■中世にタイムスリップ:インド名物宮殿ホテル 2004.3.15 update

3月のデリーはもう夏です。色水を掛け合うホーリー祭(今年は3月6〜7日)が終わると、デリーは本格的な夏を迎えます。インドの季節はホット、ホッター、ホッテストの3種類しかない、と言われますが、デリーの3月はまだ「ホット」の段階。これからさらに暑くなるので、インド人からしたら、2月、3月は一番過ごしやすい季節です。

かつてインドは、マハーラージャーと呼ばれる王様が治める藩王国が群雄割拠していました。18世紀〜19世紀にかけて、イギリスがインドで支配権を確立していく過程で、各地の藩王国はイギリスの領土に取り込まれていき、生き残ったマハーラージャーたちも、インド独立後に特権を剥奪されて一般市民になってしまいました。ある者は事業に失敗して没落し、ある者は政治の世界へ飛び込んで活躍し、ある者は海外で暮らし、ある者は世捨て人のようにひっそりと暮らし、ある者は今でも莫大な財産を守っており、またある者は今でも地元の人々の尊敬を集めています。マハーラージャーたちの「その後」は各者各様ですが、今でもかつて藩王国があった地を訪れると、当時の栄華を偲ばせる宮殿、城砦、城下町などが残っています。

マハーラージャーの宮殿は、観光地や博物館になっていたり、今でもマハーラージャーが住んでいたり、はたまた時の流れに逆らえず廃墟となってしまっていたりしますが、ユニークなのは、ホテルとして改造して一般に開放しているものです。このようなホテルを宮殿ホテルとかヘリテージ・ホテルと呼び、インド観光の特色のひとつになっています。

先日、デリーから約100kmの地点、ラージャスターン州ニームラーナーにある宮殿ホテル、ニームラーナー・フォート・パレスを訪れました。デリーから自動車で2時間〜2時間半ほどで、日帰り旅行や一泊旅行にちょうどいいロケーションにあります。ニームラーナー・フォート・パレスは1464年に建造された、インドで最も古い宮殿ホテルのひとつ。元王宮をホテルに改造した旧館と、現代的娯楽施設を備えた新館に分かれており、全部で45室あります。それぞれの部屋は独自の特徴を備えており、その特徴を表した名前が付いています(部屋番号などはありません)。例えばチャンドラ・マハル(月の宮殿)は白の家具で統一され、マラバール・マハル(海岸の宮殿)は海をイメージした家具で装飾されており、シカール・マハル(狩猟の宮殿)はテントになっています。

宮殿ホテルに宿泊すると、陳腐な表現ですが、まさに中世のマハーラージャー気分。ターバンを巻いたボーイたちが、親切にサービスをしてくれます。チェックイン・タイムの2時前に到着すれば、各部屋を見せてもらうことも可能ですし、ただ城の中を歩き回るだけでもいろいろな発見があって楽しいです。新館にはプール、スパ、マッサージ室、ステージ、ホールなどが完備されており、普通のリゾート・ホテルのような滞在の仕方もできます。もちろん、電気、水、ホットシャワーなどは全室完備されています。

朝食、昼食、夕食は全てビュッフェ形式で、インド料理からコンティネンタル料理まで、各種の料理が出ます。味は絶品。毎月数回、インド舞踊などの催し物も企画されており、僕が訪れたときにはインド古典舞踊のひとつ、カタック・ダンスを見ることができました。ホテルのサービスやレセプションの対応なども、適度にフレンドリーで適度にかしこまっており、非常に好感が持てました。

宮殿ホテルの城下町は、典型的なラージャスターン様式。路地が迷路のように入り組んでおり、町自体が要塞となっています。散歩をすると庶民の生活を垣間見ることができます。城下町の人々は観光客に対して礼儀正しく、観光客ずれしていません。ホテルから徒歩30分ほどのところには、ラージャスターン州で最大と思われる階段井戸(バーウリー)があります。階段井戸とは、底まで階段が続いている井戸のことで、乾燥した気候のラージャスターン州に多く見受けられます。また、近くの山の頂上には廃墟となった宮殿跡も残っており、ピクニック・スポットとなっています。

宿泊料は部屋のグレードにより、シングルベッドの1100ルピーから、ダブルベット2つ、シングルベッド2つの豪華なスイート・ルームの12000ルピーまで様々です。デリーの高級ホテルに比べたら、この値段は格安と言っていいでしょう。また、宿泊客以外は入場料として200ルピーを払わなければなりません。※1ルピー=約2.7円

このニームラーナー・フォート・パレスの他にもインド各地には数多くの宮殿ホテルが存在します。タージマハルなどを見て、インドを支配した王たちの偉業を称賛するのもいいものですが、インドの王侯貴族気分になってみるのも、また一興です。

画像右上:宮殿ホテル旧館
画像左上:宮殿ホテル新館
画像右中:白の家具で統一された、チャンドラ・マハル(月の宮殿)
画像左下:海をイメージした家具で装飾された、マラバール・マハル(海岸の宮殿)
画像右下:プール


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