■サンクト・ペテルブルグ歴史地区の景観 2005.3.7 update

「世界遺産」という言葉は誰もが聞いた事があると思います。また、「世界遺産条約」というものがありまして、「自然」と「文化」を、人類全体の宝物として損傷、破損等の脅威から保護し、関係機関や締約国が協力して調査・保全することの大切さをうたっています。現在、ロシア国内には19ヶ所の世界遺産がありますが、ここサンクト・ペテルブルグも、町の歴史地区と関連建造物群が1990年から登録されています。

「世界遺産」に登録されたらそれで終わりかというと、勿論そうではありません。締約国は、自国領域内に存在する遺産を保護し、保存し、整備し、将来の世代へ伝える義務があります。締約国(勿論、日本もこの条約を締約しています)は、文化遺産及び自然遺産が世界の遺産であることを認識し、遺産の保護に協力することが国際社会全体の義務である・・・ともされています。つまり、他の国で世界遺産が壊れかけたら、それが壊れないように協力する義務があるのです。

他の国が故意に世界遺産を壊そうとしたら、そんなことしたらはあかん!と注意しなければなりません。先のアフガニスタン、バーミヤン渓谷の古代遺跡群の破壊には世界中の非難が集まりましたね。あのように一気に破壊するとインパクトがありますが、もし少しずつ壊したら、それほど騒がれなかったかもしれません。

さて、長い前置きでしたが、ここからが本題です。サンクト・ペテルブルグ市の歴史地区には、18、19世紀の建物がそのまま残されています。ここのところ、ロシアの景気が上向いていて、これらの建物の中に新しいレストランやお店がどんどんできてきています。中には、これはちょっとと首を傾げたくなるものが幾つかあるのでご紹介します。

街のメインストリート、ネフスキー通りに古くからあるレストランの「文学カフェ」。ここは、詩人のプーシキンや作家ドストエフスキー等の文化人が通ったとされる有名な場所です。それが、昨年、店の1階がケンタッキーフライドチキンになってしまいました。2階がまだ「文学カフェ」として残っていますが、そのうちマクドナルドにでもなってしまうのではと心配です。

そのネフスキー通りをもっと行ったところに、ネフスキーパレスというホテルがあります。このホテルの両隣の建物が空いていて、以前からホテルを拡張する計画がありました。当初、建物の骨組みは残して、中を改築する計画でしたが、後で専門家が調べたところ、ホテルを建築した際に、隣の建物の基礎がダメになってしまったことが分かりました。結局、全壊して建て直すことになったようです。今度はまたその隣の建物にダメージを与えるのではないかと懸念されています。

極めつけは、マリインスキー劇場の拡張工事です。既に劇場増築予定地に立っていた建物の撤去作業が始まりました。撤去された建物は、歴史的価値が無かったのでさほど問題ではないのですが、その場所に新しく建てようとしているものが問題です。19世紀の街並みの中にガラス張りの近代的な建物が建てられる予定です。この計画には反対者も多く、劇場増築反対集会も幾度かありました。私も、今の街並みが好きなので、こんな建物ができるのには反対です。

「世界遺産」の中には「危機遺産」といって、武力紛争、自然災害、大規模工事、都市・観光開発、商業的密猟などによって、その普遍的価値を損なうような深刻な状態の遺産があります。ペテルブルグが、この「危機遺産」リストに加わらない事を願います。

画像上:メインストリート、ネフスキー通りに古くからあるレストランの「文学カフェ」
画像中:ネフスキーパレスホテル横の建物取り壊し作業
画像下:マリインスキー劇場増築完成予想図

お便りにお答えして

【質問】
5月中旬から2週間ほど、団体でサンクト・ペテルブルグ他に行くことになりました。一般家庭に分宿して滞在します。そこで、5月の気候や一般的な注意事項、持って行くと便利なもの、おみやげに喜ばれるもの、なんでも結構ですからアドバイスをいただければと思い、メールさせていただきました。よろしくお願いします(抜粋)

【回答】
メールをいただきまして有難うございます。5月の中頃は、ちょうど一番いい季節が始まる時期です。寒くもなく暑くもありませんが、日によって冷える事もありますので、薄手のコートもご用意ください。白夜が始まる時期でして、夜は10時半ごろまで明るいです。

最近、こちらでは日本食ブームですので、高価なものでなくても、和風の食器などが喜ばれます。箸をプレゼントして、正しい箸の使い方を教えてあげるのもいいかもしれませんね。あと、海苔巻きセットを持っていき、滞在なさる家庭で海苔巻きの作り方を教えるのもいいでしょう。お子さんのいる家庭でしたら、折り紙も喜ばれます。こちらにも、ロシア語の折り紙の本が売られていますが、綺麗な折り紙用の紙は売られていません。

最近、総領事館より送られてきた「安全上のお知らせ」を添付いたしましたので(省略)、こちらもご参考ください。また何かご質問がありましたら、お気軽にどうぞ。


<<もどる