■インドは隠れたサファリ大国 2005.1.24 update

インドを訪れる観光客の大半は、アーグラーにある有名なタージ・マハルを見に行きます。日本人観光客の間では、ブッダガヤーやサーンチーなどの仏蹟を巡るツアーがポピュラーです。ヨーガやアーユルヴェーダを探求するためにインドに来る外国人もいますし、ヒッピーのような長期滞在型貧乏旅行者も未だに後を絶ちません。インドは多くの魅力に溢れた国で、各人各様の楽しみ方ができるのがいいところです。そんな多様な魅力のひとつに、サファリがあります。サファリと言えばアフリカが有名ですが、インドも負けてはいません。

2005年1月現在、インド国内でユネスコの世界遺産に登録されているのは26ヶ所。その内、遺跡などの文化遺産が大半を占めますが、自然遺産として登録されている国立公園も5ヶ所あります。カーズィランガー国立公園、マナース野生動物保護区、ケーオラーデーオ国立公園、スンダルバン国立公園、ナンダーデーヴィー国立公園です。この他にもインド各地には数多くの国立公園、野生動物保護区、鳥獣保護区が散在しています。

この冬には、たまたま2ヶ所の国立公園でサファリをしてきました。ひとつはラージャスターン州にあるランタンボール国立公園、もうひとつはアッサム州にあるカーズィランガー国立公園です。同じインドと言えど、この2つの国立公園は対照的な特徴を持っていて、非常に興味深かったのでご報告します。

まず、ランタンボール国立公園。北インドの観光地のゴールデン・トライアングルと言えば、デリー、ジャイプル、アーグラーの3ヶ所が有名であり、各都市に多くの遺跡が残っていますが、これら三都市は中世から政治的・軍事的な重要拠点であり、北インド支配のゴールデン・トライアングルを形成していたと聞けば、なぜこれらの都市にそれほど多くの遺跡が残っているのか納得がいくでしょう。

これら三都市とちょうど菱形のような形を形成する場所にランタンボールは位置しており、やはり政治的・軍事的に重要な拠点でした。今でも山の上にランタンボール城塞が残っています。ムガル朝時代にランタンボールは王侯貴族の狩猟場となり、さらにインド独立後は国立公園になりました。

ランタンボール国立公園の目玉は何と言っても虎。インドでは虎は乱獲・密猟により一時は絶滅の危機に陥りましたが、タイガー・プロジェクトと呼ばれる虎保護計画のおかげで、虎の頭数は徐々に増加しているようです。ランタンボール国立公園には現在40頭の虎が生息していると言われています。よって、ランタンボール国立公園を訪れる観光客は皆、虎目当てで来ていると言っても過言ではないでしょう。

ところが、そのお目当ての虎に出会うのに非常に苦労します。なぜならランタンボール国立公園の敷地は東京都と同じくらいの広さ。その中からわずか40頭の虎を、1回のサファリ(3時間)で見つけ出すことがどんなに難しいか、想像してみてください。僕も一度だけサファリに挑戦してみましたが、虎に会うことはできませんでした。

一方、カーズィランガー国立公園の目玉は一角サイ。一角サイはインドのこの国立公園と、ネパールのチトワン国立公園にしか生息していない貴重な動物です。よって、観光客も必然的に一角サイ目当てでサファリをすることになります。ところが、こちらの方は案外簡単に一角サイに巡り合うことができてしまいました。カーズィランガー国立公園に生息する一角サイの数は1500頭以上。しかもある程度サイがどこにいるか、国立公園のガイドが把握しているため、行けば必ず会えると言ってもいいかもしれません。僕もサファリをしてものの数分で一角サイに遭遇。その後、1時間半ほどのサファリの中で腐るほど一角サイを見ることができました。

さて、ランタンボール国立公園の虎目当てサファリがいいか、カーズィランガー国立公園の一角サイ目当てサファリがいいか。お目当ての動物に会う可能性が高いという点では、カーズィランガー国立公園の方に軍配が上がるでしょう。しかも、一角サイは虎よりも珍しい動物のようです。しかし、ランタンボール国立公園の最大の魅力は、会えるか会えないか分からない虎を求めてさまよう緊張感だと思うのです。普通は虎を見るために何度も何度もサファリを繰り返さなければなりません。10回サファリをしても虎に会えない人もいれば、1回のサファリでやすやすと巡り合えてしまう人もいるでしょう。そういうギャンブル的要素が、ランタンボール国立公園のいいところではないかと思います。

ところで、インドは何も国立公園に行かなくても動物王国であることを忘れてはなりません。街中で犬や猫はもとより、牛、山羊、羊、豚、駱駝、象、蛇、マングース、孔雀、鹿、猿、鶏、リス、インコなどなど、ありとあらゆる動物に巡り合うことができます。よって、国立公園でサファリをしても、出会う動物は道端や近くの公園にいる動物とそう大して変わらず、大して感慨も沸きませんでした。国立公園よりも楽しいサファリパークは、実は普段住んでいる街なのでした。

画像右上:ランタンボール国立公園の風景
画像左上:キャンターと呼ばれる乗り物で国立公園を巡る
画像右中:鹿の群れ発見(あまり嬉しくない・・・)
画像左下:カーズィランガー国立公園の入り口
画像右下:一角サイ発見(望遠レンズがないと辛い・・・)

【短信】あけましておめでとうございます。12月26日のスマトラ沖地震の津波による被害を被った国のひとつ、インドでは、未だに災害の処理で国内がゴタゴタしています。内陸部にあるデリーは全く関係ないのですが、知り合いにも被害者が出てしまったようで、年が明けて、次第に身近な出来事に思えてきました。(1/11)


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