■10月から12月は、全インド狂乱のお祭りシーズン 2004.11.15 update

インドは毎日何らかのお祭りがあると言われますが、年末の3ヶ月間は本当にお祭りだらけのシーズンになり、政府機関や学校も休日ばかりとなります。インドの祭日・休日は、主にインド独立後に制定された国民の休日と、宗教上の行事、そして選挙休日の3つがあります。国民の休日は年に3回だけ、選挙もそう何度もあるわけではありません。

しかし、宗教関連のお祭りは数えれば切りがありません。何しろ「インドの最大の輸出品は宗教」という冗談があるくらい、多くの宗教が混在している国です。それら各宗教の行事をいちいち休みにしていたら、1年間毎日休みになってしまいます。どのお祭りを休日にするかは、州政府に委ねられています。ちなみに、宗教関連の祭りは月の運行に従って制定されるため、毎年日付は変わります。

デリーに限って言えば、お祭りシーズンの到来はまずピートル・パクシュという期間から始まるように思われます。今年は10月上旬がこのピートル・パクシュでした。この期間は祖先崇拝の時期であると同時に、高価な買い物をすることが戒められている時期です。よって、この期間にインド人は絶対に高価な買い物をしないと言われています。

ピートル・パクシュが終わると、今度はナヴラートリー(「九夜」という意味)が始まります。ナヴラートリーからは、一転して「湯水の如く金を使いまくる」期間となると同時に、占星術上、結婚式に最適な時期となるため、連夜の如く街中で結婚式が挙げられます。インドの結婚式には必ずパレードがあるので、このおかげで道路は大渋滞となることもしばしば。ナヴラートリーには、ラームリーラーと呼ばれる野外劇が催されたり、ダンディヤーと呼ばれるスティック・ダンス(男女ペアになって、両手に持った棒を打ち鳴らす踊り)が行われたり、各地に移動遊園地が設置されたりと、まるで街全体がテーマパークになってしまったかのような状態になります。

ナヴラートリーの最終日はインド三大祭のひとつ、ダシャヘラー祭です。この日は、インド二大叙事詩のひとつ「ラーマーヤナ」の主人公ラーム王子が、羅刹王ラーヴァンを打ち倒した日とされており、各地の広場にはラーヴァンら悪鬼の巨大な像が造られ、「ラーム王子、万歳!」の掛け声と共に一斉に燃やされます。また、この日はドゥルガーという女神が、マヒシャーという名の悪魔を打ち破った日ともされており、特にベンガル州ではドゥルガー・プージャーと呼ばれる祭日となります。ドゥルガー・プージャーでは、ドゥルガーを象った像が海や河に流されます。

ダシャヘラーから3週間後には、これまたインド三大祭のひとつ、ディーワーリー(またはディーパーワリー)があります。ディーワーリーにもいろいろな謂われがありますが、ラーム王子が故郷アヨーディヤーに戻って来た日とも、富の女神ラクシュミーがやって来る日とも言われています。インドの伝統では、帳簿上、ディーワーリーが1年の終わりであると同時に新年の始まりとみなされています。この日、インド人の家庭では全ての窓や戸を開けっ放しにし、家の至る所に灯火を置きます。これは、富の女神を家の中に招き入れるためです。また、家の外で子供たちが爆竹や花火で遊ぶのも、ディーワーリーの大きな特徴です。爆発音と火薬臭により、街はまるで戦場のようになります。

この他、ダシャヘラーとディーワーリーの間には、カルワー・チャウトやバーイー・ドゥージといった、これまたインド人にとって重要な祭りがあり、また結婚式シーズンも佳境を迎えていますので、文字通り「毎日お祭り」状態となります。この間、花火が上がらない夜はないと言って過言ではないでしょう。また、この時期はどこの店でも大安売りの大バーゲンを行っていますので、市場はどこも大変な混雑となります。

この時期、経済活動を活発化させるのは一般市民だけではありません。泥棒やスリも積極的な活動を始めます。この時期、インド人は家に大量の現金を置いたり、持ち歩いたりすることが多いので、泥棒、空き巣、スリの被害件数が非常に増えると言われています。特にディーワーリーの日には家を開けっ放しにする習慣があるため、さらに泥棒たちにとって都合の良い日となります。彼らにとってもこの時期はいい稼ぎ時なのです。

上記の祭りはヒンドゥー教のものですが、今年はイスラーム教最大の祭りラマダーン(断食月)もダシャヘラーとディーワーリーに重なったため、大変なことになっています。イスラーム教の祭りは、ヒンドゥー教とはまた別な太陰暦に基づいているため、年によって日付が大きくずれます。ラマダーンの期間中、イスラーム教徒は日中断食を行い、夜は連日飲めや歌えのパーティー状態となります。

今年はナヴラートリーが10月14日から始まり、ラマダーンが10月15日から始まり、ダシャヘラー祭が10月22日、ディーワーリー祭が11月12日、ラマダーンが終わるイードゥル・フィトル祭が11月15日となっています。この他、インド独立の父マハートマー・ガーンディーの誕生日(10月2日:国民の休日)、スィク教の開祖グル・ナーナクの生誕祭(11月26日)、キリスト教のクリスマス(12月25日)など、年末は本当に祭日が目白押しです。その代わり、面白いことにインドではニューイヤーはほとんど祝われません。12月31日から1月1日にかけて、特に何かが起こるわけでもなく、ただ単に日付が変わるだけです。

ただ、ヒッピー文化の中心地として有名なゴアなどでは盛大にニューイヤー・パーティーが開かれます。デリーでも最近ニューイヤー・パーティーを行うディスコなどが出てきました。しかし結局、西暦の新年を祝う文化はインドではまだあまり普及していません。

この時期に祭りが集中するのは、収穫祭的な意味合いがあると同時に、農閑期で暇な時間があることが大きな理由でしょう。10月を過ぎると急速に寒くなっていきますが、これら連日連夜の祭りと結婚式のおかげで、デリーは最もホットな時期を迎えています。

画像右上:ナヴラートリーの期間中には、ダンディヤーと呼ばれるスティック・ダンスが行われる。
画像左上:ダシャヘラー祭。羅刹王ラーヴァンの像が燃やされる。
画像右中:スィク教徒の結婚式の新郎新婦。
画像左下:ディーワーリーは新年の始まり。各家庭に小さな祭壇が作られる。
画像右下:ディーワーリーの花火

【短信】だんだん朝晩が冷え込むようになってきました。これからデリーは極寒の冬を迎えます。(11/1)


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