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インドを旅行すれば誰しもが気付くと思いますが、インドにはトイレ文化があまり根付いていません。都会では各家庭にトイレがあるのは常識ですが、農村へ行けば、家にトイレは併設されておらず、人々は野外で用を足しています。特に早朝がトイレの時間になっているので、その時間に河沿いや野原を散歩すると、あちこちで人が座り込んでいるのを見かけます。はっきり言って不衛生です。
しかし、皮肉なことに、世界で最初に水洗トイレが発明されたのもインドでした。高度な計画都市と治水技術で知られるインダス文明の遺跡には、用を足した後に水で流すようになっている水洗トイレと思われる遺構が残っています。
そして、世界で唯一と言っていいトイレの博物館があるのもインドです。デリー郊外パーラムにあるスラブ・インターナショナル・トイレ博物館です。スラブ・インターナショナル・ソーシャル・サービス・オーガニゼーションは、人権意識、公共衛生、保健・衛生観念、非伝統的エネルギー源、廃棄物管理、社会改革の促進を目的とした非営利団体ですが、同団体が最も力を入れているのがトイレの普及です。
インド各地には、スラブ・インターナショナルが設立した公衆トイレがあり、インド人の間でトイレに対する意識を高めることに貢献しています。サーイーバーバーの聖地として有名なマハーラーシュトラ州シルディーには、同団体が設立した世界最大のトイレ・コンプレックスもあります。そのトイレ・コンプレックスには、148のトイレ、108のバスルーム、5,000のロッカーがあり、1日5万人が利用できます。
博物館はスラブ・インターナショナルのオフィスの敷地内にある小さな建物ですが、人類のトイレの歴史が凝縮されています。インダス文明のトイレから始まり、古代インドのトイレ文化、世界各地の珍しいトイレ、最先端技術を使用したトイレ、トイレに関するジョークなどなど、トイレ関連のあらゆる品物が展示されています。あまり知名度の高くない博物館だと思っていましたが、意外なことに毎日多くの外国人観光客が訪れるようです。入場料は無料。ガイドが解説もしてくれます。
ただし、残念ながら博物館に展示されているのはレプリカがほとんどです。本物を集めるのはやはり困難だったようです。ただ、マイクロウェーヴで排泄物を粉砕する最先端トイレなど、本物もありました。また、博物館を訪れる観光客からトイレに関する情報や品物を絶えず収集しており、ガイドの知識や展示物はどんどん増えているようです。
例えば、ある白人女性の訪問客から寄贈されたと言う携帯用の尿瓶がありました。インドは外にあまりトイレがないということでたまたま持って来ていたのでしょうか? また、日本人からの寄贈品もありました。それはなんと・・・絵柄入りや芳香付きのトイレットペーパー。確かに日本のトイレットペーパーは、博物館に展示するだけの価値があるほど凝ったものが多いかもしれません。もしこの博物館を訪れることがあったら、日本からトイレグッズをお土産に持って行くと、きっと喜ばれることでしょう。
トイレ文化の希薄なインドで、トイレ博物館を見物するというのも、なかなか面白いものです。トイレの歴史は、人類の歴史の重要な一部であると実感することでしょう。この博物館は一般の観光コースには入っていませんが、デリーで時間があったら是非足を伸ばしてみたい場所です。
□スラブ・インターナショナル・トイレ博物館のウェブサイト
http://www.sulabhtoiletmuseum.org/
画像説明文
画像右上:トイレの歴史が凝縮されている「スラブ・インターナショナル・トイレ博物館」の入り口
画像左上・右中:博物館の内部
画像左下:インドの有名遺跡にあるトイレ特集
画像右下:外には各種デザインのトイレを展示
【短信】デリーは酷暑期の真っ只中。日中外を歩くと熱射病に罹ります。活動時間は朝と夕方から夜に限られています。(5/1)
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