■いまどきの子どもたち 2008.4.22 update

4月になりました。日本では入学・進級の春ですね。中国では9月が新年度で、春節(旧正月)の休みを挟んでの2学期制なので、桜が咲いて気持ちが新たになるのは私だけで、子どもにとっては何の感慨もない普通の日々です。

私の息子は今、小学2年生で、普通の公立小学校へ通っています。それも、試験を受けなければならないような、いわゆる「いい公立学校」ではなく、戸籍のあるところで自動的に入学できる学区制の学校です。お友達のほとんどは学校の近所に住む子ども達です。

上海市郊外の新興住宅地で、地元上海の人だけでなく、大学を卒業して上海で会社勤めや起業している元々外地人(よその土地の人)の親の割合も多いところなので、市の中心部の学校のような「必死で競走していい成績を収めさせる」というような緊迫した雰囲気がありません。それは私にとっては、教育に厳しい中国にいながらの救いでもあります。

でも、最近息子の話を聞いていると、どうやら学校の雰囲気が、私の思っていたようなものでなくなってきているように感じます。私がイメージしていたのは、昔とあまり変わらず、「先生がお話をしているときには背筋を伸ばして両手をきちんと机の上に組んで乗せ、質問や発表の時にはそのままひじを垂直に挙げる」「先生に対しては礼を尽くす」といった、“学校での地位は先生が一番上”というものでした。

しかし、息子の教室に限って言えば、それは遠い向かいの話のようで、どうしても背筋をまっすぐにして座れない子もいれば、授業中にじっと座っていられない子、叱られてもまったく意に介さない子、授業中に教科書以外の本を見ている子なども多いようなのです。先生と保護者でなんど話し合いをしても改善されない例もあるということでした。ただ、まだ救いがあるのは、それが故意ではなく「できない」のだということでしょうか。

また、一人っ子で大勢の大人に囲まれて育ってきている背景からか、忘れ物や宿題の出来を親のせいにする子もいるようです。まだ2年生で、見た目は小さな子どもも多いので、口を尖らせたいいわけも時にはかわいらしいと思えますが、1クラス40人を超す大所帯に何人もそういう子どもがいては、先生も大変だと思います。

一人っ子政策の影響は、やはり出てきていると思います。特に「子どもは宝」とばかりに大事にするお国柄、4人の祖父母と両親、合わせて6人の大人が一人の子どもを蝶よ花よと育てることが多いのです。小学校に上がった当初、知り合いの働くお母さんが「おばあちゃんがいつもご飯を食べさせてやっているから、自分で食べるのを嫌がる」と嘆いていたことがありましたが、それは珍しい例ではないようです。

また、勉強は一生懸命させても家の手伝いなどはさせないので、何もできない子どもも多いようです。今年の旧正月明けの新聞で、ある大学の冬休みの宿題に「両親の生活習慣を知り、光熱費を支払う手伝いをする」という課題が出たと記事が載っていました。両親が何時ごろ眠っているのか、食事は決まった時間にきちんととっているかなどを把握し、両親が一家を守るためにどういう苦労をしているのかを知ろうという道徳教育の一環だそうです。

大学生といえば18歳以上で、中国では成人です。こういうことは、小学校のうちにやっておかなくてはならないはずですが、きっと今頃になって「いまどきの子どもたち」のひずみがようやく見えてきたということなのかもしれません。

1979年に一人っ子政策がとられはじめ、もうすぐ30年。これは、都市部で人々が豊かになり生活に余裕ができた時期に重なります。昔、日本でも若者を「新人類」など呼びましたが、こちらでも「80后(1980年以降に生まれた世代)」といって、70年代までの人たちとは区別されます。日本は、70年代から急速に生活がよくなっていき、私たち当時の子どもも贅沢に生活させてもらえることが多くなったと思いますが、こちらは10年くらい遅れながらそれを追いかけているかのようです。

食べるものもおもちゃも豊富にあり、わがままが許され、勉強をしていればすむ今の中国の都会の子どもたち。この子達が将来を支えていかなくてはならないのです。小さなうちだからこそ勉強以外に学ばなければならないことがもっとたくさんあるのにと、歯がゆくなることがあります。

画像上右:大学生に「光熱費を支払う手伝いをする」という宿題が出されたことを報じる2008年2月14日付け新民晩報(上海の夕刊紙)。
画像上左:「児童入学準備」(中国連環画出版社)という本の中の「常識」のページ。「<教室>授業中はきちんと座り、目は前を見、まじめに授業を聞いて教室での規則を守ります」とあります。私のイメージしていた学校はこんな感じです。
画像下右:同じ本の中の1ページ。「大人を敬う」という意識は、日本の子にも中国の子にも欠落してしまっているような気がします。
画像下左:小学校のお迎え風景。集団登下校はなく、保護者が送り迎えすることが多いので、車と自転車で広い道路がいっぱいになります(建物は学校に隣接するマンション)。


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