■ロシア少子化対策アメとムチ 2007.7.3 update

今、ロシアは日本と同じように出生率低下という問題を抱えています。2050年には、ロシア連邦の人口は、現在の1億4,300万人から1億100万人まで減少すると予測されています。低下しつつある出生率を上げるために今年の1月1日から通称「マザーズ・キャピタル」という法律が施行されました。

この法律によりますと、今年(2007年)の1月1日以降に二人目または二人目以上の子供を生むか、養子を取ると、子供の保護者の年金基金口座に25万ルーブルが補助として入金されます。25万ルーブルは、日本円にして約120万円。ただし、このお金を実際に使えるのは、2010年以降で、使い道も今のところ三通りしか認められていません。一つは、住宅事情を改善するための費用として。二つ目は、子供の教育費。三つ目は、扶養者が後に年金として受け取る。

120万円あれば、ロシアの地方に行けば中古の1Kのマンションが買えるかもしれませんが、モスクワやペテルブルグといった大都市では、120万円で買える物件は見つからないでしょう。ソ連時代にはタダだった教育費(高等教育)も最近は有料化しつつあります。子供が大学に行くころになれば、殆ど有料になっているのではないでしょうか。今の生活に余裕があれば、年金基金に寝かせておいて、後に支給を受ければいいでしょう。2010年の予算には、「マザーズ・キャピタル」向けに1,308億ルーブル計上される予定です。これが少子化対策のアメの部分。

その反対となる少子化対策のムチの部分になるのが、独身・無子・少子に対する罰則を設ける案。こちらは、まだ案であって法律化されておりません。具体的に言いますと、1944年から1950年代の終わりまでソ連にあった「無子税」(*)なるものを復活させようという案です。

当時のソ連では、20歳から50歳までの独身男性または結婚していても子供のいない人、20歳から45歳までの独身女性または子供のいない女性は、所得の6パーセントを「無子税」として納めなければなりませんでした(ただし、月給が70ルーブル以下の人は課税対象外、91ルーブル以下の人は割引あり。健康上の理由で生めない人も対象外)。子供を一人しか生まない夫婦は「少子税」として所得の1パーセント、子供が二人の家庭は、0.5パーセントを納税していました。逆に、子供を四人以上生むと、四人目から生むごとに増える手当てがもらえ、15年以上の職歴があれば50歳から年金生活者となることもできました。さらに、子供を10人生んだ母親は「母親英雄」という称号が与えられ、勲章を授与されました。

少子化対策のアメとムチのアメとして先に導入された「マザーズ・キャピタル」の効果が表れなかった場合、「無子税」復活もありえるかもしれません。


註(*):この「無子税」は、もともと第二次世界大戦の戦争孤児を救済するための目的税だったようです。

画像上・下:ロシア人親子(撮影は、ビールフェスティバルにて)


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