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デリーは、ローマ、カイロ、イスタンブールに比肩する古都であり、街の至る所に大小の遺跡が散在しています。現在、デリーにはユネスコ世界遺産に正式登録されている遺跡が3つ(*)あり、世界遺産級と呼べる遺跡も数多くあります。
また、デリーは長らく文化と芸術の中心地として栄えて来ました。洗練されたペルシア文化がインドの文化と融合し、独自の発展を遂げたのもデリーですし、16世紀から19世紀まで続いたムガル朝の歴代の皇帝は芸術を厚く保護し、ムガル朝の首都または主都であったデリーは、才能ある文化人や芸術家の本拠地となりました。
デリー州政府の努力により、現在もデリーは文化の首都として、インドの他都市の追従を許していません。多くの著名な芸術家、文学者、文化人がデリーに住み、頻繁に文化行事が催されています。しかも、そのほとんどが入場無料(ただし招待制。招待状は予め指定の場所で配布される)であるため、手軽に最高峰の芸術を鑑賞できます。
デリーが文化一色に染まるのは、乾季の涼しい時期になります。雨季が一段落し、次第に夜風が気持ちよくなる10月から様々な文化行事が行われるようになり、酷暑期の始まる3月ぐらいに切り上げられます。
遺跡と文化。そんなデリーの二大特色を上手に活かさない手はありません。現代のデリーに住む人々は幸せなことに、遺跡と文化行事のコラボレーションを様々な形で楽しむことができます。
例えば、16世紀建造のプラーナー・キラー(オールド・フォート)で行われるアナンニャ・ダンス・フェスティバルは、デリーを代表する舞踊祭となっています。およそ1週間に渡って催されるこの舞踊祭では、毎日異なった種類の舞踊を鑑賞できます。本格的な古典舞踊というよりは、古典舞踊をベースにした創作ダンスが披露される傾向にあるようです。崩れかけた古城の門をバックに繰り広げられる舞踊は、観客を中世に誘います。
13世紀に建造された世界遺産の塔、クトゥブ・ミーナールを背景に催されるクトゥブ・フェスティバルは、毎年11月から12月に開催されます。こちらは、古典音楽や伝統音楽の音楽家と、現代音楽のミュージシャンのコラボレーションが前面に押し出される傾向にあります。
南デリーには、デリー最古の都市メヘラウリーがありますが、そこにあるジャハーズ・マハル(船の宮殿)という遺跡でも、毎年コンサートが開かれます。これは、メヘラウリーで祝われるプールワーローン・キ・サイル(花売りたちの行進)という伝統行事の一環であり、インドの各州からアーティストたちがやって来て、郷土自慢の芸能を披露します。遺跡の構造をうまく利用した演劇も行われます。ジャハーズ・マハルは15〜16世紀の建造とされています。
ただし、遺跡を用いたこのような行事を、遺跡を管理するインド考古局(ASI=Archaeological Survey of India)は好意的に見ていないようです。やはり遺跡の損傷が最大の懸念になっています。もしかしたら、歴史的な遺跡を舞台にした最高に贅沢なコンサートは、今が旬なのかもしれません。
画像上:16世紀建造のプラーナー・キラー(オールド・フォート)で行われるアナンニャ・ダンス・フェスティバル
画像下:デリー最古の都市メヘラウリーで祝われるプールワーローン・キ・サイル(花売りたちの行進)という伝統行事
註(*):デリーのユネスコ文化遺産
フマユーン廟 =ムガル王朝時代= [1993年登録]
クトゥブ・ミーナールとその建造物群 =奴隷王朝時代= [1993年登録]
レッド・フォート(赤の砦) =ムガル王朝時代= [2007年登録]
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