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現在、インドはいろいろな分野で世界の注目を集めています。IT大国としてのインド、次世代の経済大国としてのインド、世界最大規模の人口を擁する人材大国としてのインド、国連常任理事国の有力候補としてのインド、核保有国としてのインド、インド洋上の海洋治安の要としてのインド、アジアのバランサーとしてのインドなどなどです。その中で、ファッション界の目もインドに釘付け状態です。先日、デリーで開催された、第6回ラクメ・インドファッション週間は、世界中から有名デザイナーやバイヤーが集合し、大盛況の内に終幕しました。
インドは色の宝庫です。ラージャスターン州の砂漠を、水壺を頭の上に乗せて歩く女性たちの着る原色のサーリーは、この世のものとは思えない美しさがありますし、スィク教徒たちのビジネスマンたちが、ターバンの色とYシャツの色を見事にコーディネートして颯爽と歩いている姿は、色に対する密かなこだわりを感じさせます。都会では西洋風の洋服を着る人々が急増しており、特に男性の衣服はほぼ全員西洋化してしまったと言っても過言ではありませんが、まだまだ女性は伝統的なサーリーやパンジャービー・ドレスを着ている人が少なくありません。
日本人には年相応の色というものがあるようですが、インドではお婆さんがショッキング・ピンクのサーリーを普通に着こなしていたりして、色に対する感覚は日本人とはたいぶ違うことを感じさせられます。ホーリー祭(3月)のときに北インドで咲く花々の原色と、4月に日本で咲く桜の淡い色の違いではないかと考えています。
インドでは、インダス文明の時代から培ってきた世界最高レベルの染織や刺繍の技術と、煌びやかな装飾品の数々が、地方色溢れるファッションを生み出しています。英領時代にそれらの産業は大打撃を被りましたが、今でもその素晴らしい職人技を目の当たりにすることは可能です。その中でも、村全体がファッションショーのような状態になっているのが、西インド、グジャラート州のカッチ地方です。カッチ地方は、2001年1月に発生した大地震で大規模な被害を被ったことで有名になりましたが、それ以前から伝統的手工芸品のメッカとして知られていました。
2003年12月に、カッチ地方を訪れました。カッチ地方の女性たちの多くは、細かい刺繍が入ったカラフルな衣服を身に付けています。一見すると祭りのときに着る特別な服のように見えますが、これが普段着です。普段からこのような派手な衣服を着て生活しているのです。現在では徐々に観光化が進んでおり、観光客や商人から現金収入を得るためにこのような刺繍や織物を作ることも増えてきましたが、基本的には自分で自分のために作ったものか、または先祖代々伝えられたものです。
隣のラージャスターン州にも、似たような衣文化を持つ部族が住んでいるようです。また、2004年に旅行した、南インドのカルナータカ州でも、やはり同じような衣服を見に付けた人々を発見しました。どうやら彼らはバンジャーラーというジプシーの一種らしく、かつてはアフガニスタンからインドにかけて、穀物を輸送していた商人のようです。
グジャラート州やラージャスターン州で作られた優れた古織物は、現在グジャラート州アハマダーバードの更紗博物館で見ることができます。産業革命や商業主義の波がインドに押し寄せたことにより、インドの伝統的手工業は壊滅的なダメージを受けてしまいました。世界最高の織物技術を持っていたインドは、英国により、原材料の輸出国かつ製品の市場に貶められてしまいました。よって、本当に優れた織物は、英国がインドに来る前に作られたものです。更紗博物館では、模様や題材が似た、英領インド時代以前の織物と以後の織物を並べて展示してあり、産業革命と商業主義が、どのようにインドの農村部の芸術性を破壊していったかを目で感じることが可能です。
なぜ、インドのファッションが注目されるのか? その答えは、インドの村にあります。特にカッチ地方への旅行は、きっと「本物のファッション」を発見する旅となるでしょう。
画像右上:カッチ地方の女性。
画像左上:カッチ地方の女性。
画像右中:カッチ地方の夫婦。男性は西洋風の格好。
画像左下:カッチ地方の家族。
画像右下:カルナータカ州で出会ったバンジャーラー族。
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