■珍品の館(クンストカメラ) 2007.4.3 update

サンクト・ペテルブルグ市、ヴァシリー島のネヴァ河沿いに人類学・民俗学博物館、通称「珍品の館(クンストカメラ)」という博物館があります。この博物館のある辺りは、昔から学問の中心で、現在はその他にも、動物学博物館やロシア科学アカデミー、国立サンクト・ペテルブルグ大学などの学術研究機関が集まっています。

ペテルブルグの創立者ピョートル大帝は、宮廷儀式以外のことなら何にでも興味を示し、自然界と人類における珍しく希少なあらゆるものを収集していました。ピョートルは、自らヨーロッパへ視察に行き、そこで見つけた珍しい自然の産物、動物や鳥の剥製、東洋からもたらされた珍品の数々を買い集めました。そんなピョートルの珍品コレクションは、フォンタンカ川沿いの夏の宮殿に保管され、この保管場所のことをヨーロッパ風にクンシュトカメラ(珍品の収集保管所)と名づけました。その後、クンストカメラ専用の建物が今の場所に建てられ、1728年に開館しました。

クンストカメラは、ロシアで初めて一般に公開された博物館で、現在コレクションの数は100万点を超え、世界でも類を見ない人類学・民俗学博物館と考えられています。世界中の珍品・美術骨董品が集められたこの博物館には、日本のコーナーもあり、鎧兜や雛人形等が展示されています。日本に関する所蔵品は9000点ほどあり、中には鎖国時代にオランダ商人によって日本で買い集められ、オランダ経由でロシアへ渡ったものも数多くあります。

個人的には結構気に入っている博物館の一つなのですが、日本人の観光グループの入場観光地として旅程に組まれることはまずありません。理由として考えられるのは、ペテルブルグには他に見るところが沢山あるというのも一つですが、この博物館の展示品はその名のとおり珍品ばかりで、中にはかなりグロテスクなものもあるので、誰にでも気に入る内容とは言えないのです。

ピョートルは、何にでも興味があったと書きましたが、医学(特に解剖学)にもとても興味があり、ピョートルが解剖に使ったメスや、ピョートル自ら抜いた歯のコレクションも展示されています。この博物館の中で一番衝撃的なコレクションは、シャム双生児や頭が二つある動物の剥製、ホルマリン漬けにされた奇形児が展示されたコーナーです。ピョートルは、奇形児が死産したらクンストカメラに納めなければいけないという法令まで出してロシア中から奇形児を集めたそうです。

ピョートルがクンストカメラを創るように命じた趣旨は、コレクションを見て、驚いて、勉強するように国民に促すためだったそうですが、そのコレクションは300年近く経った今でも訪問者を驚かせ続けています。

画像上:珍品の館(クンストカメラ)
画像中:ピョートル大帝がドイツで購入した鉱物
画像下:ピョートル大帝の解剖道具と、自ら抜いた歯のコレクション


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