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先日公開されたとある映画で、白人ヒッピー役の男優が「インドでは、金を持っていれば持っているほど、本当のインドから遠ざかってしまう」と言っていました。日本はあまりに貨幣経済が浸透してしまい、何をするにも金が必要となります。住むにも金、食うにも金、水にも金、移動するにも金、ゴミを捨てるにも金、毎日の生活の中で、出費のない日はありません。しかし、インドではまだまだ現金がなくても生活していけるだけの余裕があります。貧しい人はたくさんいますが、貧しいなりに生活していけるだけのゆとりがあります。金で武装した旅行者は、決してインドの心の奥底まで辿り着くことはできないでしょう。
しかしながら、金を持っていなければ体験することができないインドが存在することも忘れてはなりません。庶民の視線に立って見たインドもインドなら、上流階級の視線に立って見たインドもやはりインドなのです。インドでは、金さえ出せば、「本当にここはインドなの?」と我が目を疑うような贅沢もすることができます。インドがリッチな外国人観光客にこれから精力的にアピールしていかなければならないのも、その「贅沢なインド」のイメージだと思います。その「贅沢なインド」のひとつが、インド各地の個性的な高級ホテルでしょう。インドには、王宮や邸宅を改造した宮殿ホテルや、デザイナーがデザインしたデザインホテルなど、ユニークなホテルがたくさんあり、現在熱い注目を集めています。
先日、デリー近郊のグルガーオンに2004年夏にオープンした話題のデザインホテル、トライデント・ヒルトン・グルガーオンに行ってきました。グルガーオンは首都圏を形成する衛星都市のひとつで、近年目覚しい発展を遂げている地域です。その工業地帯の一角、デリーとグルガーオンを結ぶ国道8号線のすぐ近くにトライデント・ヒルトンは位置しています。インディラー・ガーンディー国際空港からも近い場所にあります。一般的な高級ホテルによくありがちな威圧的な高層建築ではなく、全ての建物が1階建てなので、そこにホテルがあるとは、言われなければ誰も気付かないでしょう。インドを代表する高級ホテルチェーン、オベロイグループが経営をしています。
このホテルの最大の特徴は、その独特の建築にあります。タイの有名デザイナーとオベロイグループの会長がデザインしたらしく、タージ・マハルなどで有名なムガル朝建築と、現代建築をミックスしたような全く新しいテイストの建築です。ロビーは白を基調とした広々とした空間となっており、天井の高さはギネスブックもの。ムガル朝建築と同様、池が印象的な使われ方をしており、インドの酷暑に配慮されています。全136室で、全ての客室は中庭の長方形プールを囲む形となっています。プールはデリーで唯一の屋外温水プールで、冬でも泳ぐことが可能です。
客室内部も、最新設備とオシャレな家具で宿泊客の快適な滞在を演出しています。室温はデジタルサーモメーターにより常に快適な温度に保たれ、TVはもちろんのことDVDプレイヤーもあって映画を楽しむことができ、無線LAN機能付きのノートPCを持参すればインターネットをすることができ、浴室はバスタブとシャワールームの両方があります。枕と布団は上質な羽毛が使用されており、机や椅子のデザインもかなりオシャレ。壁にはインド各地の遺跡の写真が飾ってあります。
そして何より楽しいのは、前述の大道芸人たち。組み体操をするグループ、身体中に付けた鈴を打ち鳴らすラージャスターン州の踊りをする人々、綱渡りや火の輪くぐりなどのサーカスを行う集団など、いろいろな芸を見ることができました。また、会場の中心にあるステージでは民俗舞踊劇も行われており、多くの観客を集めていました。
レストランはインド音楽の生演奏があるインド料理レストランと、ビュッフェ形式の多国籍料理レストランの2つ、それにプールサイドの軽食用レストラン1つ。特にインド料理レストランの方はインド各地の名物料理を食べることができ、オススメです。
ただ、このホテルは都会人のためのオアシスという性格が強く、観光旅行者や長期滞在者には少し退屈かもしれないと思いました。まず、ホテル内には実質レストランが2つしかないので、すぐに飽きてしまうでしょう。しかもホテルの周辺は工業地帯なので、見るべきものは何もありません。観光旅行者がフラッと散歩できるような環境にありません。また、デリー市街地から離れているため、仕事や観光にも不便でしょう。グルガーオン最大の繁華街モールロードも、歩いて行ける距離ではありません。デリーで毎日の仕事と雑踏に疲れた金持ちが、週末にリラックスするために泊まるような利用の仕方が一番合っているホテルだと思います。
宿泊費は、スタンダードツインルームの正規料金が8800ルピー(約21000円)。プール向きの部屋と外庭向きの部屋がありますが、断然プール向きの部屋の方がいいでしょう。
画像右上:トライデント・ヒルトンの玄関
画像左上:トライデント・ヒルトンの中庭
画像右中:デリーで唯一の屋外温水プール
画像左下:枕と布団は上質な羽毛が使用されており、机や椅子のデザインもかなりオシャレ
画像右下:バスルーム
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