■ユニークな靴の博物館 2003.6.16 update

トロントのおしゃれな街、ブローア・ストリートにある靴の博物館“Bata Shoe Museum”は観光スポットとして人気がある。バータ(Bata)は世界的に有名な大手の靴メーカー。会社創立者の妻ソニア・バータが、1940年代から収集しはじめた靴のコレクションが膨大な数となって、家の中では保管しきれなくなり、1995年に非営利施設としてオープンしたユニークな博物館である。

まず、外観の画期的なデザインに注目してほしい。日系人建築家、レイモンド森山とテッド豊島の設計による5階建て博物館は、まさに靴箱をインスピレーションしたもの。まるで靴箱のふたが少し開いているように、屋根と建物の間に隙間があるという凝りようだ。

さあ、地下1階のフロアーから見学を始めよう。エジプト、中国、日本、ヨーロッパなどの国別にした展示で、靴の歴史がよくわかる。4500年も前から人はファッショナブルな靴を履いていた。中国の纏足(てんそく)は、まるで赤ん坊の靴サイズ。人工的に形作られた小さな足は、大人の体重を支えることができたのだろうか。

1階へ上ると、有名人の靴を展示したミニ劇場がある。ビデオの上映と共に、展示してある靴が次々にスポットライトを浴びる。マリリン・モンローのきゃしゃなハイヒール、ダイアナ妃の上品なピンクの靴、エルトン・ジョンの超厚底ブーツなど、間近に見る靴の数々は興味深いものばかり。

さらに2階へ行くと、もっと多くのセレブの靴がオンパレード。古くはフレッド・アステアやジュディー・ガーランドら、銀幕のスターの靴が並び、新しいスターでは、ジャスティン・ティンバーレイクやブリタニー・スピアースのスニーカーがある。ドュルー・ベリーモアが6歳のころ履いていた黒い靴が可愛らしい。

同階にある、もう1つのギャラリーに足を踏み入れると、そこは大きなウェディング・ケーキの模型が部屋の真ん中に鎮座する結婚式コーナー。インド、中国、韓国、バリなどの結婚衣裳と靴が、各国の文化の違いを見せて面白い。日本の花嫁衣裳の打掛けと花婿の羽織はかま、草履もちゃんと足袋つきで展示してあり、嬉しくなった。

3階ではカナダの靴の歴史を紹介している。イヌイット(エスキモー)がアザラシの皮で作るカミック・ブーツやファーストネーション(先住民)のモカシン。さらに昔の靴屋の内部を再現した様子も良くできている。

4階は博物館の裏方を見せるところ。ガラス越しに歴史ある靴の修理を見学できる仕組みになっている。ちょうど、デリケートな絹製のスリッパのビーズ刺繍を直しているところだった。細かく丹念な手作業を経て、何百年も経つ靴が美しく甦って私たちの目に触れるのだ。

バータ博物館は約1万足の靴を所蔵している。もっと詳しいことを知りたい方はウェブサイトをどうぞ。http://www.batashoemuseum.ca



画像右上:博物館外観
画像左上:シンデレラのガラスの靴?!
画像右中:ジャスティンとエルトン・ジョンのブーツ
画像左下:結婚式コーナー
画像右下:イヌイットのカミックブーツ

【短信】トロントは5月末に新型肺炎が再発し、また病院、リハビリセンターなど閉鎖されました。一時は7800人以上の自宅待機者がいましたが、やっと感染の疑い患者数が減り、警戒態勢がゆるんできました。街では全く普通の市民生活です。でも、この夏の観光客は激減するでしょう。(6/7)


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