■クレイグ・ダロック城 2004.6.14 update

ビクトリアには、大富豪が建てたお城がある。スコットランド出身のロバート・ダンスミュアが、カナダで石炭鉱脈を当て財を築き、「新大陸で君のためにお城を建ててあげる」と宣言した通り、妻ジョーンに捧げた大邸宅である。1887年から城の建設は始まったのだが、ダンスミュア氏自身は、完成直前の1889年に亡くなってしまう。4階建ての城は87段の階段があり、39部屋の総面積は1,800平方メートル。最上階の塔からは、ビクトリアの街並みが一望できる。

現在は歴史博物館として、年間15万人の入場者を数えるビクトリアの観光スポットとなっている。荘厳な石造りと赤い屋根がかもしだす威風堂々たる外観。ダンスミュア一族が住んでいた当時のブルジョア生活を再現した重厚な家具や調度品の内装。なかでもイギリスから取り寄せた床のタイル、アメリカで美しく加工された木製パネリング、細工の見事な壁紙など、最高に凝ったインテリアが見ものだ。ジョーンが専用に使っていた居間に飾られている人間の髪の毛と馬の毛で縄のように編んだ上、形作られた珍しいリースも面白い。

クレイグ・ダロック城は、ダンスミュア家の手を離れた後、1919年からは陸軍病院として使われたり、ビクトリア・カレッジや音楽学校として1979年まで使用されていた。陸軍病院として使われていた頃には、広い寝室が女性用トイレに改造されたり、最上階にあったダンスホールは、カレッジ時代は図書室に変身したり、時代によってさまざまな顔を持っていたという。ビリアード・ルームの木製パネルに刻まれたビクトリア・カレッジの学生の落書きが今も残されており、当時を偲ばせる。

1979年以降は、前述したように博物館として観光客を迎えている城だが、現在もいろいろな用途に使われている。ひとつは、城全体を映画のロケーションに使うこと。これまでにも、ハリウッド映画やTV番組でたびたびクレイグ・ダロック城が登場している。

また、お城のレンタルも承っている。ビジネスのためのカクテルパーティーなら200人まで、ちょっとしたファミリー・パーティーのダイニングテーブルでの晩餐会なら12人までOKだ。ご丁寧にケータリング(仕出屋)の斡旋までしてくれる。もちろん時間帯は、博物館が閉館してからの夜8時以降。さらに、もしもカーペットにこぼした場合を考慮して、レッドワインや色のついたコーラ類は持ち込み禁止という制約はあるが。

ロマンチックなお城で、結婚式の披露宴を行ったり、友人と特別な晩餐会パーティーを開いたりするのは、きっと一生の思い出に残るだろう。それにしても、なかなかのビジネスセンスで、収入の道も広がるうまい博物館の運営方法である。

画像右上:重厚なクレイグ・ダロック城の外観
画像左上:贅沢な寝室
画像右下:人間と馬の毛で作ったリース
画像左下:暖炉とステンドグラスが見事な喫煙室


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