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スペインで初めてのお葬式体験は、ご近所のおばあちゃんと呼ぶにはあまりに若々しくて優しかった女性がガンで亡くなったときでした。喪服なんて持ってなかったわたしは地味めのワンピースで、夫は綿パンとシャツで参列しました。
そして、教会に集まっている人たちを見てビックリ。Gパン姿は普通で、真っ赤なシャツを着てる人までいたのです。特に黒い服でないとダメということはないだろう、と思ってはいたものの、派手な花柄とか、赤い色とか、そういうものも許されるんだなぁ、さすが鷹揚なスペインと妙に感心したのをよく覚えています。
もちろん、黒いスーツに黒いネクタイと、きちんとした格好で参列することもありますが、亡くなった方の家柄や仕事柄に左右されるようです。一昔前までは、未亡人になった場合は半年から1年はずっと黒い喪服で過ごす、という習慣がありましたが、現在はジプシーを中心に守られている習慣のようです。
さて、お葬式の様子ですが、日本と同じように葬儀社が訃報を貼ったりなどの段取りをしてくれます。新聞に訃報広告を出すこともあります。遺体はタナトリオと呼ばれる葬儀場に運ばれて、そこに友人や親族が訪問します。お香典の習慣はありませんが、ごく親しい人の場合は花束を贈ります。
この花束も、色とりどりの派手なものでOK。親族一同など連名で花輪を贈ることもあります。とあるお葬式で、違和感があったのが、亡くなった方の顔を拝むというか、多くの人が故人に最後のご挨拶もしないまま、喪主やその家族と立ち話をしたり、集まった人と世間話をしたりして、何となくお開きになったことです。
キリスト教では、死後の身体の復活を信仰するため、魂が天国に逝ってしまった後の身体はいわば抜け殻のようなものなので、あえて挨拶したりはしないのだそうです。他のお葬式のときに、故人と直接親しかった人は棺に入った姿を見て涙していましたから、これもケースバイケースと言えるのでしょうが、日本のお通夜のように厳粛な雰囲気の中、一人一人がお焼香をして・・・という感じとは全く違います。
そして、次の日には最後のミサが教会で行われます。葬儀場に併設されていることもあれば、霊柩車で別の教会へ運ばれることもあります。ミサの後、埋葬されるのですが、実に85%以上が土葬です。これも「死後の身体の復活信仰」が主な理由なのですが、魂がよみがえったときの入れ物としてミイラ化した身体を残しておくのだそうです。日本人のわたしとしては少し安心なことに、火葬の施設もあります。何年もかけて土に戻るより、さっさと灰にしてほしいし、遺体を飛行機に載せるのもいろいろと大変そうですからねぇ(苦笑)
お墓の下は数メートルから10メートルの深さがあります。日本のお墓と同じように、家族が何体か一緒に埋められることもあります。最初の棺桶の上に、次の棺桶を重ねて、という仕組みです。上には、墓石や立派な彫刻を施した十字架などが立てられます。棺桶がひとつずつ入れられるタイプのお墓もあります。これは土地の少ない都市部に多い形式です。いわばお墓のアパートですね。お金がない人たちのための共同墓地もあります。
下世話な話で恐縮ですが、とある葬儀社のパンフレットに、葬儀代金は3,000ユーロ(約47万円)から、というようなことが書いてありました。日本よりずっと安いのは、お香典を受け取ったり、立派な祭壇を作ったり、ということをしないシンプルなお葬式だからでしょう。
さて、どこの墓地にもスペイン杉と呼ばれる木が植えられているのですが、これは魂が天に昇っていく様子を象徴しているのだそうです。そして、小さな村の墓地にも門があって、施錠できるようになっているのは、やはり防犯上の都合なのでしょう。
画像上:葬儀場に安置されている棺。ガラス張りの部屋に置かれており、1日目は棺の蓋は開いていて顔を見ることが出来ましたが、2日目の最後のミサの前には棺は蓋をされていました。
画像下:墓地。奥に見える壁のようなものが、アパート式のお墓です。供えられた花の大半は造花です。
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