■移動遊園地メーラー(1) 2007.11.20 update

2005年2月の「各国いまどき報告:インド」では、「現代のメーラー!スーラジクンド祭」と題して、デリー南郊スーラジクンド(ハリヤーナー州)で毎年2月に開催されるスーラジクンド手工芸祭を取り上げました。このときは「現代のメーラー」と表現しましたが、では、本物のメーラーとは一体どんなものなのでしょうか?

メーラー(Melaa)とは、一言で言ってしまえば、町の郊外や広場に忽然と姿を現す期間限定の遊園地です。日本の夜店に近いイベントで、駄菓子やスナック類の店が並んだり、射的や輪投げの屋台が出たりするところはそっくりですが、本格的なメーラーになると、観覧車や海賊船などの大規模なアトラクションが造営されるため、移動遊園地という言葉がピッタリです。

当然、それらのアトラクションは組み立て式で、移動運搬が可能です。メーラー業者は商売道具一式と共にインド各地で開かれる祭りを転々として生計を立てているようです。通常、メーラーは何らかの祭礼と同時並行して開かれ、地域の子供たちの大きな楽しみになっています。

デリーでメーラー熱が最も高まるのは、インド三大祭のひとつダシャヘラー祭の期間です。ダシャヘラー祭の前の9日間はナヴラートリという宗教的に特別な期間で、断食が行われたり、ラームリーラーと呼ばれる宗教演劇が野外ステージで上演されたりします。この期間にデリーの至る所に移動遊園地がやってきます。

メーラーのランドマークは何と言っても観覧車。遠くからでも視認可能なため、観覧車が出ていることで、「あそこでメーラーが開かれている」ということがすぐに分かり、人が吸い寄せられて来ます。インドには、モーター駆動の観覧車と、人力駆動の観覧車の2種類があります。しかし、どちらの観覧車も実際は「観覧」目的のアトラクションではありません。日本の観覧車のようにゆっくりゆっくり回転せず、思いっ切り高速回転します。しかも異様な揺れ方をしたり、怪しげな軋みが聞こえてきたりするため、完全なる絶叫マシーンとなっています。

人力駆動の観覧車と言うのは見たことのない人には容易に想像できないものがあると思われますが、どのように人力で観覧車を動かすかと言うと、数人の男が車輪の中心部に入って手と足を器用に使いながら観覧車を回転させて行くのです。そのテクニックはもはや大道芸の域に入っています。人力観覧車は、スキーリフト型の2人掛けの椅子が車輪の芯に対して平行に釣り下がっており、車輪の頂点から下に落ちるときに最もスリルがあります。

モーター駆動の観覧車では一般的に、対面する2人掛けの椅子が両隅に設置された4人乗りの箱が釣り下がっています。箱のデザインは業者によっていろいろありますが、天井が密閉されていないタイプの方が見通しがいいと思います。観覧車の料金は1人20ルピー(約60円)が相場のようです。

子供用の小さな観覧車もメーラーでは人気です。せいぜい2mほどの高さで、おじさんが手でグルグル回します。小さな子供しか乗れませんが、それでも子供にとってはとても楽しい乗り物のようです。

回転系のアトラクションでは、観覧車のように縦回転だけではなく、横回転のものもあり、やはり人気を集めています。モーター駆動の大人向けのものもあれば、人力で動く子供向けのものもあります。横回転系の乗り物は観覧車に比べてデザインに工夫がしやすいようで、原理は同じながらいろいろなバージョンが見られます。乗り物がバイクだったり、列車だったり、動物の形をしていたり、竜の形をしていたり、色々です。

海賊船は観覧車に並ぶ人気アトラクションです。やはり一番怖いのは両端の席で、勇気のある人のみがそこに座ります。やはりモーター駆動のものと人力のものが見られます。他に、ちょっとしたゴーカートのようなアトラクションや、コーヒーカップのような乗り物もあります。

これだけ大規模でバラエティーに富んだアトラクションが一時的に組み立てられて稼動しているというのは、日本人には俄かに信じられないものがあります。しかし、メーラーの楽しみは乗り物系アトラクションだけではありません。次回は、インドのメーラーの見せ物系アトラクションをご紹介いたします。

画像上:移動遊園地、メーラー
画像中:人力観覧車
画像下:お子様用アトラクション


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