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インドは手工芸品のメッカです。その豊かな風土と多くの民族の往来は、独自の手工芸品を生み出して来ました。デリーなら、セントラル・コテージ・インダストリーズ・エンポリアム、ハンディクラフト博物館、ディッリー・ハートなどでインド各地の手工芸品を購入することができます。
インド各地にはそれぞれ特産品があります。例えば北インドだったら、カシュミール地方のパシュミナ、ジャイプルの宝石、ラージャスターン州の操り人形、アーグラーの大理石細工、カーンプルの革製品、ヴァーラーナスィーのサーリー、ミティラー地方のマドゥバーニー画などなどが有名です。
また、比較的未開の地域に住む部族たちは、貧困対策として独自の伝統的手工芸品の商業化を行っています。先に挙げたマドゥバーニー画などは、政府の指導により、元々家の壁に描いていた素朴な絵を紙に書いて売るようになり、すっかりインドのお土産として定着しました。政府は、そのような手工芸品の職人やアーティストの表彰も定期的に行っており、手工芸品産業を推進しています。
現在、にわかに注目を浴び始めている手工芸品の里に、チャッティースガル州バスタルがあります。チャッティースガル州はインド中央部にあり、インド有数の部族多住地域として知られています。そのチャッティースガル州の南部に位置するバスタル地方に住む部族たちは、数々の手工芸品を作り出しています。その魅力は、素朴だが人を引き付ける愛嬌のあるデザインだと言っていいでしょう。先日、そのバスタル地方を訪問して来ました。
バスタル地方の中心都市はジャグダルプル。バスタル県の県庁所在地ではありますが、オートリクシャー(三輪タクシー)が走っていないくらいの、のどかな田舎の都市でした。ジャグダルプルでは既に部族っぽい格好をした人々を見かけることができました。周辺の村々からやって来たと思われる部族たちが、サンジャイ・マーケットという市場で野菜や魚などを売っていました。ジャグダルプルには、手工芸品を売る店が連なる道があり、そこで一通り物色することができます。
しかし、ここは木彫品が中心でした。バスタルの手工芸品は、木彫品の他、テラコッタ、ドークラー(ベルメタル・アート/青銅細工)、鉄細工、織物などでも有名です。一応、ジャグダルプルのシャブリーという州観光局経営のエンポリウムでそれらの品物を買い揃えることができますが、やはり直接制作しているところで買いたいものです。
ジャグダルプルの北約76kmの地点に、サーティー・サマージ・セーヴィー・サンスター(サーティー社会奉仕所)というNGO団体の運営する手工芸品工場があります。のどかな農村に囲まれたこの工場では、職人たちが本当に「手」で手工芸品を制作しているところを直接見ることができます。実は、このサーティーこそが、バスタル地方の手工芸品を商業的に発展させ、国内外での知名度アップに貢献した団体です。
バスタル地方に住む部族たちは、インダス文明に遡れるような古い技術を使って昔から手工芸品を制作していましたが、それはあくまで家庭内での使用が目的でした。よって、文明の流入により安価な代替物が流通するようになると、それらの伝統技術は忘れ去られる運命にありました。バスタル地方の部族たちの持っている高い手工芸品技術に気付き、現代のニーズに合った手工芸品の制作を指導することによって技術の保護育成と貧困対策をしようとして結成されたのがサーティーでした。
サーティーでは、テラコッタ、ドークラー、鉄細工などの制作現場を見学することができ、気に入った品物を購入することもできます。また、自分でデザインを持って行って、そこで職人に作らせることもできるようです。
やはり、手工芸品というのは手による制作物であるため、それを作っている人の顔が見えると愛着も変わってきます。このような手工芸品村は、バスタル地方だけでなく、インド各地に見られます。もし、とっておきのお土産を買いたいと思ったら、土産物屋などではなく、職人たちの制作現場まで行って買うのもひとつの手でしょう。
画像右上:ジャグダルプルの市場
画像左上:鉄細工を作る人々
画像右中:ジュートを編む女性
画像左下:ドークラー(ベルメタル・アート/青銅細工)
画像右下:テラコッタ
【短信】デリーの気温は、雨季が迫っているために湿気が出てまいりました。この原稿が掲載される頃にはもう雨季に入っていることでしょう。(7/5)
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