■聖週間 2004.4.19 update

日本では「イースター」の方が馴染み深いかもしれませんが、春分の日の後、最初の満月から数えて最初の日曜日が復活祭(イースター)です。当然ながら日付は毎年変わります。ご存じの通り、処刑されたキリストが復活したことを祝う宗教的なお祭りです。この日曜日までの一週間を聖週間、スペイン語ではセマナサンタと呼びます。キリスト教の国であるスペインでは、クリスマスと同様に重要な行事で、各地でパソと呼ばれる山車(だし)が出ます。このプロセシオン(行進)は各教会の信徒会ごとに出すもので、誰でも担ぎ手になれるわけではなく、寄付金の額や信心の期間などそれぞれ条件があるのだそうです。

基本的に、キリストがエルサレムに入り、そこでいくつかの事件を起こし、最期の晩餐を行ない、十字架で処刑され、三日目に復活するという故事を再現するものなので、お祭りというよりはお葬式に近く、山車は粛々と行進します。その行進を見て涙を流す信心深い人もいます。悪天候で山車が出せないときなどには、目に涙をためて悲しむ人たちがニュースに映ります。夜の寒くて長い行進に耐えきれず、泣きながら歩いている小さな子どもも見かけます。

各プロセシオンのプログラムは前もって詳細な冊子にまとめられ、観光案内所などで配られます。新聞にも当日のプログラムが出ています。それは何時にどこの通りを行進する、などまるで電車の時刻表のような細かさです。暗いメロディーのラッパや鼓笛隊に先導されて、目の部分だけ穴が開いたマスクをすっぽりかぶった信徒に囲まれるようにキリスト像やマリア像がのった大きな山車が続きます。

もちろん各地でこのプロセシオンはあるのですが、地方によって特徴が違います。有名なのは南部のセビージャや北部のバリャドリッド、サモーラというあたり。一般的に南部の方が派手で、周囲に火のついた長いろうそくと色とりどりの生花が美しく飾られたマリア様の山車に向かって、「グアパ!(美しい)」と声をかけたりします。サエタといって、山車の上のキリスト像やマリア像、また担ぎ手に対してバルコニーから歌いかける人もいます。ただし、歌い手はプロ、もしくはプロ級の人に限るという暗黙の了解があります。各教会から山車が出発する時と、帰って来て教会に入る時には必ず教会と契約しているプロがサエタを歌い上げます。

北部では、まだ雪が降ることもある寒いこの時期に、贖罪のために裸足で行進したり、背中を大きく開けて荒縄で自分の背中を打ちながら行進したり、と痛々しいものが多くあります。果ては十字架にクギで打たれたキリストの傷みを分かち合うために、本当にクギで自分を傷つけるところもあります。傷口は教会で、ローズマリー・ウォーターで治療するのだそうです。裸足で行進する人の足が少しでも傷つかないようにと、ひまわりの種を食べながらプロセシオンを見ることは禁止されている場所もあります。

この時期に食べられる特別なお菓子がトリハという揚げ菓子。パンを牛乳にひたしたものを油で揚げ、砂糖やハチミツをたっぷりまぶした甘いお菓子です。本来、聖週間中は肉類を絶っていたそうですが、今はそこまでする人は少ないようですね。卵やニワトリの形をしたチョコレートもよく見かけます。やはり「復活」にちなんだもののようです。

少なくとも4連休となる聖週間は、マドリッドから出る方面の高速道路は大渋滞するほどお出かけする人も多いのですが、いつもの週末のように飲み歩いて大騒ぎしたりすることは不謹慎とされています。意外だったのですが、フラメンコの公演もないのだそうです。きっと家族や親戚一同集まって、ゆっくりのんびり団欒して過ごすという人たちも多いのでしょうね。

画像上:バリャドリッド県メディナ・デ・リオ・セコ村のプロセシオン。KKK団のようだという人もいますが、KKK団の方がマネをしたという説があります。
画像下:バリャドリッド県メディナ・デ・リオ・セコ村のプロセシオン。


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