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「メーラー(Melaa)」という言葉を聞いて心を躍らせないインド人はいないのではないでしょうか? メーラーとは、市場と祭りが一体化したイベントで、都市部でも行われますが、特に田舎の村などで年に1回〜数回、決まった日時に一定期間行われます。メーラーでは、いろいろな地域から商人たちが集まって色とりどりの商品を売り、駄菓子屋や軽食屋が軒を連ね、大道芸人や踊り子が自慢の芸を披露し、観覧車などの遊具が子供たちをひきつけます。娯楽の少ない村落部では、メーラーは村人たちの大きな楽しみのひとつです。日本の夜店によく似ています。
メーラーの精神は、首都デリーに住む都会人にも受け継がれています。先日、デリー南郊のスラージクンドで行われたスーラジクンド・メーラーへ行ってきました。スーラジクンドとは「太陽の池」という意味で、この辺りは池を中心とした森林地帯となっており、都市近郊のオアシスのような存在になっています。ハリヤーナー州ファリーダーバードの近く、デリーとの州境のすぐそばに位置しています。そのスーラジクンドで年に1回行われるのが、スーラジクンド・メーラーです。
スーラジクンド・メーラーはハリヤーナー州観光局が主催する「現代のメーラー」とも言うべきイベントで、今年で19回目を迎えています。国から表彰された優れた職人が多数店を出すことで有名である他、大道芸人たちの様々な芸を見ることができたりします。例年2月1日〜15日まで行われていますが、毎年の大好評を受けて今年は20日まで延長されて行われることが決定されました。今年の入場料は1人25ルピー(約60円)でした。
スーラージクンド・メーラーは毎年テーマが決められているようですが、今年はチャッティースガル州の大特集が組まれていました。チャッティースガル州は、インド中部にあり、2001年にマディヤ・プラデーシュ州から分離独立した新しい州のひとつです。インド文化とは違う文化を持った部族が多く住む州として知られており、チャッティースガル州特集コーナーでは部族特有の工芸品が多く売られていました。特にバスタル地方のドーグラーと呼ばれる金属製の置物が有名です。
チャッティースガル州の料理を出す食堂もあり、そこで食べたターリー(定食)は普通のインド料理とは違う変わった味でした。まだチャッティースガル州には行ったことがないので、ますます行ってみたくなりました。その他にも、インド各地の特産品が多く売られており、しかも普通の店では手に入らない工芸品や芸術品もあって感銘を受けました。全てをショッピングして回ったら1日では足りないくらいです。
そして何より楽しいのは、前述の大道芸人たち。組み体操をするグループ、身体中に付けた鈴を打ち鳴らすラージャスターン州の踊りをする人々、綱渡りや火の輪くぐりなどのサーカスを行う集団など、いろいろな芸を見ることができました。また、会場の中心にあるステージでは民俗舞踊劇も行われており、多くの観客を集めていました。
ただ、蛇使いや熊使い、猿回しなど、インドの街角でよく見かける芸人たちは見かけませんでした。インドでは、実は動物愛護政策により、動物に芸をさせて金を儲けることが法律で禁じられているので、それらの芸人たちはこういう政府主催のメーラーには来られないのだと推測されます。
かつて、インド独立の父マハートマー・ガーンディーは「真のインドは村にある」と言いました。しかし、インドは多くの側面を持った国で、いろんな方面からいろんなインドを見ることができます。市場もそのひとつでしょう。何しろインドは、昔から世界各国の商人たちが珍品を求めて集まってきた場所です。市場で多くの文化が混ざり合い、現在のインド文化を形成してきました。今でも庶民が集まるバザールへ行けば、インド商人と買い物客との激しいやり取りを肌で体験することが可能ですし、特に週1回開かれる定期市などでは、1週間分の食材を買いに集まる人々でごった返します。
しかし、インド人の市場文化のダイナミズムを最大限に味わうことができるのは、市場と祭りが一体となったメーラーだと言えます。農村部のメーラーこそ本物のメーラーですが、もし都市部にいながらメーラーの雰囲気を味わおうと思ったら、このスーラジクンド・メーラーが最も面白いのではないかと思います。
画像右上:スーラジクンド・メーラーの様子
画像左上:オリッサ州の特産品
画像右中:チャッティースガル州のターリー(定食)
画像左下:組み体操
画像右下:火の輪くぐり
【短信】デリーは2月に入り、雨の日が多くなりました。この雨が終わると、急に暑くなってくることでしょう(2/8)
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