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インド人には大きく分けて、菜食主義者(ヴェジタリアン)と非菜食主義者(ノン・ヴェジタリアン)がいます。しかしインドは自他共に認める「多様性のチャンピオン」。これは大まかな分類に過ぎず、細かく見ていくと食に関していろいろな主義を持っている人たちがいます。
例えば、肉は食べないが卵は食べる菜食主義者もいれば、肉、卵だけでなく根菜類も食べない徹底した菜食主義者もいます(ちなみに根菜を忌避するのは、掘り起こす際に地中の虫を殺してしまうため、または根菜を食べると体内の血の流れが速くなって欲深くなるため、などと言われています)。普段は肉を食べますが、1週間の内、一定の日(多くの場合火曜日、宗教や個人的信条に依る)に限って絶対に肉を食べない非菜食主義者もいます。
さて、東インドにはベンガルと呼ばれる地域があります。インドの西ベンガル州と、バングラデシュを合わせた地域と考えていいでしょう。今ではバングラデシュが分離独立してしまっていますが、これらの地域は同一の文化を共有しています。このベンガル地方に住むベンガル人は魚好きなことで知られています。菜食主義だが魚だけは食べるというベンガル人がけっこういます。
所変わってここはデリー。地図で見ると一目瞭然ですが、デリーは内陸の都市で、周辺には全く海がありません。ヤムナー河という大きな河が流れていますが、汚染がひどく、川魚も望めません。デリーはシーフード不毛地帯なのです。そんなデリーにも多くのベンガル人が住んでいます。特に南デリーのチッタランジャンパーク(通称CRパーク)にベンガル人が集住しています。チッタランジャンは20世紀初頭に独立運動の一翼を担ったベンガル人弁護士で、彼の名を冠した地にベンガル人が多く住むのは納得です。
チッタランジャンパークは邸宅が整然と立ち並ぶ高級住宅地であり、町自体はそれほど個性のある景色ではありません。しかし、その中心部にある小さなマーケットは、デリーの中の小ベンガルといった雰囲気を醸し出しています。
まず注目なのはフィッシュ・マーケット。内陸部に位置するデリーでは新鮮な魚を手に入れるのは至難の業ですが、このマーケットでは魚好きのベンガル人の需要を反映してか、大量の魚が売られています。デリーで最も新鮮な魚が手に入る場所がここだと言われています。もちろん、刺身にできるくらい新鮮な魚は望めませんが・・・。
魚が売られていれば、魚料理を出す食堂やレストランもあります。マーケット内には半露店の安食堂しかありませんが、マーケット周辺部には定評のあるベンガル料理レストランがいくつかあります。ベンガル地方は魚料理も有名ですが、ミターイーと呼ばれる甘いお菓子類でも有名。もちろん、各種ミターイーを売るお菓子屋もマーケット内にあります。
ベンガル地方の言語は、デリーの主要言語であるヒンディー語と親縁関係にあるベンガリー語。チッタランジャンパークでは、ベンガリー語の本も手に入ります。また、ベンガル地方は映画でも有名です。日本でも有名な「大地のうた」のサタジット・レイ(正確にはサティヤジート・ラーイ)監督もベンガリー語映画の映画監督でした。現在でもベンガリー語映画界は良質の芸術映画を多く作っていますが、デリーの通常の音楽店ではベンガリー語映画のVCDやDVDは手に入りません。ところが、このチッタランジャンパークなら、古典映画から現代映画まで、ベンガリー語の映画が手に入ります。
基本的に高級住宅地のマーケットであるためか、チッタランジャンパークのマーケットが賑わっているところは今まで見たことがありません。しかし、デリーで新鮮な魚が欲しくなったり、ベンガル関連のものを買い求めたかったりしたら、チッタランジャンパークに向かうべきでしょう。また、デリーの中でこれほど地方色がはっきり出たマーケットは他にないことも特筆すべきです。
画像右上:チッタランジャンパークのマーケット
画像左上:フィッシュ・マーケット
画像右中:デリーで最も新鮮な魚が手に入る
画像左下:魚料理を出す食堂
画像右下:CD・VCD・DVD屋
【短信】デリーは今、真冬です。冬のデリーは頻繁に濃い霧が立ち込め、飛行機、列車、道路など、全ての交通機関が大きく乱れます。(1/5) |