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今月のデリーは、先月の暑さが嘘であるかのように、一転して涼しくなってしまいました。4月末〜5月初めにかけて季節外れの大雨や雹が降り、北インド一帯の気温は例年よりも5℃以上下がり、ちょうどいいぐらいの気候になっています。生活するにはありがたい異常気象ですが、インド経済の基盤である農業に悪影響を与えないか心配です。とは言え、次第に気温も上昇してきているため、そのうち通常通りの酷暑がやって来るでしょう。
異常に涼しい酷暑期とは打って変わって現在ヒートアップしているのが、下院総選挙戦です。世界最大の民主主義国を称するインドは、有権者が6億7千万人以上もいると言われており、広大な国土をカバーするために、20日という長時間をかけ、4期に分けて選挙が行われます。5月6日現在、既に第3期投票まで完了し、残るは5月10日の第4期投票のみになりました。政党や政治家たちの選挙運動、駆け引き、中傷合戦は毎日、新聞を騒がせています。しかし、選挙で盛り上がっているのは政治家たちだけではありません。選挙関連商品を売る商人たちにとっても、選挙は大事な稼ぎ時なのです。
デリーには、アジア最大規模の市場と言われるサダル・バザールがあります。ここには生活用品などを売る店が路地裏の隅々にまで大量に軒を連ねており、四六時中、喧騒と雑踏で溢れ返っています。大変な混雑で、ゆっくりショッピングをすることは不可能と言っていいでしょう。しかしいろんなものが安く手に入るため、デリー中から連日人々が集まってきます。少し歩いただけでも、食器や調理器具を売る店、結婚式用品を売る店、電化製品を売る店、映画スターのポスターを売る店、文房具屋、宝石屋、薬屋、服屋、家具屋、雑貨屋などなど、ありとあらゆる店を発見することができるでしょう。
今回のように選挙が始まると、サダル・バザールは選挙関連商品を卸売りする問屋街へと一変し、町には各政党のリーダー、スローガン、シンボルマークが踊り、インドの国旗色である緑とオレンジでカラフルに彩られます。卸売り専門で、各政党のシンボルマークが入ったバッジ、旗、帽子、Tシャツ、たすき、傘、ポスターなどなどがまとめて売られています。そして各党の政治家や党員たちが、演説会の会場装飾や有権者に配るためのグッズを買いにやって来ます。
今年一番人気を誇るのは、国民会議派のソニア・ガーンディー党首の娘、プリヤンカー・ヴァドラーのグッズとのこと。簡単に説明すると、インド初代首相のジャワーハルラール・ネルーの娘がインディラー・ガーンディーで、彼女もインドの有名な首相であり、インディラーの息子のラージーヴ・ガーンディーも首相を務めました。この3代に渡る国民会議派のリーダーによる政権、俗に言うネルー王朝が、独立後のインドの政治の大部分を支配してきました。90年代に入り、国民会議派に変わって急速に議席を拡大してきたのが、ヒンドゥー至上主義を理念とするインド人民党(BJP)で、現在下院の第1党となり、政権を握っています。
一方、野党に転落した国民会議派ですが、現在はラージーヴの妻でイタリア人のソニア・ガーンディーが党首を務めています。その娘のプリヤンカーはまだ国会議員に出馬はしていないものの、母親の選挙運動を手伝ったりして政治の世界に足を踏み入れており、国民の間で人気沸騰中です。こういう背景を受けて、彼女の顔がプリントされたグッズが売れ行き好調のようです。
また一方、現在与党のインド人民党(BJP)のリーダー、アタル・ビハーリー・ヴァージペーイー首相(バジパイ首相)のグッズも負けないほどの人気を誇っていますが、プリヤンカーには遠く及ばないそうです。今回の下院総選挙で与党と野党がひっくり返るかどうかは、現時点では全く分かりませんが、選挙関連商品の売れ行きを見る限り、国民会議派の人気が盛り返している傾向にあると思われます。
もし、「インドならでは」のお土産が欲しいなら、選挙中にサダル・バザールへ行ってみると、インドでしか手に入らない、各政党のグッズを買うことができます。卸売り専用ですが、交渉すれば商品によってはバラで売ってくれます。僕も記念にBJPと国民会議派のシンボルマークが入った傘とタスキを買いました。
画像右上:サダル・バザールの一角。狭い路地にも店がびっしりと並ぶ。
画像左上:大量の荷物を運ぶ人。
画像右中:選挙関連商品を売る店。
画像左下:帽子やバッジなどを売っている。
画像右下:左がインド人民党のマーク、右が国民会議派。
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