■ローカル寺院デリー出張所 2006.10.17 update

しばしば、ヒンドゥー教には3億3千万もの神様がいると言われます。実に日本の現在の人口の約3倍、一昔前のインドの全人口に等しい数です。もちろん、これはただ単にインドには無数の神様がいることを示しているだけであり、本当に3億3千万もの神様がいるわけではありません。それともこれは、1人1人の心の中にそれぞれの神様がいるということの言い換えなのかもしれません。

ヒンドゥー教にはいろいろな神様がいますが、大きく分けて、全国的に遍く信仰されている神様と、局地的に絶大な人気を集めているローカルな神様の2種類があると思います。ヒンドゥー教の三大神と言えば、創造神ブラフマー、守護神ヴィシュヌ、破壊神シヴァで、特に後者二神を祀る寺院はインド全国で見られます。

一方、一定の地域に根ざした神様も各地にいくつか存在します。例えばオリッサ州のジャガンナート神、アーンドラ・プラデーシュ州のティルパティ神、タミル・ナードゥ州のムルガン神、ケーララ州のアイヤッパ神などです。これらのローカル神は、一応ヒンドゥー教の中に取り込まれてはいますが、元々土着の神様で、地域のアイデンティティと密接な関わりを持っていることが多いです。

ローカル神を祀る寺院の本山はもちろん各州にあるのですが、それらの州の人々が他の州や国へ移民をし、まとまった数の人々が揃うと、移民先でその末寺が作られる傾向にあります。当然、末寺はそのローカル・コミュニティの憩いの場となります。いろいろな地域の人々が集住する首都デリーにも、ローカル寺院の末寺がいくつもあります。先日、オリッサ州ジャガンナート寺院のデリー出張所へ行ってみました。

ジャガンナート神は、ヒンドゥー教の神様の中でもユニークな形をした神様です。手足がなく、寸胴で、真ん丸い顔に大きな丸い目玉が書かれています。三体セットのことが多く、その中でも真っ黒な顔をしたのがジャガンナート神です。白い顔の神様は兄のバルラーム、黄色い顔をした一回り小さい神様は妹のスバドラーです。

本場オリッサ州プリーのジャガンナート寺院で毎年開催される山車祭は大変盛大なことで知られています。このとき街路を練り歩く大山車の車輪にひかれて死ぬと極楽浄土へ行けると信じられており、参拝者たちはこぞって車輪の下に飛び込みます。英語に、「盲目的服従による力」という意味の「juggernaut」という単語がありますが、これはこのジャガンナートから来ています。ジャガンナート寺院の熱狂的な祭りを目の当たりにした英国人の驚きをよく表しています。

デリーのジャガンナート寺院には、ダラムシャーラー(巡礼者用宿泊所)もあり、宿泊することができる他、毎日昼と夜にはおいしいオリッサ料理を食べることもできます(1人30ルピー=80円弱)。おそらくデリーで本格的なオリッサ料理を食べられるのはここしかないでしょう。

寺院なので、料理は「プラサード(神様へのお供え物のお下がり)」と呼ばれます。まずは神様にお供え物を供える儀式があり、その後、人間たちにプラサードが振る舞われます。床に敷かれた細長い絨毯の上に座っていると、僧侶たちが前に皿とコップを置いていき、その後、その上にご飯や野菜を盛って行きます。インド式に手で食べることになります。これがなかなかの美味。寺院自体もかなり清潔に管理されており、食器も使い捨てになっていて、安心して食べることができます。

果たして他のローカル寺院の出張所でも、こういう地方料理のプラサードが食べられるかどうかは分かりませんが、デリーにいながら他の州の雰囲気を味わうにはちょうどいい場所だと思われます。

画像右上:真っ黒な顔をしたのがジャガンナート神。白い顔の神様は兄のバルラーム、黄色い顔の一回り小さい神様は妹のスバドラー。
画像左上:ジャガンナート寺院(デリー)
画像右中:ご開帳、参拝客が鐘を打ち鳴らす
画像左下:プラサード(神様へのお供え物のお下がり)配膳
画像右下:オリッサ料理のプラサード


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