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インドの伝統的な旅行手段は列車です。インドはアジアで初めて列車が開通した国であり、現在では世界第5位の鉄道大国。鉄道網はインド亜大陸の至る所に張り巡らされており、安価に、かつ迅速に移動することができます。特に長距離移動の際はその威力を存分に発揮します。
短距離移動の際はバスも便利です。南インドやノースイースト地域はバス網が特に発達しています。多くの場合、予約の必要がないため、気軽に利用することができます。リクライニング・チェアやベッドを完備した豪華バスが走っている路線もあります。経済的に余裕がある場合や、緊急を要する移動の場合は、飛行機も利用できます。民間航空会社の参入により、空の移動は一昔前に比べてだいぶ安くなりました。早く予約すればするほど運賃が安くなる制度もあります。
現在、徐々にクローズアップされつつあるのが、自家用車による旅行です。経済成長と安価なローンに後押しされ、ここ数年で自家用車は急速に庶民にも手の届くアイテムになりつつあります。四大都市をハイウェイで結ぶという壮大な「黄金の四角形」計画も実行に移され、道路の整備が急ピッチで進んでいます。それに伴い、自動車は単なる「移動の道具」から、「娯楽の手段」として受け止められるようになって来ました。
自家用車による旅行の最大のメリットは、何と言っても家族や気の合う仲間たち同士で気ままに旅行できることでしょう。元々、ヒマーラヤ地帯にあるヒルステーション(避暑地)を自家用車で訪れるインド人は多かったのですが、徐々にドライブの目的地は多様化し、今ではいろいろな場所に自家用車で旅行する人々がいるようです。先日、「Driving Holidays in the Himalayas(ヒマーラヤ山脈を巡る休日のドライブ)」というドライブ専門の旅行ガイドブックが発売されましたが、それもこの傾向のひとつの表れでしょう。主要道路が詳述された道路地図も出揃ってきています。
ドライブ旅行の普及に従い、主要都市間を結ぶ幹線上に、日本で言う「道の駅」が誕生しています。元々、それらの幹線上には、トラック運転手のための「ダーバー」と呼ばれる安食堂があったのですが、最近出来つつあるのはそのようなものではなく、モダンで清潔で安心して利用できる施設です。その先鞭をつけているのは、インド有数の財閥リライアンス系のA1プラザです。
A1プラザは、リライアンス系のガソリンスタンドに併設されている「道の駅」チェーンで、軽食が取れる他、清潔なトイレがあり、安心して利用できます。ちなみに、前述のダーバーは、トイレなど用意されていない場合が多く、利用者は「天然トイレ」を利用することになります。また、特定のA1プラザには、シャワー室やDVD鑑賞室などがあり、リフレッシュしたりしばらく休憩したりすることができるようになっています。
A1プラザは、デリー〜ジャイプル間、デリー〜リシケーシュ間など、ドライブ客が多い路線の上にあり、さらに店舗数は拡大しているようです。このような施設がさらに増えれば、インドのドライブ旅行はさらに快適なものとなるでしょう。今のところ、A1プラザの難点は、食事のメニューが貧弱なことと言えます。もう少しいろいろなものを食べられるようになると、さらに利用価値が上がるでしょう。
A1プラザのような、ガソリンスタンドや休憩設備が揃った総合的施設はまだ数が限られていますが、幹線上には急速にレストランやカフェのチェーン店が進出しつつあります。例えば、デリーとリシケーシュを結ぶ国道58号線上には、国産喫茶店チェーンのカフェ・コーヒーデーがあります。デリー〜チャンディーガル間には、ニルラーズというこれまた有名な国産レストランチェーン店があります。
外資では、マクドナルドが最も積極的に店舗を拡大しており、デリー近隣では、デリー〜アーグラー間、デリー〜ジャイプル間に店舗があります。これらは、ドライブ客の休憩所となっていると同時に、近隣の住民たちの外食の場としても利用されています。また、ハイウェイ沿いには昔から多くのホテルも建っており、夜を過ごしたり、食事をしたりすることができます。
A1プラザの出現は、インドにおけるドライブ旅行の発展への好材料ですが、それでもやはり最大の懸念はインフラ設備の遅れです。主要都市間のハイウェイはだいぶ整備が進んで来ましたが、それ以外の道は穴ぼこだらけであることが多く、迅速かつ質の高い道路整備が望まれます。また、中央分離帯のない道路は、スピードの出し過ぎと無理な追い越しによる交通事故が多発する傾向にあります。インド人運転手のマナー向上にはまだまだ時間がかかると思われるので、主要幹線には必ず中央分離帯を設置し、自動車が対向車線に入らないようにしなければならないでしょう。
インドの道路が安心して走行できるようなレベルにまで達すれば、外国人旅行者がレンタカーを借りて気軽にインドを旅行することができるようになる日もやって来ると思われます。列車、バス、飛行機などの旅行ももちろん楽しいのですが、やはり自家用車で自由気ままに旅行することほど楽しいものはありません。
画像右上:A1プラザ
画像左上:トイレ、シャワー室などあり
画像右中:シャワー室
画像左下:デリー〜リシケーシュ間にあるカフェ・コーヒーデー
画像右下:デリー〜アーグラー間にあるマクドナルド
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