■ホーリー祭:春の訪れを祝う祭り 2005.4.18 update

インドでは毎日何かしらお祭りが祝われている、インドを訪れる外国人は、そんな印象を受けることが多いようです。何しろインド最大の輸出品は宗教だと言われるほど、インドは多宗教国家です。主要な宗教だけでも、ヒンドゥー教、イスラーム教、キリスト教、スィク教、ジャイナ教などがあり、少数ですが、仏教、拝火教、ユダヤ教なども信仰されています。

それら無数の宗教がそれぞれの宗教行事を祝うのですから、毎日がお祭りになってもおかしくありません。それらに加え、インド独立記念日や、マハートマー・ガーンディーの誕生日など、近現代に入って新しく制定された祭日もあります。

その中でも、ヒンドゥー教の3大祭りと言われるのが、ダシャヘラー、ディーワーリー、そしてホーリーです。ヒンドゥー教の祭りは月の運行によって決定されるため、毎年日付は変わりますが、ダシャヘラーは10月、ディーワーリーは11月、そしてホーリーは3月に祝われるのが一般的です。それぞれに特徴がありますが、おそらく最も外国人にとって刺激的なのが、ホーリー祭でしょう。

ホーリー祭は元々、小麦の収穫祭であり、春の訪れを祝うお祭りでもあります。ホーリーを境に北インドでは気温がグングン上昇します。日本人の感覚だと、ホーリー以後は夏の訪れという感じなのですが、暑さがピークに達するのは雨季前の5月〜6月であるため、まだまだこの時期の暑さは序の口といったところです。よって、夏の訪れではなく、春の訪れとされます。

しかし、ホーリーと聞いて、以上のような堅苦しいことを思い浮かべる人は皆無でしょう。インド人が最も楽しみにしているホーリー祭の醍醐味は、水の掛け合いと色粉の塗り合いにあります。水は主に水風船か水鉄砲で掛け合います。デリーでは暗黙の了解があり、ホーリーの前日まではただの水を掛け合い、ホーリー当日には色水を掛け合います。

もちろん、服はカラフルに染まってしまいます。伝統的にはホーリーの日に新しい服を着るのですが、最近では新調した服が汚れるのを嫌って、古い服を着てホーリーを遊ぶ人が増えてきたようです。また、特に大人同士は水の掛け合いよりも、お互いの顔に色粉を塗り合って、ホーリーの訪れを祝うことが多いようです。

インドは階級の差や貧富の差の激しい国であり、カースト制度も憲法上では否定されながらも、依然として社会の隅々にまで根を張っています。しかし、ホーリーの日だけは、それらの垣根が取り払われ、無礼講となります。誰に対して水を掛けても怒られることはなく、誰とでも色粉を顔に塗り合うことができます。

もうひとつ重要なのは、ホーリーの日にはバーングが解禁されることです。バーングとは大麻のことです。法律的に大麻は禁じられているのですが、何しろインドにはそこら辺に大麻が自生しているため、あまり意味がありません。地方都市へ行けば、市場の大通りで大麻が堂々と売られている様子を見ることができます。インド人たちは、ホーリーの日にはここぞとばかりに大麻を摂取し、異常なほどのハイテンションとなります。

バーングがなくても、酒を飲んで酔っ払います。ホーリーの日には、こうして酔っ払った人々が、自動車やバイクに乗って道を暴走したりするので非常に危険です。こういった理由があり、ホーリーの日には、外国人旅行者、特に女性がトラブルに巻き込まれることが多いので、注意が必要です。

とは言え、親しい人々と適度に遊ぶことができれば、ホーリーほど面白い祭りは世界のどこにもないと言っても過言ではないほどです。僕も今年のホーリーは、大学の友人たちと祝いました。インドでもしホーリーに出くわしたら、童心に返ってホーリーをインド人と共に祝ってみると、楽しい思い出になることでしょう。

画像右上:ホーリー用の色粉が売られている(ジャイサルメール:2002年撮影)
画像左上:道行く人々に水をかける子供たち(ジャイサルメール:2002年撮影)
画像右中:大学キャンパスでのホーリー(ジャワーハルラール・ネルー大学[ JNU]:2005年撮影)
画像左下:道を歩けば色だらけに(オールドデリー:2005年撮影)
画像右下:ホーリーを遊び終えて・・・(デリー:2002年撮影)


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