■全国地方選挙 2007.5.15 update

来る5月27日に全国統一地方選挙が行われます。スペインの地方自治制度は、日本でいう市町村、県、自治州の三層で構成されています。現在、スペインは8千を超える市町村、50の県、17の自治州があり、地方選挙は拘束名簿式比例代表制で、4年ごとに選挙が行われます。県議会議員は、市町村の議員選挙の得票結果に応じて、その中から選ばれる間接選挙です。自治州議員は、県を選挙区として行われます。

比例代表制のため、個人の名前を宣伝する必要がないせいか、日本のような選挙カーでの演説はまったく見かけません。ポスターも政党ごとに貼られています。法律で定められた場所があるわけではなく、村の入り口あたりに貼られていたり、道路わきに大きな看板として設置されたりしています。ポスターでベタベタ、という感じはあまりありません。ポスターには、普通、名簿筆頭者(例えば市長候補者)の写真が使われています。それから党の実績を説明したパンフレットが各家に配布されます(選挙権はありませんが、我が家にもたくさん入ってきました)。

またマヨール広場など町の重要な場所に音楽が流れる明るい雰囲気の選挙事務所がおかれ、パンフレットが配られています。候補者も顔を出しています。支持者を中心として集めた政治集会も開かれ、それぞれの実績を訴えたり、党の方針を説明したりしています。投票日前日は、法律によって一切の選挙活動が認められていませんので、投票日の前々日に大掛かりな政治集会が行われるのが通例です。

スペインの主な政党は以下のとおりです。

1.社会労働党(Partido Socialista Obrero Espanol:PSOE)
社会主義インターナショナル加盟政党。1879年に労働者によるマルクス主義政党としてマドリッドで結成。2001年に書記長となったホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロは、2004年の総選挙で当初劣勢が報じられるも、投票の3日前の3月11日におこった列車爆弾テロをきっかけとして国民党政権のイラク戦争に対するアメリカ追随に対する批判票を集め、40%を越える得票を獲得して第一党に復帰、8年ぶりに政権を奪取した。そして、イラク撤退や同性結婚の合法化など、リベラルな政策を実行している。

2.国民党(Partido Popular:PP)
日本の外務省では民衆党と表記される。1976年、マヌエル・フラガ・イリバルネら保守政治家が結成した国民同盟を前身とする。中道右派に路線を変更し、1989年に国民党に改名。1996年の総選挙に勝利して、社会労働党のゴンサレス政権に代わってホセ・マリア・アスナール政権が誕生。政権獲得後は高い経済成長率を達成し、2000年の総選挙でも再選。アスナール政権は、テロ活動を行う「バスク祖国と自由(ETA)」に対して強硬な態度を取り、イラク戦争ではアメリカ、イギリスに同調して開戦に賛成し、イラクに派兵。選挙直前に起こったテロを、イラク派兵に反対するイスラム過激派による犯行であったにもかかわらず、ETAによる犯行だとの誤った発表をしたことで有権者の不信を買い、イラク撤兵を公約に掲げた社会労働党に政権を奪還された。

3.集中と統一(Convergencia i Unio:CiU)
1931年に結成された歴史的カタルーニャ民族主義政党であるカタルーニャ民主統一党と、1974年に結成された中道左派のカタルーニャ民主集中党による安定した連合。

4.統一左翼(Izquierda Unida:IU)
1985年にスペイン共産党が中心となって、左翼勢力を結集して作られた。全国レベルでは、スペイン共産党、社会行動党、共和左翼が協力している。

5.バスク民族主義党(Partido Nacionalista Vasco:PNV)
1930年に統一され、バスク民族主義党となるが、最も過激なグループ「バスク民族主義者活動」が離党し、その後も何度かの分裂を経て今日に至る。元々は、バスク・ブルジョア階級の民族主義政党として結成されており、現在も保守系の民族主義政党。

選挙権、被選挙権は、ともに18歳以上のEU加盟国国籍を有するスペイン国内居住者に限られます(スペインの政治家がみんな若いのには驚きます。現職のサパテロ首相は1960年生まれです)。有権者には、選挙の2週間ほど前に投票所などを知らせるハガキが届きます。学校や役場などの公の建物が利用された投票所の入り口には、名前や住所などが明記されていて、本人以外にも一目瞭然です・・・。事務は、選挙管理委員会から嘱託された民間人と各政党から送られた立会人とで行われます。テロの危険もあるため、投票時間中は警察官が警備していますが、子どもやペット連れで投票に来る人もいて、全般的に和やかな雰囲気で行われるようです。


画像説明文
画像上:ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相。18歳で社会労働党入りし、39歳で書記長に就任。イギリスのブレア首相が掲げる「第三の道」に影響を受けた「新たな道(Nueva Via)」を提唱する党内新世代の代表。
画像中:国民党のロゴマーク。社会労働党とあわせ、二大政党のひとつ。
画像下:町でみかけた、社会労働党の選挙カー。といっても、車で演説をするわけではなく、近くのホテルで開かれた政治集会に向かっているようでした。

【短信】暖かかった4月から、一転して肌寒い5月になっています。冬に雨が少なかったせいで、いつもなら丘一面を真っ赤に染めるポピーがあまり咲いてなくて残念です。(5/6)


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