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インドに来たことがない人が、僕の住む首都デリーについてどういうイメージを持っているか分かりませんが、日本人が抱く典型的インドのイメージとはほど遠いのではないかと思います。自動車のマナーは日本とは比べるまでもなく悪いし、道路などのインフラ整備もまだまだ甘いですが、一般にラチェンズ・デリーと呼ばれるデリー中央部の壮大さと美しさは、けっこう自慢に値するのではないかと思います。これはイギリス植民地時代に造られた、英国の「正の遺産」と言っていいでしょう。そして、デリーを見た人が口を揃えるのは、デリーは意外と緑の多い街だということです。主要幹線沿いには必ず樹木が植えられ、巨大な公園が所々にあります。上空から眺めると、森林の中に都市があるようにも見えます。
僕の家の前にあるディア・パークという公園もデリーを代表する大きな公園で、名前の通り多数の鹿がほぼ放牧状態で飼われています。半分野生の孔雀がうろついているのは、日本人には目新しいのではないでしょうか。あまり整備は進んでおらず、ほとんどジャングル状態。名もなき崩れかけの廟などがちらほら残っています。インド人には早朝に公園を散歩するのが好きな人が多いようで、朝のディア・パークはかなりの混雑状態。昼間には暇そうな老人たちがベンチに座って、のんびりと取りとめのない話をしています。この公園があるおかげで、僕が住んでいる辺りの気温は他の地域に比べて1〜2℃低くなっています。
ところで、デリーの中に、「アジアのベスト」に選ばれた公園があります。デリー中央部の南端に位置するローディー・ガーデンです。ローディー・ガーデンは先日、米国タイム誌が特集した「アジアのベスト」の中の、「アジア最高の都会のオアシス」に選ばれました。ローディー・ガーデンは、15世紀〜16世紀にデリーを支配した、ローディー朝という王朝の皇帝の廟を中心とした遺跡公園となっています。いくつかの廟や建築物が公園のあちこちに残っており、ただの公園とは一味違った歴史の重みを感じさせてくれます。
ローディー・ガーデンの周辺には高級マーケットや高級住宅地が点在しているため、公園を利用している人も近所の富裕層や外国人が多いようです。デリーを代表する知識人の多くも愛用しているとか。ローディー・ガーデンはデリーの中でも最も整備が行き渡った公園で、周辺の住民の憩いの場として人気を集めています。
ローディー・ガーデンは遺跡が点在していながらも一応体裁は「公園」ですが、デリー各地にある数々の遺跡も、公園と言えば公園になっています。違うのは入場料がいること。ローディー・ガーデンは完全に無料で、誰でも入ることができますが、遺跡とされている場所には入場料が必要となります。例えば16世紀に建造された城砦、プラーナー・キラーや、18世紀に建造された皇帝の墓、サフダルジャング廟などは、入場料がいる遺跡ですが、中は公園にもなっています。
そして、デリーのこれらの公園または遺跡で必ず目に付くのは、熱い熱い男女のカップルたち。そこら辺に生えている木の下に必ず1組のカップルが座っているといっても過言ではありません。まるでキノコのようです。デリーでは公園はデートの定番。よって公園は若い男女の愛の巣となっており、仲睦まじく語り合う姿、寄り添って談笑する姿、膝枕を楽しむ姿、そしてときには人目をはばからずキスをしている姿を見ることができます。
遺跡がそのまま残る公園があり、また公園のように整備された遺跡がある一方で、デリー観光局は最近新たなコンセプトの公園作りにも取り組んでいるようです。その一例が、南デリー郊外にあるガーデン・オブ・ファイブ・センシズです。まだ建設中のようで、行ったときには完成していませんでしたが、これからどうなっていくのかは何となく掴めました。基本的にブラブラと散歩できる公園で、あちこちに奇妙な形のオブジェや、神殿風の建物、野外劇場、市場、レストランなどが点在しています。
日本にも似たような公園はあるな、という感じですが、デリーでは新しいコンセプトのように思えます。一応、目玉は太陽電池で動く乗り物のようですが、子供しか乗れないほど小さな車でした。まだ市場は全く入っておらず、レストランも一部だけ開店しているだけで退屈な公園でしたが、やはり多くのカップルが訪れており、お忍びデートには最適の場所となっているようです。入場料は10ルピー(約23円)。早朝は無料のようで、やはり周辺の住民が散歩やジョギングに来ているようです。
他にもデリーには多くの名物公園があり、それぞれ周辺住民の憩いの場、そしてカップルたちの愛の巣となっています。インド人の素顔を見たかったら、公園に行くと一番いいのかもしれません。
画像右上、左上:「アジア最高の都会のオアシス」に選ばれたローディー・ガーデン
画像右中:16世紀に建造された城砦・プラーナー・キラー。木の下にはカップルが・・・
画像左下、右下:南デリー郊外にあるガーデン・オブ・セブン・センシズ
【短信】だんだん朝晩が冷え込むようになってきました。これからデリーは極寒の冬を迎えます。(11/1)
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