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マンガとアニメを外交の柱に掲げた麻生太郎氏は先の自民党総裁選で敗れてしまいましたが、インドでは着実にマンガとアニメが根付いています。現在、大手の書店では日本のマンガを英語に翻訳したものがたくさん売られていますし、TVでは日本のアニメの英語版・ヒンディー語版がたくさん放送されています。
マンガでは、手塚治虫の「ブッダ」が最も話題になっていました。漫画を芸術の域にまで高めた「ブッダ」は、仏陀(ブッダ)と仏教の故郷であるインドで特に驚きと歓迎を持って受け入れられたようです。アニメでは、「ドラゴンボール」、「ポケット・モンスター」、「ドラえもん」、「忍者ハットリくん」、「クレヨンしんちゃん」、「こちら亀有公園前派出所」、「犬夜叉」などが放送中または放送されました。
インド人視聴者がそれらを日本のアニメだと知って見ているかどうかは疑問ですが、日本語がそのまま表示されたりするので、もし知られていなかったとしても、それが分かるのは時間の問題だと思われます。間違いなく、今、インド人にとって一番身近な日本は、電化製品と漫画・アニメでしょう。
とは言っても、インドではマンガやアニメは依然としてステータスの高いジャンルではありません。どちらも子供向けの読み物や番組というイメージが根強く、大人が読んだり見たりするものではないと考えられています。マンガに関しては英語の理解能力や識字率の低さも普及の大きなハードルとなっています。インドで売られているマンガはほぼ全て英語訳なので、英語が堪能な子供(≒富裕層の子供)でなければ楽しめません。また、たとえヒンディー語や現地語に翻訳されても、文字が読めない人はまだ多く、それらを考え併せると10億人市場は数百分の一に縮小してしまいます。
それでも、マンガやアニメに親しんで育って来た世代が次第に成人を迎えるようになり、世代交代が進むにつれて自然にマンガやアニメがインド人の間に普及していく兆しもあります。特にアニメ産業はインドでもこれから急成長が期待されている分野です。新聞ではアニメーター養成学校の募集広告を頻繁に見かけます。国産アニメ映画も既に制作されており、アウトソーシングも行われています。
ところが、マンガやアニメの普及に伴って、その弊害も出て来ています。それは、「HENTAI」と呼ばれるジャンルの普及です。「HENTAI」はいわゆるエロマンガ、エロアニメのことです。米国を経由してインドに入って来ているようですが、日本の文化のひとつとして紹介されることが多く、ちょっとした社会問題になりつつあります。
前述の通り、インド人の間ではマンガやアニメは子供向けのものというイメージが強く、そこに子供の教育に有害な要素が含まれているとは夢にも思っていない親がほとんどです。その先入観と「HENTAI」のギャップがあまりに大きすぎるため、マンガとアニメ全体に対する過敏な反応となって表れて来ています。インドで「HENTAI」を愛好しているのは、意外にも大人が多いようで、インターネットを使って手に入れているようです。
また、「HENTAI」ではありませんが、「クレヨンしんちゃん」も問題になっています。「クレヨンしんちゃん」を見た子供たちが、大人を馬鹿にしたりからかったりして楽しむしんちゃんの真似をするようになって来ていると報告されていました。一応、際どい表現は翻訳時にカットされたり改変されたりしているようですが、それでもまだまだ問題が多いようです。
急に無差別に日本のマンガやアニメがインドになだれ込むようになって来たため、日本の文化の様々な部分がインド人に知られるようになって来たように思われます。一般のインド人の中で日本のイメージと言ったら「米国に原爆を落とされた国」、または「テクノロジー立国」くらいでしかなかったのですが、あと少し経てば、いい意味でも悪い意味でも、かなり変わるのではないかと思います。
近い将来、インド人と懐かしのアニメ談義に花を咲かせる日がやって来るかもしれません・・・。
画像上:インドで放送中の「ドラえもん」
画像中:書店に並ぶ英訳版日本マンガ
画像下:「ピカチュウ」の偽物も大活躍! |