■この日、これをやると免罪 2004.2.2 update

ロシアに長く住んでいて、一通りロシア人のする事は体験してきましたが、まだやった事がないものも幾つかあります。その一つが、寒中水泳。寒中水泳って、日本語で言ってしまうと、簡単に聞こえますよね。日本にも、冬にサーフィンしている人は、いくらでもいますから。

でも、ロシアの寒中水泳は、ちょっとわけが違います。ここロシアでは、真冬には、そう簡単に川や湖で泳ぐことはできません。なぜなら、水が、厚い氷で覆われているから。ですから、泳ぐ前の準備運動をする前に、まず氷除去作業をしなくてはなりません。身の安全も考えると、一人でできる事ではありませんね。そんなわけで、ロシア全土に寒中水泳クラブみたいなものがあります。ペテルブルグにも、4箇所、会員にして1500人あまりいるそうです。いったい何が彼らを泳がすのか?これは、普通に考えたら理解できません。

一番の理由として挙げられるのは、宗教的なもの。ちょうど日本の大寒の時期、1月19日、ロシア正教の重要なお祭り「神現祭」があります。この日、川や湖の水が神聖になり、水にもぐることによって1年間に溜まった罪を洗い流すことができるのだそうです。また、神聖な水で身を清めることによって、風邪や病気をしなくなるそうです。

この日は、ロシア全土で、寒中水泳が行われ、テレビでその模様が報道されます。よく、政治家や有名人も、ここぞ!とばかりに寒中水泳を披露し、国民に自分の健康ぶりをアピールします(ついでに、罪も洗い流しているのでしょう)。不思議なことに、神現祭に寒中水泳をして、それが原因で風邪を引いた人は、いないそうです(私がやったら、第一号になりそうですけど...)。

ロシア人が冬に泳ぐ第二の理由は、寒中水泳が、健康にいいと思い込んでいるから。これは、お酒の好きな人が、酒は健康にいいと言って飲むのと同じ効果ですね。信ずるものは、救われる。しかし、あれだけ寒い思いをすれば、ちょっとやちょっとの寒さでは、ビクともしなくなるのでしょう。ひょっとしたら、本当に健康にいいのかもしれませんね。

私の知り合いにも一人、寒中水泳経験者がいるのですが、彼の場合はすごくいい加減な動機でした。映画「タイタニック」を観て、厳寒の海に沈んでいったデカプリオの寒さを体験したくなったからだそうです。「だったら、デカプリオのように沈んでいれば…」と皮肉ってやりました。

画像上:寒中水泳準備OK
画像下:神現祭のお清め


<<もどる