが一方通行に指定されています。行く手をさえぎられて歩行者が道路中央を歩かなければならないこともよくあります。

横断歩道はまさに戦場です。警察がどういうつもりでこういう設定にしているのかわかりませんが、信号機が青になったと思ったら瞬く間に赤に変わってしまうのです。慣れた住民は赤になっても悠々と渡り続けるため、やがて人と車が横断歩道上で入り乱れることになります。また、左折をしようとする車が左折レーンに並ぶ数台の車を追い越して先頭に割り込みする「習慣」も困りものです。当然、この車は横断歩道上で歩行者と鉢合わせになります。時には、さらにその前に割り込みしようとする車さえいる始末です。2000年の統計によれば、ギリシャでは人口10万人当たり20.1人が交通事故で死亡していて、日本の約2.5倍、EU内で2位(1位はポルトガル)だそうです。

公共交通機関を利用する場合でも、のほほんとしているわけにはいきません。バスはアテネ市内を隅々まで走っていて便利な乗り物ですが、相当に経験をつまないとどこを通ってどこに行くのかわからない、案内がないので降りるタイミングを逃しやすい、降車ブザーを押しても運転手が後部ドアを開け忘れることがある(この場合、ギリシャ語で「後ろも開けてくれ」と叫ぶ必要あり)、などの問題があります。

初乗り料金2ユーロのタクシーも気軽に使える庶民の足ですが、「相乗り可」であることが事態を複雑にしています。客が道でタクシーに合図する(地面と平行か少し下げぎみに腕を横に出すのがギリシャ流)と、空車だけでなく別の客を乗せたタクシーも近寄ってきます。この時、タクシーは少し速度を落としますが完全には止まりません。ちょうど車が目の前を横切った瞬間に、客は大声で目的地を叫びます。この目的地がすでに乗っている客の目的地と同一方向であれば、タクシーは少し先で止まります。この方法でタクシーを拾うには、タイミングよく十分な声量で発音正しく地名を叫ぶという技術を習得しなくてはなりませんし、何度も断られる不愉快を我慢しなくてはなりませんが、ラッシュ時やコンサートの帰りなどにタクシーを拾うにはこれしかありません。ちなみに、後から乗り込んだ客はその時点でのメーターの金額を覚えておいて、降りるときに差額プラス基本料金を支払うことになっています。これも初心者にはちょっと難しいですね。

否定的な面ばかり強調してしまったようですが、希望もあります。1990年代末から次々と新設・延長された地下鉄です。駅構内は清潔で明るく、車両はぴかぴか。運行は規則的かつ頻繁。地図や案内が完備されて行き先を間違えようがない。地上とは別世界です。まだ地下鉄工事は大々的に続けられていて、現在の大目標は2004年夏のオリンピックまでに何とかアテネ新国際空港と連結すること。間に合うかどうか疑問視する声もありますが、私は大いに期待しています。地下鉄に加えて首都環状道路が完成すれば、アテネもずいぶん住みやすくなることでしょう。でも、先日、建設中の地下鉄トンネルが突然陥没して地上を走っていた自動車が穴に落下するという事件がありました。幸いにして運転手は無事でしたが、やっぱり間に合わないのでしょうか。(終)


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