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ここのところ毎日のようにマスコミがアルコール中毒事故について伝えています。報道によると、まるで伝染病のようにロシア各地で飲用に適さないアルコールによる中毒事故が相次いで起こっているようです。リア・ノーヴォスチ社の報道によるとイルクーツク州では先の2週間で60人が中毒になりました。ヴラジーミル州では137人が中毒になり102人が入院、タムボフスク州では週末だけで25人がアルコール中毒になっています。先月はさらにひどい状態でした。ベログラド州では10月30日の朝6時の時点で921人が病院に運ばれ、45人が死亡、25人が重態。9月の末から非常事態体制がしかれているプスコフ州では450人が入院、15人死亡。
中毒の原因は何なのか? 地方の権力機関、救助組織、保健機関は口をそろえて偽物のアルコール飲料を指摘しています。ただし、偽物のアルコール飲料とはただの粗悪な密造酒だけではありません。中には、工業用アルコールや除菌剤、液体燃料や不凍液を飲んだ例も報告されています。もっとも、アルコールを多く含む除菌剤や洗剤、オーデコロン等は、前からアルコール依存者に飲用されており、製造者もそのことは知っていました。それなのに、何の予告もなく製造者が飲用にまったく適さないように毒物を混合させたとみている専門家もいます。日本では、洗剤に“混ぜるな危険”の注意は見かけますが、さすがに“飲むな危険”とは大きく書きませんよね。誰もまさか飲めるとは思わないでしょうし。
この集団アルコール中毒をロシアの衛生医師の第一人者ゲンナジー・オニシェンコ氏は、納税を拒否したり、他社製品の偽物を製造したりしている会社を取り締まるために、ロシア連邦の12地域で計画的に行われたキャンペーンではないかとみています。先にあげたプスコフ州のある病院の院長は、今までにも粗悪アルコールによる中毒患者はいたが、今までだれも気にとめなかっただけだと言っています。
ロシアの統計機関の資料によると毎年4万人以上がアルコール中毒で亡くなっています(2003年は45,000人、2004年は42,700人) 。ただし、この数字はアルコールが原因で死亡した人の数で、密造酒や工業用アルコールを飲んで死亡した人の数ではありません。つまり、アルコール中毒で死亡する人のほとんどが、一般に売られている飲用のアルコールで死亡しているのです。短時間に多量のウォッカを飲めば、それが致死量となります。
また、アルコールが原因で起こる交通事故や犯罪も大きな問題となっています。ロシアで起こる犯罪の約80パーセントが飲酒後に起こしたものとされ、こうしたものもあわせると、毎年約60万人がアルコールと何らかの関係で死亡していることになります。
アルコールとロシア人の平均年齢にも深い関係があります。ロシア人の現在の平均給料では69リットルのウォッカを買うことができます。1970年には17リットル、ゴルバチョフ書記長が禁酒政策を取った1987年には11リットル買うことができました。1970年のロシア人男性の平均寿命は63歳、87年には65歳といったん延び、現在は59歳と短くなっています。だったらまた禁酒政策をとればいいのでは?と思いがちですが、過去に禁酒政策をとった1914年と1987年のいずれも後に国の崩壊へとつながっています。ウォッカとロシアはそう簡単には切り離せそうになさそうです。
画像上:ウォッカ「スミルノフ」
画像下:ソ連時代の禁酒ポスター
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