■インドの大自然を足で:トレッキング 2006.6.20 update

インドの魅力のひとつに豊かな自然、気候、そして地形があります。北には世界最高峰の山々が連なるヒマーラヤ山脈、西にはタール砂漠、東には亜熱帯雨林地帯、そして逆三角形の亜大陸は、アラビア海、インド洋、ベンガル湾に囲まれており、沿岸部にはいくつか世界的に有名なビーチが点在しています。インドは人の営みも見所たっぷりですが、大自然も魅力に満ち溢れています。毎年多くの人々がその自然を楽しみにインドを訪れており、インド人の中にも自然を愛好する人々が少なくありません。特に山岳地帯では、大自然の中のトレッキングが観光の目玉となっています。

ハイキング程度の簡単なトレッキングもありますが、中には数日間、数週間をかけて一定のルートを踏破することを目的とした、冒険レベルの過酷なトレッキングもあります。特にヒマーラヤ山脈でのトレッキングは、標高4,000m以上の高所を歩かなければならないものがいくつもあり、油断していると高山病にかかってしまいます。また、インドでは山岳信仰が根強く、ヒマーラヤ山脈の高所には宗教的聖地がいくつも点在しています。道路が通っていて自動車で行くことができる聖地もあれば、途中で自動車を降りて、自らの足で登って行かなければならない聖地もあります。後者のような場所へ行く場合、巡礼者に混じってのトレッキングとなるでしょう。しかし、これら聖地へのトレッキングは、ルート上に宿泊施設や巡礼者向け売店などが整備されており、季節さえ間違えなければ比較的容易なトレッキングの部類に入ると言っていいでしょう。

ハイキング程度の簡単なトレッキングは、インド各地の山間部にあるヒルステーション(避暑地)ですることができます。ヒルステーション周辺のヴューポイントを巡るトレッキングは、ヒルステーションの主なアクティビティーとなっていることが多いです。例えばマハーラーシュトラ州西部にあるマーテーラーン。マーテーラーンは緑で覆われた台地にある避暑地で、徹底的に車両を排除していることでユニークな場所となっています。マーテーラーンでの移動手段は、人力車か、馬か、ロバか、後は徒歩しかありません。よって、ここを訪れるほとんどの人々は着いたときから必然的に森林の中をトレッキングすることになります。マーテーラーンについては、「各国いまどき報告:ヒルステーション▲インドの避暑地は別世界」(2004年8月)でもご紹介いたしました。

少し本格的なトレッキングになると、何か目的を持ったものとなります。聖地を目指したトレッキングもそうですし、例えば氷河を見ることを目的としたトレッキング・ルートなどもいくつかあります。ウッタラーンチャル州の花の谷を目指すトレッキングもそのひとつと言えるでしょう。

花の谷は、英領インド時代に英国人登山家フランク・スミスによって「発見」され、「Valley of Flowers」と名付けられた地域で、1982年に国立公園に指定されました。その名が示す通り、300〜500種の野生の花々が咲き乱れる風光明媚な土地として知られています。花の谷へ行くには、ゴーヴィンドガートという町から13kmの道のりを徒歩で登って行かなければなりません。半分ほどは比較的なだらかな道が続きますが、終盤は急な上り坂となり、しかも足場が悪いので、非常に過酷なトレッキングとなります。

花の谷が一般に開いているのは6月〜9月ですが、花が最も多く美しく咲き乱れるのは7月〜8月と言われています。残念ながら、僕が訪れたのはまだほとんどの花が休眠状態の4月で、ほとんど花を見ることができませんでした。それでも、純白の雪を抱いたヒマーラヤ山脈を見ながら森林の中を歩くのは、とても爽快な体験でした。ちなみに、花の谷の近くにはヘームクンドというスィク教の聖地もあります。シーズン中は、花の谷を訪れる観光客と、ヘームクンドを訪れるスィク教巡礼客でごった返すようです。

さらに本格的なトレッキングになると、数日間〜数週間の長期に渡ったものとなります。例えば登頂を目指したり、古の通商路を追って峠を越えたりと、その目的もかなりプロフェッショナルなものとなります。体力、気力、経験などが十分にないと命にかかわるルーとも少なくないでしょう。このレベルのトレッキングは今までしたことがないので詳細を書くことができませんが、きっと素晴らしい旅となるのではないでしょうか。インドは古い歴史を持った国ですが、その豊かな自然も大きな魅力となっています。トレッキングは、その自然を楽しむ最高の手段と言えるでしょう。

画像右上:マーテーラーンのヴューポイント
画像左上:マーテーラーンの道
画像右下:「花の谷」トレッキングの途中の風景
画像左下・右下:開花前の「花の谷」


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