■ストラットフォード・フェスティバル 2003.9.15 update

トロントから車で西へ2時間あまりのところに、ストラットフォードという小さな町がある。町の中を流れるエイボン川には、あちこちに白鳥が優雅に浮かび、川に沿って広がる芝生の上でピクニックを楽しむ人々がいる。

そんなのんびりした田園都市だが、実はシェークスピア演劇場として名高い文化的な町として知られている。ストラットフォードでは、4月から11月まで約18の演目がほぼ毎日のように上演される。オンタリオ州だけでなく、アメリカからのツアー観光客も多く、毎年68万人近い観客を数えるという。

1953年に町の経済復興を目的にして、テントを張っての演劇祭がそもそものはじまり。予想以上の成功だったので、1957年には劇場を建築して演劇祭を開催し、現在では4つの劇場をメインにして、フェスティバルは恒例のイベントとなった。最近はシェークスピア劇のほかに、現代劇や親しみやすいミュージカルの上演も多く、家族揃ってのエンターテインメントとして人気がある。かくいう私も7月上旬「王様と私」のチケットを手に入れ、久しぶりのミュージカル観劇を楽しんだ。

「王様と私」が上演された劇場は、ギリシャ円形劇場をモデルにした「フェスティバル・シアター」で、舞台を175度囲むように客席が設置され、収容人数1824名のこぢんまりした劇場。客席から舞台までの距離が、どんなに遠くても20mないというだけに、俳優のしぐさや舞台の細かい装飾が、手に取るように見える。

ミュージカルの巨匠、リチャード・ロジャーズのお馴染みの歌にあわせて、おもわず体がリズムをとる。小さな舞台ながら、タイの雰囲気を豪華に演出した素晴らしいデザイン。美しい衣装の数々・・・。今年のストラットフォード・フェスティバルの目玉演目だけに、「王様と私」は見事なショーだった。

さて、演劇についてもっと知りたいという人のために、ストラットフォードではバックステージツアーを上演前の午前中に、わずか7ドルの入場料で提供している。舞台装置の仕掛けや、大道具部屋などを見ることができるのだ。さらに、俳優や劇場スタッフと近づきたい人には、上演後に30分のディスカッションの機会を用意している演目も。また、劇場のまわりに咲き誇る花々をめでながら、ガイドの説明つきのガーデンツアーまである。

演劇鑑賞だけで終わらない、おまけたっぷりのフェスティバルは、ストラットフォードをユニークな文化都市にしている。



画像右上:劇場外観
画像左上:ガーデンツアーもできます
画像中:おもてのサイン
画像左下:円形劇場内部
画像右下:「王様と私」ポスター

【短信】トロント地方も8月14日から約24時間にわたり、大停電に見舞われました。わずかに営業するガソリンスタンドに長蛇の列が続き、イライラをつのらせましたが、信号のない交差点では、警察官の手がまわらず、一般市民がボランティアで車を誘導したり、付き合いのなかったご近所さん同士が、足りないものを分け合ったりという、良いエピソードもたくさん生まれました。ちょうど夕方のラッシュ時に停電になったものの、大きな事故は起こらず、みんなが落ち着いて対処したようです。それにしても、我々の生活がいかに電気に頼りきっているかを思い知った日でした。


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