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「宗教大国」インドには多くの神様がいますが、中でも最も人気のあるのがクリシュナ神です。伝説によると、クリシュナはヤーダヴ族という牛飼いの部族に生まれ、腕白で冒険に満ちた幼年時代を送った後、宿敵カンサ王を倒し、二大叙事詩のひとつ「マハーバーラタ」にも登場して活躍します。ヒンドゥー教の聖典のひとつに数えられる「バグヴァトギーター」も、クリシュナが説いたものとされます。クリシュナを歴史上の実在の人物とする説や、その名前や生い立ちの類似性からイエス・キリストとの関連性を指摘する説もあります。
去る9月4日はクリシュナ生誕祭であるジャナマーシュタミー祭でした。ヒンドゥー教の祭日はヒンドゥー暦で決定されるため、年によってその日は違いますが、大体8月〜9月になります。
いつから始まった習慣かは分かりませんが、ジャナマーシュタミー祭では子供たちがクリシュナ神話の登場人物やその他の神様のコスプレをして街頭に立ちます。クリシュナ、クリシュナの恋人ラーダー、クリシュナの実の父親ヴァスデーヴァ、クリシュナの育ての母親ヤショーダーなどなど、子供たちは衣装に身を包み、与えられた役になりきります。ただし、そのような衣装を着て演劇をするわけではありません。単に街角で座っているだけのこともあれば、車に乗って近所をパレードしたりもします。
また、ジャナマーシュタミー祭のときには、学校でコスプレ大会が行われるのが最近の流行のようです。このイベントでは、子供たちはクリシュナだけでなく、好きなコスプレをすることが出来るようです。今年、僕はある学校に審査員として呼ばれて行きました。クリシュナやラーダーに扮する子供もいれば、サードゥ(遊行者)、蝶、マンモーハン・スィン首相、ガッバル・スィン(映画の悪役キャラクター)、マチュリーワーリー(魚売り)、クーリー(荷物持ち)などに扮する子供もいました。
ジャナマーシュタミー祭に子供たちが参加するもうひとつのイベントはジオラマ作りです。子供たちは、クリシュナ神話を題材にしたジオラマを家の前に作ります。そして通りがかる人に感想を求めます。出来がいいとお小遣いがもらえることもあるようです。
クリシュナは、赤ちゃんや子供の頃の愛くるしい姿で描かれることが多いためか、クリシュナ生誕祭は子供が中心になって祝う意味合いの強い祭りのように思われます。今年はジャナマーシュタミー祭に合わせてテレビでクリシュナ神話を題材にしたアニメが放映されていました。インド人でクリシュナのことを知らない人はいないと言っても過言ではないのに、それでもインド人はクリシュナのストーリーを見るのが好きのようです。僕が訪れた家では、大人から子供まで、クリシュナのアニメにじっと見入っていました。
ジャナマーシュタミー祭は子供の祭りとは言いましたが、当然のことながら、大人たちも大人たちでジャナマーシュタミー祭を祝います。寺院では夜中過ぎまで参拝者が押し寄せ、クリシュナの生誕が祝われます。インドでは州によって祝日が違いますが、ジャナマーシュタミーの日はデリーでは公共機関は休みになります。クリシュナ生誕祭は、インドでも特に盛大に祝われる祭りのひとつです。
画像上:クリシュナとその恋人ラーダー
画像中:クリシュナの宿敵カンサ王
画像下:クリシュナ神話を題材にしたジオラマ |