■ポピュラーなマーシャルアーツ 2005.3.21 update

先日2月26日(土)に、NHK地球ラジオに出演しました。当日の当地の天気や、その国で最近話題になっている事、世界遺産の町の様子や町の人の考え方などのコーナーがあり、世界同時生中継されています。その中で、わたしはスペインの武道(マーシャルアーツ)事情についてお話しました。

欧米の国では大抵そうであるように、スペインでも空手や柔道、合気道などマーシャルアーツがとても盛んです。道を歩いていると様々な道場を見かけますし、柔道は、小学校の選択授業にも取り入れられています。東洋文化なんてこれっぽっちも興味のなさそうな知人にも「実は茶色帯までいったんだ」と自慢する人がいるくらいです。空手は、スペインの空手協会に登録している人数だけでも、10万人以上(日本は約5万人)になるので、実際に習っている人数は、さらに多くなるでしょう。それぞれの武道の専門誌もいろいろ発売されていて、何処の書店でも買うことが出来ます。

空手と柔道を中心に子どものお稽古事としても人気があります。剣道や居合道を練習している人ももちろんいるのですが、道具を揃えるのにお金がかかるので、どちらかというと大人の趣味という感じでしょうか。だんだんと武道の世界にめりこみ、次は弓道をやりたい!とまで言っている知人もいますが、そこまでの人は少数派で、基本的には、スポーツの一環、護身術や健康維持のために練習している人が多いようです。若い女性でマーシャルアーツを習っている人もめずらしくありません。

これだけ生活に浸透している日本の武道ですが、歴史的な土台が違うからか、いろいろな面で日本と違う部分も見られます。スペインでは儒教的な考え方がないので、特に武道の精神的な側面の指導が難しいのだそうです。「先生、それは違うんじゃないか?」と口を挟んだり、練習の後、片づけもしないでしゃべっていたりなど、「日本なら破門になりかねない事」が良くあるのだそうです。そのへんをあまりきつく指導すると、すぐにやめてしまうらしく、「精神的なことは徐々に指導していくよ」と知人の師範が笑って話していました。

日本との違いで言うと、「忍術」がかなりメジャーな存在という事もあげられます。響きがいいのか、スペイン人にはとても受けがよいみたいです。もちろん、日本人の私たちがイメージするテレビや映画に出てくるようなものではなくて、実際には護身術を中心に、少ない力で相手を倒す方法を練習しています。

日本の武道が浸透してきて、いろいろ面白い話も聞くようになってきました。私も良く知っている、武道大好きなスペイン人夫妻が、自分の子どもに「セイヤ」、「アキラ」、「サクラ」などの日本名をつけています。また、とある道場のパーティでは、乾杯をする時に、「1、2、3…9、10、カンパイ!」と日本語で音頭を取ります。多少騒いでも問題ない類のレストランとはいえ、かなり目立つのですが、何度も10まで数えてはカンパイ…。

映画「ラスト・サムライ」のときは、日本刀にも注目が集まりました。スペインでも西洋の刀剣を作る刀鍛冶がいるのですが、日本の刀剣制作の技術指導を受けて、日本刀も作るようになったそうです。スペイン中央部のトレド県にはいくつかの刀剣制作会社があり、おみやげもの屋にも西洋の刀剣に並んで日本刀が並んでいるのを見かけます。

日本の武道が盛んなのは、日本人としても嬉しいのですが、特にオリンピックなど世界的な大会がある競技は、勝ち負けだけが注目されがちなのは残念です。武道の練習が、自分の未熟さと戦い、成長して行く為の「自己鍛錬」の場であり、人と争い戦う為の道具ではない、という点も忘れられないでいてほしいものです。

画像上:土日を利用して師範を招き、合気道の特別練習中。スペインよりもさらにマーシャルアーツがさかんなフランスから師範を招くこともよくあります。
画像下:アミューズメントセンターで居合道のデモストレーション。誰でも無料で気軽に見学できます。



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