■サンティアゴ巡礼 2004.7.12 update

スペインは6月中旬から9月中旬までという長い夏休みに入りました。子どもだけでなく、会社員も交替で2週間から1ヶ月ほどの夏休みをとるのが普通。お店も8月いっぱいは休業するところもたくさんあります。そんな長い夏休みを利用して、サンティアゴ巡礼をする人も多いようです。一度に全行程を歩かなくても、何年かにわけて歩いても良いそうですし、巡礼証明書はもらえませんが車でまわっても良いのです。

さてサンティアゴ巡礼の歴史を少しひもとくと、9世紀初頭にキリスト教12使徒の一人である聖ヤコブ(スペイン語名サンティアゴ)のお墓がスペイン北西部ガリシア地方のサンティアゴ・デ・コンポステーラで発見されたことがきっかけとなっています。当時国土の大半を支配下においていたイスラムに対抗しようと、カトリックのクリュニー修道会がこれを利用し、「サンティアゴ・デ・コンポステーラに巡礼すれば全ての罪は許され、天国に行くことができる」とサンティアゴ巡礼を奨励しました。周辺の貴族たちが教会や橋、巡礼者のための宿泊施設などを整備し、巡礼者の保護に努めたおかげもあり、中世には年間50万もの人が「全免償」の魅力にとりつかれ、徒歩や馬車でピレネー山脈を越え、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指したと言われています。それ以来、ローマ、エルサレムと並び、ヨーロッパ三大巡礼地の一つとして崇められています。

サンティアゴ巡礼と一口に言っても、そのルートはいろいろ。まず代表的なものがCamino Frances(フランス街道)です。名前のとおりフランスから続くルートで、スペイン国内は牛追い祭りで有名なパンプローナ、世界的に大ヒットしたグレゴリオ聖歌で有名なシロス修道のあるブルゴス、ガウディが設計した司教館のあるレオンなど北部を通ります。次に最も歴史の古いCamino Norte(北街道)は、海岸沿いのアストゥリアス地方を通ってガリシア地方に入ります。他にはCamino Ingles(イギリス街道)、Camino Portugues(ポルトガル街道)、Via de la Plata(銀の道)、Fisterra(フィニストレという最西端の町から入る道)、Mar de Arousa(アロウサ海から入る道)などがあります。

中世には、巡礼者は巡礼のシンボル(通行証でもあった)であった帆立貝の貝殻を提げ、水筒、杖を手に長い道程を旅したそうです。現在はできるだけ身軽にリュックと杖で約800Kmにもわたる行程を歩く人がほとんどです。街道沿いには巡礼者の為の宿泊施設としても使われた修道院、教会、病院などがたくさん残っており、現在ではユネスコの世界遺産に指定され、日本の熊野街道(和歌山)と姉妹街道にもなっています。

巡礼の方法は徒歩、自転車、車、交通機関の利用とさまざまですが、徒歩の人が最優先に泊まれる無料、もしくは格安の宿泊施設(Albergues)もあります。雨露をしのぐだけのものから、熱いシャワーが出るところまでありますが、基本的に寝袋を持参して泊まることになっています。余談ですが、サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂の香炉は世界最大なのですが、これを振り子のように往復させるのは、巡礼者たちがみな汗臭く、その匂いを消すためのものだったという説もあります。

ひたすら歩くだけの巡礼を成し遂げるのは簡単ではありませんが、街道全てにわたって、数十メートルおきに黄色い矢印が書かれているので、道を迷う心配は全くありません。お楽しみもいくつかあって、例えば、Iracheという村には、Fuente de Vino(ワインの泉)があり、名前のとおり、泉から水ではなく、ワインが湧き出ていて実際に飲めるのだそうです。

2004年7月25日は日曜日。この日が日曜日にあたる年はXacobeo(ハコベオ)と呼ばれ、この年にサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂を訪れた者は、全ての罪を許され、天国に行けるとされています。巡礼を成し遂げなくても天国に行けるチャンス!というわけで、今年はスペインにいらしてみませんか?

Xacobeo公式サイト http://www.xacobeo.es/

画像上:サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂。巡礼のゴールです。
画像下:数十メートルごとにこの印があるので、巡礼者は迷わないそうです。

【短信】セビーリャ(アンダルシア地方)の街頭温度計では、既に50℃なんてすごい数値を記録している夏真っ最中のスペインです。(7/3)


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